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都市型農業とは
埼玉県草加市草加駅から徒歩10分。閑静な住宅地に突然、畑とビニールハウスが視界に飛び込んできます。そして畑のすぐ近くには、童話に出てきそうな可愛い『チャヴィペルト』という自然食品店とデリショップも併設されています。
「農業をする!」となるとリタイア後、田舎へ移り住み、夫婦でカフェをやりながら……というパターンが多い中、都心で農業をしている夫婦が、ここの農園主の中山拓郎・かんな夫妻です。ごく普通の若者がUターンして、両親の営む農園を引き継ぎ18年。
慣行栽培を農薬や化学肥料を使わない農法に変え、オーガニック食品を売る店舗を構え、デリショップで出た生ゴミや油は畑の隅のコンポストで堆肥にして再利用するなど、若者らしい発想とバイタリティーで都市型農業を実践されています。都会でもこうして農業ができるんだ!と、これから就農したいという人たちの、道標になるようなお二人です。
ハチを飼うきっかけ
農園でいちごを栽培した際に、受粉の手伝いにと、ミツバチをレンタルした際、かんなさんは“ハチ”を「レンタル」するということに違和感を覚え、自分たちでミツバチを飼うことにしました。
畑でハチを飼うということは、農薬を使うことができなくなるということです。ハチは食物連鎖の下位であり、化学物質に影響されやすいことは、既に世界中からハチが消えている現状からもわかっています。もちろん、ハチだけが消えているのではなく、地球上の小さな動植物が農薬や化学物質により、知らぬ間に絶滅しているのだと思われます。
「ミツバチくんと農業しよう」、「ハチの子供達も守っていかないとね」と中山家には家族が増えました。
蜜の最盛期は、花の開花する5月~7月上旬です。5月になると菜の花の開花が始まり、ブルーベリー、柑橘系と続きます。野菜の生育に沿って、そら豆、春菊、ブロッコリー、からし菜、かぼちゃと、ハチたちは色々な野菜の花から蜜を採取してくれます。
『You are what you eat』
人間もハチも食べたもので、カラダは作られています。
チャヴィの養蜂の特徴は、冬の花粉や蜜が採れない期間に菜の花を栽培することで花粉と蜜を確保し、通常の養蜂で、冬場に使用する人工花粉や、砂糖蜜、殺ダニ剤などを使用せずに、ミツバチが活動出来る環境と、生態系をつくりだしているというところ。ハチが快適に暮らせるよう、様々な努力を重ねています。
だからでしょうか。通常約1.5~3ヶ月の寿命といわれる働きバチですが、チャヴィペルトにきて3年を過ぎても元気に飛び回り、その間に女王バチは2回世代交代しているというのだから、すごい!健康で働き者で、長生きなんですね。
畑から生まれたVeg Honey
チャヴィペルトファームの「Veg Honey」は文字通り、Vegetableの蜜です。最大の魅力は、非加熱の「生はちみつ」であること。濾し器は網に乗せて重力に任せ、自然に落ちてきたものを濾過するという、栄養をまるごと残す原始的な製法をされています。
はちみつの酵素は45度くらいから成分が変化し、65度で失活してしまうそうです。ならば、なぜ加熱する必要があるのかというと、蜜を均質化し、結晶化を防ぐためでもあります。加熱して撹拌しないと蜜箱によって、味も変わってしまうからです。また、加熱しないと目の細かいフィルターを通すことができず、細かいゴミなどの異物を除くことができません。
加熱し、ろ過すると、黄金色のさらっと使いやすいはちみつとなります。しかし非加熱の生はちみつには、私達に必要な生きた酵素がたっぷりなのです。
一匹のハチが一生の間に採るはちみつの量は、わずかティースプーン一杯分と言われます。そんな貴重な蜜だから、大切に採取し、大切にいただきたいものです。
チャヴィペルトファームを訪ねると、ミツバチたちが出迎えてくれます。人に慣れているからでしょうか、刺されることもありません。都市型農家の畑のはちみつ、野菜の花をせっせと集めてくれたミツバチたちに感謝を込めていただきます。
Veg Honey(175g) 2,000円(税込)
※掲載情報は 2018/09/13 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家/フードディレクター
タカコナカムラ
山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。
一般社団法人ホールフード協会 代表理事