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八木澤商店
奇跡の醤(きせきの ひしお)
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先日、岩手県の方から2011年に起こった東日本大震災の時のお話を聞ける機会がありました。東京にいた私自身でさえ、当時は帰宅難民になり大変な思いをしましたが、現地にいた方の恐怖心やその後のご心労は、想像以上に辛く大変なことに心が痛みました。
その際にお土産にと手渡されたのが、『八木澤商店』の「奇跡の醤(ひしお)」です。“奇跡”という言葉に惹かれて調べてみたら、200年余続く醤油蔵であることがわかりました。岩手県陸前高田市にあった醤油蔵が被害を受け、150年使い込まれた気仙杉の木桶を含めたすべての醤油が大津波によって流されてしまいました。
すべてを失った『八木澤商店』でしたが、震災前に微生物の研究として地元の研究所に預けていた“もろみ”が震災後、奇跡的に発見されたのです。そのもろみから培養を繰り返し震災から3年8カ月、ついに醤油が復活したのです。
醤油特有の赤紫がかった醤油の色合いは美しく、ふんわりと醤油の香ばしい香りが感じられます。そのまま味見をしてみても、まろやかなうま味があって、しつこい濃さではありません。刺身など新鮮な魚介類に合いそうです。
容器は「ぎょく瓶」という純白のガラス瓶になっていて、プラスチックの透明瓶には感じられない存在感があります。醤油は江戸時代に長崎の出島からオランダに輸出がされていて、その当時、陶磁器の白いコンプラ瓶という容器に醤油を入れていました。まさにそのイメージで作られた瓶なのです。このまま食卓に置きたくなる素敵な瓶ですよね。
地震の爪痕は東北に限らず、今も深刻な現状の地域がたくさんあります。この瓶を見るたびにそのことを心に刻み、『八木澤商店』のように愛する商品の復活に勤しんでいる企業を陰ながら応援したいと思います。
※掲載情報は 2018/09/04 時点のものとなります。
アジアンフードディレクター
伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリスト 舞台制作や民放気象番組ディレクターを経て、食の世界へ。調理師専門学校で調理、食文化を学びながら、食の専門家であるフードアナリストとして活動を開始。メディアを中心に飲食情報の提案やアジア各国料理の執筆、講演、講師、レシピ制作などを行う。
「ASEAN食のコンシェルジュ」、「タイフードコンシェルジュ」、「カンボジア旅のリポーター」などの肩書を持ち、食と旅の提案も手がける。年に数回、アジア諸国を巡り、屋台料理から最新トレンドまで、現地体験を専門webサイトにて多数掲載。書籍『専門店が教える スパイスの基本』(PHP研究所)では、レシピを担当。日本にいながらも他のアジア諸国のおいしい料理を楽しめるような、環境作りを目指す。