メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

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メキシコはもちろん、アメリカやカナダ・ヨーロッパを中心に、テキーラに続いて今話題になっているメキシコのアガベスピリッツ「メスカル」。

いま話題のメルカルってどんなお酒?

日本ではまだまだ情報が少ないメスカルですが、メスカルの歴史は1万年前に遡り、メキシコの飲み物のルーツとも言えます。
メスカルの語源はナワトゥル語でMexcalli(調理したマゲイ)ですが、神話ではマゲイ(アガベ)に雷が落ちたことから誕生したため、神様の飲み物とも呼ばれているそうです。
その後、植民地時代にはスペイン人によってマゲイは「驚異の木」として、薬や衣類・建築の材料として活用されており、16世紀に蒸留技術が伝わり、お酒として親しまれるようになります。

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

テキーラと同じように、メスカルにも原産地呼称がありますが、メスカル生産の中心地であるオアハカには59種類のアガベが生息しています。
アメリカ大陸には約200種類以上のアガベがありますが、その75%にあたる150種類がメキシコで生育しており、メスカルにメインで使用されているアガベ・エスパディンは、ほとんどがオアハカで育てられています。

世界的にメスカルブームが来たと言われていますが、生産量は2017年で3985万リットル(2011年は980万リットル)とテキーラに比べてまだ少ないものの、輸入量は2801万リットル(2011年は627万リットル)の推移となり、この6年間で驚異的な伸びを見せています。
ブランド数も60カ国で201ブランドですが、まだまだこれから増えていくことでしょう。

 

その中でも、海外メディアで“5 Best New Mezcals”に選ばれるなど、注目のメスカルが今回紹介する「デルンベス」です。

海外メディアで注目のメスカルブランド「デルンベス」

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

デルンベスは、2018年3月に日本に初上陸したばかりのブランドで、同年8月にはブランドのプロモーターとして活躍する友人ウリセス・ゴンザレス氏が日本に初来日して、ウェルカムイベントなどを企画し沢山のメスカルファンに集まっていただき交流の機会を作りました。
ウリセス氏は、想像以上に日本人のテキーラ・メスカルの知識レベルが高く、今後の可能性を感じたと言っていましたが、2019年現在、日本では25種類以上のメスカルが販売されており、益々ブランド数は増える見込みとなっています。
メキシコシティに行くと、続々と新しいメスカル専門バーがオープンし、テキーラよりメスカルの品揃えが多いお店があったり、カクテルメニューに普通にメスカルカクテルが何種類もラインナップされていたり、メスカルの勢いを感じる機会も増えてきました。
日本では、テキーラの普及もこれから……といったところですが、同じメキシコ原産のアガベスピリッツとして、メスカルの魅力も一緒に伝えていけるようになればと思います。

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

デルンベスについて解説すると、6年前に、テキーラ「ドンフラノ」のオーナーでありウリセスと共通の友人のセルヒオ・メンドーサ氏と、エステバン氏(ライシージャ「ラ・ベネノサ」のオーナー)と、私はまだお会いしていないのですが出資者の1人イヴァン氏の3人が集まり「今までにない新しいメスカルブランドをつくりたい!」という話になったことがスタートでした。彼らがこのブランドの拠点として選んだのはテキーラの生産地ハリスコ州のグアダラハラ。

 

テキーラがメインマーケットとなる場所で、あえてメスカルのブランドをつくることで「アガベの多様性や、テキーラより歴史が古い伝統的なメキシコのスピリッツであるメスカルをもっと知ってもらいたい」という思いが込められています。
また、デルンベスには「自然災害」というマイナスのイメージとなる意味もあります。
ネガティブなワードなので、なぜ??と思う方も多いと思うのですが、自然災害は人の力が及ばない、自然の力で既存のものを壊して新しいものを作り上げるような、「新しいスタート」という意味も込められていて、実はポジティブな言葉としても使われています。
今までにないメスカルブランドをつくりたかったので、この言葉の意味が相応しいと思って名づけられました。

デルンベスのコンセプトとメスカル業界の今後

「メスカルを飲みながらメキシコを巡る旅を楽しむ」ということをブランドのコンセプトに掲げている通り、メキシコの様々な州で、異なる種類のアガベをベースにつくられていて、5銘柄中オアハカ州とサンルイスポトシ州のものが昨年日本で先行発売され、2019年からはさらに新しい州の「ドゥランゴ」「ミチョアカン」「タマウリパス」の3種類が発売開始しました。

デルンベスは、つくられている州によってラベルのカラーが違うのですが、最初に日本に輸入された緑のラベルの「サンルイスポトシ」は、チャルカスという砂漠のように乾燥した地域の近くで造られています。
このエリア・環境でしか育たないサルミアナというアガベを原料として使っていて、なんと12〜13年栽培されたものを収穫して、タオナ(石臼)をつかった伝統的な製法でアガベジュースを搾汁しています。発酵には石のタンクを使用し、酵母を使用せずに自然発酵しています。
メスカルはスモーキーなイメージが強いですが(アガベを加熱する際木を燃やして煙から香りが付くため)サンルイスポトシでは木を使わずに、乾燥させたキオーテ(アガベの花を咲かせる幹部分)を使って加熱しているので、スモーキーさがあまりないメスカルです。

 

一方赤いラベルの「オアハカ」はメスカルの生産地として有名なサンティアゴ・マタトランから20分くらいの場所でつくられています。
メスカルの材料として一番有名なアガベの種類であるエスパディンを70%、野生種のアガベ・トバラを30%使用し、両方をミックスしています。
メスカルの基本的な製法である、約5mのタテマド(直火焼きの釜)にアガベを積んで、オーク(木)と一緒に蒸し焼きにすることで、スモーキーさのあるメスカルらしい香りになっています。
一番の特徴は、木桶で発酵する時に、アガベの醸造酒プルケを4%程度加えている事です。プルケはどぶろくや生マッコリのような発酵感のあるお酒で、最近若者を中心にフルーツなどとミックスして提供さてるプルケリア(プルケ専門店)なども流行っています。

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

最近までテキーラの値段の高騰化や、人気による品薄状態が続いた影響もあり、世界的にメスカルのブームは続くと言われています。
また、メスカル以外のアガベスピリッツであるライシージャ(ハリスコ州でアガベアスル以外のアガベでつくられるアガベスピリッツ)やバカノラ(ソノラ州のエスパディン系のパシフィカでつくられるアガベスピリッツ)や、ソトル(チワワ州・ドゥランゴ州・コアウイラ州原産のキジカクシ科のダシリリオンからつくられた蒸留酒)など、メキシコ原産のその他のスピリッツも注目され、世界中から問い合わせが殺到しているそう。

メキシコを旅するように生産地の特徴と味わいを楽しむメスカル「デルンベス」

メキシコ人はテキーラに対してマイナスイメージがないので、スタートが日本とは違い、テキーラは元々人々の生活に根付いています。
より面白いもの、新しいものを求める方には、テキーラは規制も厳しく個性が出しにくかったり、洗練され過ぎていてちょっともの足りなさを感じ、メスカルやその他のスピリッツに興味を持つ傾向があるそうです。

 

私は、メスカル初心者でまだまだ勉強が必要なのですが、身近な方が手がけているブランドというだけで親近感もあり応援したくなるので、「デルンベス」は自分の中でも特別なメスカルとして、これからも沢山の方に飲んでいただけるように宣伝していきたいと思います。

※掲載情報は 2019/02/14 時点のものとなります。

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キュレーター情報

目時裕美

テキーラPRプロデューサー

目時裕美

アジア最大級のテキーラの祭典「TEQUILA FESTA/TEQUILA LOUNEG」の主催をはじめ、日本におけるテキーラの記念日となる7月24日「テキーラの日」&2月22日「マルガリータの日」のプロモーション・記念セミナーやイベントの運営を手がける。

テキーラの主要機関であるCRT(テキーラ規制委員会)とCNIT(全国テキーラ産業会議所)、メスカルの主要機関であるCRM(メスカル規制委員会)のサポートの元、情報誌「TEQUILA JOURNAL」を発行。

2011年から毎年メキシコに通い、134ヶ所あるテキーラ蒸留所のうち80ヶ所以上を訪問しテキーラ業界の動向や最新情報を日々ブログやSNSで発信し続けている   
テキーラ生産者やブランドオーナー、海外のブランドアンバサダーなどテキーラ業界関係者との交流も深く、新商品のリリースやローンチ企画、来日セミナーやイベントのプロデュース、販売サポート等にも携わる。

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