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ゆっくり味わうビールなのだ!
おなじ言葉でも意味が正反対になるものあり、そのひとつの例に「とりあえず」がある。辞書をググルと(1)十分な対処は後回しにして暫定的に対応するさま。(2)将来のことは考慮せず,現在の状態だけを問題とするさま。(三省堂 大辞林 )もうひとつは(1)ほかのことはさしおいて、まず第一に。(2)何する間もなく。すぐに。(goo国語辞書)同じ言葉だが微妙どころか、まったくニュアンスが違い過ぎる。この「とりあえず」に「ビール」を加えて「とりあえず、ビール」と入れた場合はどちらの意味になるのだろか?「後でオーダーする前に暫定的にビールでも頼んで場つなぎぎでもしておこうか」「何としても第一の優先でビールをオーダーしたい」皆さんは居酒屋などでどっちの意味合いで「とりあえずビール」を使っているのだろうか。
大きい声で言いたくないが、私は痛風持ちなのである。そして、痛風の大敵のビールをこよなく愛しているのだ。世間では私は「ビールクズ」と称されている。意味は「昼からビールを飲むようなクズな人間」で、これが、朝からビールを飲んでいると「スーパービールクズ」になり、夜はビールを飲むのは当たり前なので単なる「クズ」になのだ。出張で朝から駅弁を買って新幹線に乗り込む時にもお気に入りの銘柄のビールは当然お供で至福の時である。つまり、「とりあえずビールは」最優先事項で大切なのである。
フレンチやイタリアンを食べに行く時も、同伴者は「シャンパン」や「スプマンテ」を最初の1杯目にする時も「ビールください」と、でも、たまにビールを置いていないシャレこいた店では暗澹たる気持ちになってしまうのである。許すなら最後までビールで通したいくらいなのだ。普段飲んでいるビールのアルコール度数は大体5%位だが、ちょっと0,5%ほど高くなっただけで喉越しがずいぶん違ってくる。この僅かなアルコールの度数が高くなっただけで違うのだが、さらにアルコール度数が高くなるとビール自体の味わい方も変わってくる。
新潟県阿賀野市に「白鳥の渡来地」として国の天然記念物に指定されている「瓢湖(ひょうこ)」という湖があり、白鳥が毎年10月上旬から3月下旬まで飛来する。最初に訪れたのは20年以上も前だが、たくさんの白鳥が優雅に湖面に佇み、一斉に飛び立つ姿は美しいものだった。この瓢湖の名前を冠した地元のクラフトビールメーカー「スワンレイクビール」も以前から新潟へ来る都度飲んでいた。
スワンレイクビールの種類は多彩で、下面発酵(ラガー)ビールからやわらかい口当たりのエール、苦味の旨い黒ビールなどいくつも楽しめる。クラフトビールには、さまざまなスタイルがあり、ピルスナー、ペールエール、スタウトなど、約100種類にもおよぶ分類があり汲めども尽きない奥行きがある世界なのだ。
今回紹介する「スワンレイクバーレイ」は、スワンレイクビールの中でもアルコール度数10%,苦味(IBU)も68というヘビーなビールだ。このビールは500㎖で1本2,000円(税別)と価格もボトルの重量もヘビーで、英国の伝統的なスタイルからできた高アルコールビールだ。バーレイ(大麦)を多く含み(大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ)ワインにも似た感じでエール(上面発酵)イースト発酵でフルーティーだが熟成された色も琥珀色で深みのある味わいなのだ。購入する時に「このビールは大きめのグラスで、ワインやブランデーを飲む様に味わってください」と。まだ、雪の中でスワンレイクバーレイを冷やして、大振りのワイングラスで味わうビールは、また別な楽しみにあふれていた。ビールクズで良かった!
※掲載情報は 2019/02/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
アートディレクター・食文化研究家
後藤晴彦(お手伝いハルコ)
後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。