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万能調味料
世界一幸福な国・ブータンに「エゼ」という調味料がある。
基本的には唐辛子ミックスなのだけど、野菜を加えたり、ごまを加えたり、ローストした唐辛子を使ったりと、様々なバリエーションがあるらしい。
使い方としては、おかずに添えたり、ご飯にかけて食べたりするらしい。そういえば見た目は桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」っぽい。あれほど汁気はないけど。
今回紹介するのは「Chuniding Food」というブランドで、彼の地でもハイクラスのエゼらしい。お値段は115グラムでおおむね2,000円程度と、かなり高級品であるらしい。
どうも今回の文章は「らしい」が多いが、ブータン通の知人から伺った話を書いているのでご容赦願いたい。
激辛&濃密
肝心のお味は、まずとても辛い。いろんな種類の生唐辛子をミックスしたような辛みがある。
しかし舌の上で溶かしていくと、チーズ的なコクと、発酵食品特有の丸いうまみも出てくる。
実はこのエゼは29種類もの原料が使われているのだ。列記すると
1,レッドチリ(ドライ) 2,グリーンチリ 3,発酵させたチーズ(牛) 4,生の乾燥チーズ 5,発酵させたチーズ(ヤク) 6,発酵させた米 7,バター 8,ワイルドペッパー 9,生姜 10,にんにく 11,コリアンダー 12,春玉ねぎ 13,シソ的なもの 14,塩 15,ミント 16,River Weed 17,チャイブ 18,マスタードシード 19,大豆 20,ひまわりの種 21,River Runner 22,玉ねぎ 23,チェリートマト 24,マスタードオイル 25,ツリートマト(タマリロ) 26,にんにくの葉 27,スパイシーミント 28,干し魚もしくは干し肉
全部読んだあなたはエライ! いろいろと判らない食材があるが(数も実は28種類だった)、これだけの天然素材をミックスしているのだからすごいことであります。
とても濃厚で辛いので、使うときは上の写真のようにごくわずかで大丈夫。
「いくら何でも少なすぎでは?」と思ったあなた。確かにその通りで、博士は辛さに弱いのであります。びびってるんであります。
さあ、この量のエゼに……
EVオリーブ油をたっぷり加えて
バルサミコ酢と塩も加えて
よーく混ぜてエマルジョン的な状態にすれば、ピリ辛濃厚ドレッシングの出来上がり。
これをサラダとか、ローストした肉とか魚にかけて食べると実に美味。辛さのほかに甘み、塩味、酸味もあって、これほど重層的な味はちょっとほかにはないかも。
そして……やっぱり辛かった。こんなわずかな量でも、食べ進むうちに汗が出てくる。しかし後に残る辛さではなく、飲み込んだあとは爽やか。
この商品はまだ日本で売られていないが、知人が輸入しようと現在試みております。天然素材の組み合わせで作った奥深いこの味を、ぜひ多くの人に知って欲しいものであります。
ごちそうさま!
※掲載情報は 2018/09/21 時点のものとなります。
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キュレーター情報
缶詰博士
黒川勇人
昭和41年福島県生まれ。平成16年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから"缶詰博士"と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
著書は『おつまみ缶詰酒場』(アスキー新書)、『缶詰博士・黒川勇人の缶詰本』(タツミムック)、『缶づめ寿司』(ビーナイス)、『日本全国ローカル缶詰 驚きの逸品36』(講談社プラスアルファ新書)『缶詰博士が選ぶ!「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社プラスアルファ新書)、『安い!早い!だけどとてつもなく旨い! 缶たん料理100』(講談社)など。小曽根マネージメントプロ所属。
お問い合わせ Mail:k-k@kosone-mp.com