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現在、当たり前のように飲まれているペーパードリップシステム(ろ紙でコーヒー粉をこしてコーヒーを抽出する方式)は、1908年にドレスデンに住むメリタ・ベンツによって考案されました。
それまでは、コーヒー抽出には布や金網が使用されていて不衛生でした。コーヒー好きな夫においしいコーヒーを飲ませてあげたいとの思いから、真鍮製の容器に1枚のろ紙とコーヒー粉をのせ、お湯を注ぐ方法を考え出しました。
そしてその年、「M.BENZ」という会社を立ち上げ、ペーパードリップシステムの販売を開始すると評判は瞬く間にドイツ中にひろがりました。1912年になると、発注が追いつかなくなり、メリタは、現在の本拠地であるドイツ北西の街、ミンデンへと移転します。
たったひとりの女性が、世界規模の会社を築いた瞬間でした。
会社を引き継いだ息子のホルスト・ベンツは、より便利なフィルターシステムを完成させ特許を取得します。その後もフィルター内でのお湯の流れやコーヒー抽出メカニズムの研究を繰り返し行い、1960年代に現在まで受け継がれる1つ穴フィルターが開発されました。
私たちが普段何気なく飲んでいるフィルターコーヒーは、妻の夫への愛から生まれたアイデア商品だったのです。
※掲載情報は 2019/03/13 時点のものとなります。
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ドイツ連邦共和国大使館
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