100%さつまいもだけの甘み!名人が作る希少なシロップ「あめんどろ」

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からだに優しいナチュラルなさつまいもシロップ

自宅から千駄木の馴染みの鮨屋さんへはバスで出かけ、バス停は「団子坂」といい角川書店版『日本地名大辞典・東京都』を引くと、「別称は潮見坂、千駄木坂、七面坂。この坂の傍らに昔より団子をひさぐ茶店がある故の名」とある。実はこの「団子坂」は小説や文学の香り高い坂で、江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』のD坂とは団子坂のことなのだ。また、森鴎外、正岡子規、夏目漱石、室生犀星、二葉亭四迷がこの坂を小説に取り上げており、坂の中程には森鴎外の書屋「観塩楼」があり跡地は現在は森鴎外記念本郷図書館となっている。

 

さらに、この団子坂は日本全国にある「薮そば」の発祥地でもあるのだ。バスは白山上から急な坂を下り、左に折れると団子坂のバス停なのだが、その坂の交差点のすぐそばに赤い暖簾のかかった間口一間ほどの小さな店があり以前から少し気になっていたのである。「薩摩 芋蜜匠 あめんどろや」とあるが、「あめんどろや」って一体なに?結論から先に言うと「あめんどろや」とは南薩摩半島の頴娃(えい)・知覧地方の方言で、芋あめ、芋蜜のことで、今回のテーマは「さつまいも」。

 

「さつまいも」は鹿児島の別称である「薩摩」が起源なのは周知のことだが、日本中にさつまいもが普及するきっかけは、八代将軍徳川吉宗の時代の儒学者「青木昆陽」の登場から。この時代は日照りによる飢饉がよく発生し、1732年に「享保の大飢饉」があり青木昆陽(文蔵)は米に代わる主用作物を探すこととなり、目をつけたのが「唐芋(からいも・甘藷)」で青木昆陽は薩摩藩から唐芋を取り寄せ、関東数箇所で試験栽培を実施し、「唐芋」の効用をまとめた「蕃藷考」を著し、将軍吉宗に献上し、「唐芋」は薩摩から取り寄せた芋なので、「薩摩芋」として「さつまいも」という名称が誕生したのは日本史の教科書にも掲載されている。しかし、さつまいも自体は薩摩の発祥ではなく、海外からの渡来種なので、流入ルートには諸説がある。

 

さつまいもの発祥を逆に辿るとややこしくなるので、「農林水産省」のHPから簡単に要約すると、紀元前800~1000年頃に中央アンデスで作れており、15世紀末の大航海時代にコロンブスがヨーロッパに持ちかえったが寒い気候に合わず、温暖な植民地のアフリカ、インド、東南アジアに持ち込まれて栽培が始まった。東南アジアにはその当時の覇者のスペイン人、ポルトガル人が持ち込んだものが中国に伝わったのだと。食文化史の篠田統(しのだおさむ)によると、熱帯アフリカ原産の「さつまいも」がルソン経由で中国福建省に伝わったのが明の万歴21年(1593年)でその12年後には琉球に伝わり、これが、薩摩に伝わり琉球から来たので「琉球芋」と呼ばれ、琉球では中国から渡来したので「唐芋(からいも)」と呼んでいたと。じゃ、中国ではさつまいもを何と呼んでいたのだろうか?「蕃薯(ファヌ・ス)」「紅薯(ホン・シュ)」「地瓜(ディ・グワ)」と中国料理辞典には記載されている「蕃薯」の「蕃」の字は「中華」からみて「西蕃」からもたらされたという意味があり、「紅薯」はまさに観た目の紅色であるが、「地瓜」とは?どうもこれもさつまいものことで中国料理の「抜絲地瓜」というものがあり、さつまいもの飴煮なのだ。

 

日本でもさつまいもを油で揚げて蜜(液体状)を絡めると「大学芋」になるが、「抜絲地瓜」はガラス状の蜜をコーティングする調理法で砂糖を水で溶かし、鍋で煮詰めて水分を蒸発させ、少しずつ濃度がつきとろみがついても、さらに煮詰めてべっ甲飴にし、これを素早くさつまいもに絡め、持ち上げると絡んだ飴が糸を引く。この状態を「抜絲」と言いデザートの「抜絲地瓜」になる。

100%さつまいもだけの甘み!名人が作る希少なシロップ「あめんどろ」
100%さつまいもだけの甘み!名人が作る希少なシロップ「あめんどろ」

話が遠回りになったが、今回紹介する「あめんどろスヰートポテト・シロップ」は砂糖を飴化したものではなくさつまいも自体の甘みを凝縮したシロップなのである。南薩摩半島の頴娃・知覧地方で唯一、代々、芋蜜匠として芋飴・芋蜜づくりの伝統を守り続けてきた「永野製飴所」の名人、永野のエチの5代目後継者として伝承の技を継承し、自社農場の唐芋(さつま芋)や芋蜜を使ったスィーツを製造する「芋蜜専門店」。「あめんどろや」のは、100%さつまいもだけでつくられた無添加のナチュラル・シロップだそうで、希少な甘さを楽しみたい。

 

ちなみに私の唯一の得意なさつまいも料理は「さつまいものレモン煮」で、さつまいもの輪切りにレモンを一緒に煮るのだが、気分によって味付けは砂糖や蜂蜜になるが今度はこの芋蜜「あめんどろスヰートポテトシロップ」で試してみよう。

100%さつまいもだけの甘み!名人が作る希少なシロップ「あめんどろ」

※掲載情報は 2019/02/21 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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