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ラベル題字はスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーが揮毫、印稿は宮崎駿監督作!
皆さま、こんにちは。
料理研究家/食のトータルデザイナーの小野孝予です。
7月最後の週末に、江戸総鎮守の神田明神で開催されたイベント「大江戸 東京 粋な酒祭り~Feel the Deep Tokyo~」にて、とても素敵な日本酒に出逢いました。
一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(SAKE女の会)主催、東京産の酒と食と酒器を一堂に集めて、その魅力をグッと粋に紹介するイベントでした。
私が役員をしているチーズプロフェッショナル協会もチーズブースを設け、ご参加のお客さまに日本の素晴らしいナチュラルチーズを知ってもらうと共に、東京産の日本酒や焼酎とのペアリングを楽しんでいただきました。
その同じ会場で、この日本酒「豊島屋十右衛門」を発見したのです!
「今日から発売の日本酒です。是非飲んでみてください。」と醸造販売元の株式会社豊島屋本店代表取締役社長 吉村俊之氏にお勧め頂き、「今日から発売ですか?!」と私が興味を持つと、もっと凄いことをお聞きしてビックリしました!
何とこのお酒は、あの「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」などのアニメーション作品で世界的に広く知られるスタジオジブリのプロデューサー 鈴木敏夫氏とコラボした日本酒なのでした。
スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー
「江戸・東京の地酒」にこだわった歴史ある酒蔵『豊島屋』
醸造販売をしている株式会社豊島屋本店の東京都東村山市にある酒蔵(豊島屋酒造)は、スタジオジブリとは「となりのトトロ」のモデルとなった緑地が近いという共通点があります。誠心誠意ものづくりに向き合ってきた両社が神田明神のご縁によって結ばれ、この日本酒が生まれました。
そして豊島屋本店のお酒「金婚正宗」は、神田明神(他に明治神宮も)の唯一の御神酒です。ですから神田明神のイベントで、販売が開始されたのです。
さてスタジオジブリに関しては皆さまよくご存じと思いますので、豊島屋本店について少しお話したいと思います。
このお酒の名前にもなっている豊島屋本店の初代豊島屋十右衛門は、今から420年以上も前の慶長元年(1596年)、現在の神田橋付近に「豊島屋」の屋号で東京最古の酒屋兼居酒屋を始めたとのこと。ちょうど秀吉から家康へと政権が移り変わり、江戸に徳川幕府が築かれた時期です。
当時、空になった酒樽を、十右衛門のアイデアで味噌屋などに売って儲けました。その分お酒類は格安で販売し、つまみとして味噌を豆腐に塗って焼いた「豆腐田楽」も安く提供しました。田楽はお酒のつまみとして人気を博し、豊島屋は大変な賑わいだったといわれております。
また結婚式やお祝い事で行われる樽酒を使った「鏡開き」も、豊島屋のアイデアから始まったそうです。それから当時江戸っ子に人気だった蕎麦に、酒を合わせることを勧めたのも豊島屋だといわれます。
他にはこんなエピソードも残っています。十右衛門の夢枕に紙雛様が立ち「白酒」の造り方を伝授してくれ、その通りに造ったら美味しい白酒が完成したとのこと。そこでお雛様に感謝をこめて桃の節句に売り出したところ甘い白酒は大人気となり、江戸やその先々までにも評判が広がったと伝わっています。「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われ、豊島屋の「白酒」は江戸の名物になったそうです。初春の白酒売り出し日には、1,400樽という膨大な量を売り上げたと伝えられています。十右衛門は随分ビジネスに長けていらして、凄腕なお方だったのですね!
そんな訳で、今で言う江戸のガイドブック「江戸名所図会」で当時の絵師である長谷川雪旦が、「絵本江戸土産」や「狂歌江都名所図会」で浮世絵絵師の歌川広重が、豊島屋の店頭風景を描きました。豊島屋の歴史はそのまま日本文化史の一コマでもあります。
その後豊島屋は会社組織となって『豊島屋本店』と名を改め、明治時代に清酒「金婚正宗」の酒造りを始め、東村山市に酒蔵として豊島屋酒造を設立しました。
このような長く深い歴史のある『江戸・東京の地酒』豊島屋本店と、世界のスタジオジブリがコラボして誕生したお酒「豊島屋十右衛門」、考えただけでもワクワクしませんか?!
味わい深く、キレの良い「純米吟醸酒」飲み慣れない方にもぜひ!
それでは肝心のお酒、「豊島屋十右衛門」の説明をします。
種別 : 純米吟醸
味の特徴 : 香りを抑え、味わい深く、キレの良い飲み口
容量 : 720ml 瓶 (専用カートン入)
原材料 : 米(国産)、米麹(国産米)
アルコール分 : 17 度以上 18 度未満
精米歩合 : 麹米 55%、掛米 60%
日本酒度 : +3.5
瓶の色は瑠璃色で、空と水を象徴します。ラベルには白地のちぎり和紙を用い、黒の題字はスタジオジブリ代表取締役プロデューサー鈴木敏夫氏が揮毫し、赤くて可愛いモチーフの印稿は監督宮崎駿氏が手掛けたものです。
背景には豊島屋本店の店の印「カネジュー」を配しています。白、黒、赤、青の四色は、日本最古の歴史書『古事記』に登場する色で、古来より日本人の美意識に強い影響を与えて来たそうです。また、ケースの色は「新緑」を表わし、多くの人がスタジオジブリ作品に感じているであろう「自然との調和」を、外装に表現しています。
出来る限り手造りで醸した純米吟醸酒で、味わい深く、かつキレの良さが特徴だそうです。私も試飲させていただきました。
確かに説明通りコクがあるのですが、しつこくないのでとても飲み易いです。日本酒に飲み慣れていない方や女性も含めて、どなたでも美味しく召し上がれるタイプの日本酒だと思いました。また癖もないので、色々なお料理にも合わせ易そうです。私は長期熟成のセミハードチーズ、自家製ぬか漬け、甘酢生姜、梅干し、らっきょうと一緒に晩酌を楽しみました。熟成が進んでアミノ酸の旨みが強いハード系のチーズとの相性は、抜群です!
スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー&豊島屋本店 吉村俊之代表取締役社長
販売数には限りがあると聞いています。
日本酒好きの皆さま、ジブリファンの皆さま、またこの度興味を持ってくださった方々、是非お早めに手に入れることをお勧めします。
今回のご紹介、皆さまにお伝えしたいことが盛り沢山で、随分長い記事になってしまってごめんなさい。
※掲載情報は 2018/08/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家/チーズプロフェショナル
小野孝予
大手航空会社キャビンアテンダントとして12年程勤務し、その後は食の世界に転身。現在は家庭料理、チーズ&ワインの教室を主宰すると共に、NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事を務める。外部セミナー講師、コラム執筆、レシピ考案、商品開発&プロモーション、メディア出演。昨今はSDGsの食品ロス削減、エシカル消費、アップサイクルにも繋がるちょっと新しいチーズの楽しみ方「チーズアシェット(R)」を推進中。
著書「チーズ☆マジック おいしい、みんな大好き!ごちそう家ごはん」 (清流出版)
料理教室クオリア主宰 チーズ料理研究家 シュヴァリエ(フランスチーズ鑑評騎士の会) ソムリエ きき酒師