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昆布を練りこんだ羊羹だから、ツヤがありコクがある!
「黒くて大きい奴」
顔が描いてあるわけでもなし。手足があるでもなし。
丸くてツヤツヤしていて、そばかすのように金粉が散りばめてあるお菓子です。
しかも、全く大きくない。一口サイズ。
愛くるしくて、「黒くて大きい奴」と呼んでいまいそう。
本当の名前は「くろやっこ」。
東海道五十三次の23番目の宿場町「島田宿」「清水屋」で
享保年間(1722年頃)に産声をあげた「清水屋」の生まれです。
さて、黒大奴、ツヤツヤの秘密。
それは表面が、昆布を練りこんだ羊羹だから。
しかも皮の内部は、しっとりと濃い、上質なこしあんです。
一口でぱくっといける大きさ。手軽で、程よく高級感があり。
食べると、昆布のうまみとあんこの甘みがほどよく
溶け合い、実にさわやか。
大井川を渡る旅人たちが見た、大井川の上に広がる
青空のよう。これには絶対、渋いお茶があうと思い、
即席ですが、抹茶をいれました。
「あぁ、なんとも、日本晴れ!」
と叫びたくなるおいしさでした。
日本三奇祭りのひとつ「帯祭り」。
ここで黒い装束の人が大刀を帯にひっかけて歩く
姿にちなんで作られた「黒大奴」
私は、一度に、一箱でも食べられます。
お試しあれ!
※掲載情報は 2019/03/10 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スピーチライター/コラムニスト
ひきたよしあき
(株)博報堂で、広告クリエーターとして働くかたわらで、「朝日小学生新聞」などにコラムを書いています。出張、撮影、講演で全国を回りながら、おいしいものを送ったり、頂いたり。誰かに何かを送ろうとする時、そこに素敵なエピソードが生まれます。高い安い、有名無名に関わらず、できればその一品にまつわる物語までお伝えしようと思っています。皆さんからの情報もお待ちしています。主な著書「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)