大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

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パンに大福を入れたのには、パリに住む友人とのほっこりしたエピソードがあった。

福井県の鯖江市は、眼鏡の産地として知られ、国内シェアの約9割以上を誇ってています。年に数回は眼鏡の工場との企画の打合せで、鯖江に出張で行きます。先日も鯖江に行ってきました。鯖江駅を出ると、まず目に入ってくるのは赤い眼鏡のモニュメントです。
「めがねのまちさばえ」と言われるほど、眼鏡と結びつきが強い土地です。

大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

県外の人にはあまり知られていませんが、鯖江には老舗のおいしいパン屋さんがあります。
そのことは、司馬遼太郎の「街道をゆく 18 越前の諸道」でも語れています。鯖江から十数キロ離れた福井市の滞在したホテルのパンがおいしいことを聞いた司馬遼太郎が、「ひょっとすると、そのパンは鯖江からくるんじゃありませんか」とあてずっぽうにで言って存外的中したそうです。「近年、鯖江のパンがうまいという話をしばしばきくようになった。文化の肥えた地というのは、うまいパンをつくる才能を生むし、それを支持して育てるひとびとにも事欠かないのである。」と著書の中で書かれています。
そのパン屋さんは、鯖江駅から歩いて5分くらいのところにあります。1927年(昭和2年)創業の「ヨーロッパンキムラヤ」です。

大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

初代の古谷伍一さんは、あんぱんを生み出したことでも有名な東京の木村屋(現 株式会社木村屋總本店)で修行したそうです。修行中の1923年(大正12年)に関東大震災で遭い、着の身着のままに近い状況でお兄さんのいた鯖江に逃げて来ました。その4年後には、木村屋の暖簾で鯖江にお店を構えました。そしてはじめて鯖江にあんぱんを広めたのでした。

大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

そのヨーロッパンキムラヤには、目を疑うような名前の「大福あんぱん」という30年以上も前からのロングセラーのあんぱんがあります。
「大福あんぱん」はその名の通り、あんぱんの中になんと大福がそのまま入っているユニークなあんぱんです。 食べてみると、味はあんぱんだか大福だか区別がなんだか良くつかないのですが、とてもおいしいことは間違いないです。大福の餅のしっとり感と外側のブリオッシュのもっちりした食感のハーモニーが、不思議な感覚がしてとても楽しいです。

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この大福あんぱんを開発したのは、二代目の欽一さんです。パリに住む大福が大好物な友人を驚かす為に、あんぱんの中に大福を隠し持ってパリまで届けました。
日本に住む友人のお母さんが、大福好きの息子に持って行って欲しいと欽一さんに頼んだのでした。どうやって大福を持って行こうといろいろ思案して思い付いたのです。大福は雪のような白い粉で覆われ、柔らかく母のぬくもりがありました。そこで二代目は、パリでは「幸せ」の象徴とされるブリオッシュの生地で包んで焼き上げたそうです。
パリに住む友人が、普通のあんぱんだと思って食べたところ、お母さんから預かった大福が中から出て来て、お母さんの思い出と一緒に故郷を懐かしんだそうです。
そんな心温まるエピソードから生まれたのが、大福あんぱんです。
大福にもこだわりがあり、おいしい米で有名な北陸で作られた餅米と、北海道産小豆を使用しています。また二代目の欽一さんは研究熱心で、フランスパンの神様と呼ばれるレイモン・カルヴェル先生の直伝のフランスパン、またドイツ製パン学校で習得したドイツパンなどの紹介もいち早く始めたそうです。
鯖江出張の帰りの北陸本線の電車の中で、大福あんぱんをおやつに頬張るのがここ最近のマイブームです。このまま食べてもおいしいですが、袋から取り出しラップに包んで電子レンジで温めてもとろーりとした食感を味わえます。

大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

でも大福あんぱんは、鯖江まで行かないと買えないでしょと思われている方に朗報があります。
調べたら、東京でも買えるところがあったのです。しかも、こともあろうにうちの眼鏡屋のすぐご近所でした。早速、福井県の特産品、名産品のアンテナショップ「ふくい南青山291」
に行き大福あんぱんを買って来ました。うちのスタッフの間でも、予想外の味わいでとても評判が良かったです。
青山界隈にお越しなられたら、一度食べたらやみつきになる鯖江の名物、大福あんぱんをぜひご賞味ください。

大福なのかあんぱんなのか?鯖江の隠れた名物、大福あんぱん。

※掲載情報は 2019/04/14 時点のものとなります。

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キュレーター情報

荒岡俊行

荒岡眼鏡の三代目 眼鏡店ブリンク店主

荒岡俊行

1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。

ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。

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