まさに海の生ハム!アンコマール社の「カンタブリア産最高級アンチョビ」

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これまでのアンチョビは何だったのかと思うほどの美味しさ

まさに海の生ハム!アンコマール社の「カンタブリア産最高級アンチョビ」

スーパーマーケットやデパートの棚に並ぶアンチョビ。今までアンチョビは「保存食」だと思って買っていましたが、こちらの「冷蔵」アンチョビに出合ってから、世の中には2種類のアンチョビがあるのだとわかりました。1つは冷蔵保存のもの、もう1つは常温保存できるものです。

 

「え、アンチョビって缶詰だよね?」「缶詰って保存食でしょう?」「缶詰なのに冷蔵する必要があるの?」……はい、私もそう思っていました。このアンチョビに出合う前は……。

 

『アンコマール社』のアンチョビは、「缶詰」でありながら「冷蔵保存」必須のお品です。いわゆる魚臭さは一切なく、缶を開けると新鮮な魚介とオリーブオイルの香りが広がります。綺麗に詰められたフィレはこんがり日焼けしたような綺麗な赤銅色。1本つまみ上げると、しなやかながらしっかりとした身質であることがわかります。今まで私の知っていたアンチョビはもっと柔らかくて、崩れやすいものでした。

 

さて、ナイフで切ってみると手応えを感じるほどの弾力で、口にすると程よい塩加減、そして心地よい魚介の香りが鼻に抜けていきます。

 

「あれれ?今まで食べていた塩辛いアンチョビとは全然違う!」と、買い置きしているアンチョビとは明らかな違いを感じました。通常のアンチョビは塩が効きすぎているものが多く、サラダに入れると塩がいらないくらい。そのまま食べることはありませんでした。

美味しさの秘密!こだわりの製造工程に迫る

まさに海の生ハム!アンコマール社の「カンタブリア産最高級アンチョビ」

この『アンコマール社』のアンチョビを試食させていただいてから俄然、冷蔵アンチョビに興味をもちました。まずどうして冷蔵保存しなくてはいけないのか、ということ。その理由は、製造工程にありました。

 

『アンコマール社』はスペイン北部の港町サンタンデールで1930年代に塩蔵アンチョビの製造を開始、1989年からオイル・アンチョビの企業を設立しました。まず原料となるカタクチイワシは、春に獲れるもののみを使用します。この時期のカタクチイワシは非常に脂ののりが良い最上品。それをスペイン、トレビエハ産の塩に漬け込んで熟成します。その期間は約6ヶ月!熟成後、一つひとつ丁寧に身を開き、骨を取り除いていきます。そして同じくスペイン、カスカンテ産のオリーブオイルとともに缶や瓶などに詰めて密封したら完成です。

 

通常の缶詰は、その後に加熱殺菌の工程がありますが、この『アンコマール社』のアンチョビにはその過程がありません。せっかくの風味を損なってしまうからだそうです。とはいえ、塩蔵したものなので、生ものをただ詰めているわけではありません。よって「冷蔵保存」して「数ヶ月以内に食べてください」となるわけです。ああ、納得!美味しさとフレッシュな味わいの秘密がわかってスッキリしました。

現地スペインでも冷蔵保存は常識だった!

私ごとですがここ数年の間、毎年訪れているフランスバスクとスペインバスク。スペイン側では、アンチョビが有名です。製造販売を手がけるお店ではやはり「冷蔵」で売られていました。お店の方に(知らないフリをして)「冷蔵じゃなきゃダメかしら~?」と尋ねたところ、「劣化を防いで美味しく食べるためにも冷蔵がいいの」との答えが返ってきたのです。

 

さて、オススメの食べ方を紹介しますね。
・ 缶を開けて、まずはそのまま。少しずつ切って味わってくださいね。
・ バゲットなどお好みのパンにのせて。
・ 温かいご飯にのせて。
何しろ、加工しないで、なおかつ加熱しないでいただくのが一番なのです。缶に残ったオイルも捨ててはいけません。パンにしみこませて食べるもよし、パスタにかけるもよし。お好みの食べ方で楽しんでください。

 

そして最後にとっておきの食べ方をご紹介しますね。インゲンやしいたけ、パプリカなどの素揚げしたお野菜にアンチョビをのせて一緒にいただく食べ方です。野菜の甘みとアンチョビの塩気がとてもよく合って、ワインとの相性も抜群です。

 

この食べ方はパリの1つ星レストランでのアミューズ(付き出し)から、ヒントをいただきました。おもてなしにもぴったりです。日本では貴重な“冷蔵保存”の「アンチョビ」。食通の方へのギフトとして、またご自宅でもぜひ味わっていただきたいです。

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ATS—FOOD

※掲載情報は 2018/08/08 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤初美

料理家/バスクの食旅コーディネーター

後藤初美

料理家。JSA認定ワイン・エキスパート。CPA認定チーズプロフェッショナル。国際薬膳調理師。
FFCCフランス料理文化センター、パリのエコール・リッツ・エスコフィエ等でフランス料理・お菓子を学ぶ。

大手企業にてアドミニストレーター、カスタマーサービス、社長秘書等勤務後、2010年より「フレンチスタイルの家庭料理とお菓子・食のフランス語教室ル・プティ・フール」主宰。
手軽にできて簡単美味しくヘルシーなフレンチを広めるべくレッスンを開催。同時に、旅先で悔いなく美味しいものを食べたい方のための「食のフランス語講座」を開催、旅行を計画中の方や料理留学の準備講座として好評を得ている。

毎年続けるフランスの地方巡りはもはやライフワーク。渡仏回数25回以上、延べ日数は330日超。近年は毎年美食の街フレンチバスク地方へのツアーを企画し、現地ならではの食とワインを堪能する。多数出演したBSジャパン「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」では、当日ゲストの選んだワインに合わせてその場で料理を作る。西洋占星術を学び、星座と食を組み合わせたパワーフードも提案する。

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