思い出とともによみがえるコンビーフの味。『腰塚』のコンビーフ

思い出とともによみがえるコンビーフの味。『腰塚』のコンビーフ

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ある日、父は私たちに招集をかけた。
子供のころ、父の招集というものは面白いことの始まりで、この日もテーブルの上に見慣れぬ小さな金属の箱のようなものが置かれていた。
「お集まりの皆さん、これは何かお分かりかな?」と父。
皆さんとは、妹と私。
父は私たちの好奇心をあおる。
「うーん?」
四角い台形の箱は金属でできているようだが、小学生低学年の私にはわからず、父の次の言葉を待った。
しかし父はなかなか教えてくれない。
いつもじらされて、私たちの好奇心はますますつのるのだ。

 

結局、それはコンビーフの缶詰だった。
当時、昭和30年代の前半、缶詰は高級品で、ミカンや桃などフルーツの缶詰は我が家でもなじみがあったが、肉の缶詰なんて、食卓に上がることはなかった。
(その肉の缶詰は、ミカンや桃の缶詰とは違う形状だった。

 

父はいつものように、もったいぶって、ショーアップしてそれを見せた。
「ここに缶詰を開ける鍵が付いている」
缶詰についている鍵のようなものを取り上げ、頭の上に掲げて大げさに私たちに見せた。
「……」
私たちは固唾を飲んで、父の手元を見守った。
「ほら、このように巻いてね……こうやって開けるんだ!」
「わぁー!」
私たちは尊敬のまなざしで父を見ていたに違いない。

思い出とともによみがえるコンビーフの味。『腰塚』のコンビーフ

開けられた缶詰からは四角い肉の塊が出てきた。
「アメリカ人の大好物のコンビーフだ!」という父の話に、その肉の塊がお皿に配られるのを、わくわくしながら待っていた。
幼いころから西洋好みであった私は、アメリカ人の大好物なら、大好きなチョコレートやココアと同じように、「コンビーフ」もおいしいに違いないと思った。
「うわっ―、美味しい!」
初めて食べるコンビーフのお味に、私は大感激、その後しばらくコンビーフ熱は続いた。      

 

そんな私も最近ではめったにコンビーフを食べる機会がなかった。
世界が狭くなり、世界中のおいしいものが手軽に入る。
味覚もワ―ルドワイドになった。

思い出とともによみがえるコンビーフの味。『腰塚』のコンビーフ

先日、友人から『腰塚』のコンビーフを頂き、あの懐かしい思い出とともにコンビーフの美味しさを思いだした。
昔から食べていた小さな缶詰とは違い、『腰塚』のコンビーフはたっぷり400グラム入り。
とろける牛脂に甘味がたまらない!
あの当時のコンビーフとは一味違うグレードアップしたお味だが、初めて食べた幼い頃のあの感動がよみがえってきた。

 

そのままいただいても最高!
ワインのお供に野菜と一緒に。
アツアツのごはんに薬味と醤油をかけていただくのも美味。
小分けにして冷凍保存しておくと重宝して、急な来客のときなど、少し手を加えれば立派なメインの一品となる。
また、コンビーフ熱が復活した。

※掲載情報は 2018/02/17 時点のものとなります。

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キュレーター情報

宇佐美恵子

ファッション&ライフコーディネーター

宇佐美恵子

モデルを経てファッションコーディネーターに。現在、ファッションを軸に、エイジングスタイル コンシェルジュとして、キレイに年を重ねるための、それぞれの方にあったエイジングスタイルメニューをご提案、サポートしています。またそれぞれの年齢を快適に過ごすための商品開発にも参加。     
正しい姿勢と歩き方を身に付けることで、美しいスタイルと、老いにくい体を手に入れることができます。「エイジレスウォーキング」レッスンも開催。
食べることはキレイに直結しているという考えのもと、食にも多いに興味があり、講師を招いて不定期な料理教室開催。名誉ソムリエ、タスト・フロマージュを受賞。                 
2009年4月から2015年3月まで織田ファッション専門学校校長。現在も織田ファッション専門学校・きもの専門学校の特別講師。
エッセイスト 只今11冊目の本を執筆中。

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