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たまごを選ぶにあたり
料理家という職業に就いてから、食料品店での目利きが鋭くなった。高級品ゆえの高価なものは美味しいに決まっているが、そうではなく、元主婦の立場と現料理家という立場から、質と価格と使うシーンを総合してお気に入りを選ぶ。シチュエーションは、日常的に使うもの、おもてなしに使うもの、仕事で使うもの……と色々。使う場面によって、私なりの質に対する許容価格があり、納得できるまでは何軒も食料品店をはしごして探すことが多い。
そんな中、選ぶのが難しいのは、たまご。殻の中が見えないから、値段で選ぶか、生産地で選ぶか、記載してある餌やたまごの栄養素で選ぶか……。
そこで、私のたまごを選ぶ基準を書きたいと思う。
「1個40円前後」「住まいから近い養鶏場のたまご」
いきなり小見出しに答えを書いてしまった(笑)
実は、以前の住まい近くで売っていたたまごがたいへん美味しく、それを使ったたまご料理をお出しすると、ほとんどの方が「このたまご、美味しい」と驚かれ、帰り際に購入する人もいるくらいだった。このたまご、売り切れていることが多く、私は在庫が切れそうになると予約をしていた。10個入りで380円。
ある日、店主になぜ美味しいのか質問すると、餌云々、飼育法の話はなく「信頼できる生産者がなるべく早く届けてくれるから」という答えだった。「え?それだけ?」と驚いたが、中身が見えないたまご選びの目利きは「新鮮なもの」「こだわりをもって飼育している養鶏場のもの」と決まった。
わかりやすく言えば、「住まいから近い養鶏場」「1個40円前後」。
住まいに近い鶏舎なら、搬送に時間がかからず新鮮である。そして、この価格ならば、売り手が自信をもったこだわりで育てた上で、なるべく低価格にしようと努力したたまごに違いない(独断的な基準ではあるが)。
かわなべさんの生みたてたまごとの出会い
さて、住まいを変えた私は、次なるお気に入りたまごを探すことになった。たまごは日常的によく使う食材だ。その良し悪しで料理が変わるのは経験済み。価格と質……妥協なしに試していた時、とっておきのたまごを見つけたのである。
それは、こだわり商品が置いてあるスーパーマーケット福島屋の「かわなべさんのたまご」。
そして、「これは美味しいかもしれない」という勘がみごと当たったのである。
私の勘が働いてしまったのは、こんな陳列だったからである。
~さんの、という商品名。
13個入りという個数。
箱入り。
生みたて。
私の住まう東京都の養鶏場。
美味しさにはわけがあった
この生き生きとしたたまごたちをご覧あれ!
いただく前から殻の中が見えてしまった。
絶対においしい!と。
初めてのたまご。まずは、目玉焼きを作った。新鮮過ぎてにおいが苦手なたまごを食べた経験があるので、初回は火を通してみたのだが、焼いている時から黄身の盛り上がりが美味しそう!
後々、インターネット上の情報を得て、私の目利きはけっこうイケている、とほくそ笑んでしまった(笑)。やはり、美味しさには理由があったのだ。
まず、生たまごが苦手な人が感じるにおいがしないのは理由があった。それは、近隣の山々の沢の天然水で鶏が育っているからなのだ。卵白の主成分は水分。良質な水で育った鶏のたまごは、特有の臭いが軽減されたたまごに育つ。
以下、かわなべさんのたまごのこだわりを紹介しよう。
●「良い環境」がある
「ほたるの里」青梅の山裾で太陽の光を一杯に浴びる開放的な環境の鶏舎で育てています。
●「良い水」がある
近隣の山々の沢から流れ出る、自然のミネラル天然水を与えて鶏を育てています。
●「良い餌」がある
飼料には栄養価の高い良質な素材を厳選して使い、抗生物質は一切使用していません。
画像)かわなべ鶏卵農場HPより
画像)私が購入した福島屋スーパーマーケットのたまご表記
平成7年「日本農業賞」を鶏卵農場として受賞。
平成16年「緑白綬有功章」受賞。
かわなべさんのたまごは、全国的に販売していないのが残念だが、購入できる地域にお住いの方は、機会があればぜひお試しいただきたい。
最後に、たまご料理の数々をどうぞ。
調理)中尾明美 そら豆とインゲン豆のフリッタータ。ペコリーノロマーノをかけて。
調理)中尾明美 キッシュ!!
調理)中尾明美 ローマ風カルボナーラ。
調理)中尾明美 美味しいたまごで作った美味しいプリン。
■記事情報
かわなべ鶏卵農場(直売店あり)
〒198-0003
東京都青梅市小曾木2丁目271
TEL/FAX:0428-74-5492
https://kawanabe-egg.com/
※掲載情報は 2019/02/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家、ライター
中尾明美
東京都生まれ。一男一女の母であり、孫も持つ。五代続く医者の家に育った生い立ち、健康食品製造販売会社の代表を務めた経緯やがん克服経験から、医食同源を目指した食生活を推奨している。「DEAN & DELUCA」キッチンスタッフ、「リストランテアロマクラシコ」キッチンスタッフを経て、イタリアフィレンツェの料理研究家に師事し、現在も厨房に立ちつつ、会費制食事会「プライベートダイニングRoom A’s Tokyo」、料理教室「Class A’s Kitchen」、出張料理「A’s Kitchen」を主宰。食材・調理器具と波動を合わせた調理、化学調味料を使わない優しい味にはファンが多い。2018年4月よりELLEgourmetフードクリエイターメンバー。