記事詳細
紹介している商品
新年に甘いものをいただいて、スウィートな1年を
新年にゲン担ぎでおめでたい食べ物をいただく「おせち料理」は、中国から伝わって日本に根付いた独特の風習だと思っていましたが、最近、まったく違う文化圏でよく似た習慣を持っていることを知りました。
毎年、西暦の9~10月頃に行われるユダヤ教の新年祭「ローシュ・ハッシャーナー」では、日本人がおせち料理で“よろこぶ”にちなんだ昆布巻き、将来の見通しがきく縁起もので蓮根を食べるように、ユダヤの人々は、平和で(丸くて)すてきな(スウィートな)年になるようにと甘いはちみつをリンゴにかけたり、パンに練り込んだり、実がいっぱいに詰まった年になるようにとザクロを食べるというのです。
さらに、ユダヤ人の中でもアシュケナジー(ドイツや東欧などヨーロッパに定住した人々)より、スファラディ(中東や南欧、北アフリカに定住した人々)の方が食べ物に凝っているよう。それぞれの祈りに合わせて、新しい年に頭(かしら)になれるようにと魚の頭や、子孫や財産を殖やすゲン担ぎに豆、かぼちゃ、丸く切った人参などをいただくそうで、こちらの方がさらに、おせち料理に近い感じですね。
1月中旬に新年にちなんで、日本在住のユダヤ教のラビと奥様を講師にユダヤの新年祭の食べ物講座を開催予定ですので、機会があれば詳しい内容を改めてご紹介します。
さて、ユダヤの新年祭で象徴的なのは、甘味に砂糖ではなく、はちみつを使うところです。昔は中東に砂糖がなかったこともありますが、何といってもイスラエル/パレスチナは、旧約聖書に「乳と蜜の流れる場所=約束の地」と描写された土地。日本では現在、フェアトレードのパレスチナ産はちみつが通販で手に入ります。
約束の地に咲く野生の花々から採取した、自然なままの古代からの農法によるはちみつで、みなさまもスウィートな1年を!
※掲載情報は 2015/01/16 時点のものとなります。
- 2
キュレーター情報
各国・郷土料理研究家
青木ゆり子
雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。
地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。
「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。