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没個性・カメレオン鍋つゆの素
この季節、スーパーの棚を賑わせているのが鍋つゆの素。毎年トレンドがあり、激しく入れ替わりながら棚争奪戦が繰り広げられています。
最近の人気は液体ではなく、フリーズドライのタイプ。お一人様分や、必要な人数分だけ手軽に使えるところ、買い物の際の「軽さ」が人気の理由だそうです。
世の中では「軽い、手軽、安い」という黄金律があたりまえになりつつあります。
私は、真逆の志向です。調味料はガラス瓶が好き。なんたって、品質の劣化が最も少ない。白菜や大根もカットしたものより、断然まるごとの方が美味しいではないですか。
いわゆる「鍋つゆの素」も、原材料表示ラベルを入念にチェックします。
それは、家庭でも作れる鍋つゆの素なのに、一般的には驚くほどの副原料や添加物が使われがちなアイテムだからです。
人気のものは、どれもパンチがあります。一度食べたらその味が忘れられないほどの個性を出さないと売れないからです。また、今期だけ売れたらいいという、売りっぱなし系の鍋つゆの素が多い気がしています。そんな私が常備している鍋つゆの素は「旨塩鍋つゆの素」です。
好きな理由その1→どれをとっても日本を代表する、素晴らしいこだわりの生産者の原材料を使用しているところ。塩は伊豆大島の「海の精」、みりんは愛知県碧南市の『角谷文治郎商店』の「三州三河みりん」、そして『足助仕込蔵』で作られるしろたまり。私はこれらの生産者を全員知っており、それぞれが今日に至るまでのこだわりやご苦労も知り尽くしています。
好きな理由その2→食品だけで作られているところ。あれ?それは当たり前なのでは?とお思いですよね。昨今の加工食品は、食品だけで作られているものは少ないのです。つまり、出汁をとらず、化学調味料や、なんとかエキスを使用しているということ。添加物を使ってコストを下げる企業努力をされているものが、どれほど多いことか。でもこれは仕方のないことなのです。消費者があまりに安いものをおねだりするからなのですね。
この鍋つゆの素は、見事に食品のみで製造されています。
好きな理由その3→飽きない、アレンジ自在なところ。なんといっても、飽きません。いやいや、いくら好きでも毎日食べると飽きるでしょう?とお思いですよね。ところがこの鍋つゆの素は、癖がなく美味しいだけなので、アレンジが自由自在なのです。
たとえば、鶏肉とクコの実やなつめの実をいれると、薬膳風鍋に変身!
ビーフンを入れて、ナンプラーと香菜を足すと、タイ風フォー鍋に変身!
つゆがちょっと余ったら、カレールウと冷ごはんをいれ、耐熱皿に移してとろけるチーズをかけ、オーブンへ。焼きカレーに変身!
豆味噌と韓国唐辛子、おろしにんにくを入れると、あれ? 韓国風チゲに変身!
こうして際限なくアレンジができる鍋つゆ素は、世の中にそうありません。
個性がない=飽きない。何でもアレンジ可能な“カメレオン鍋つゆの素”なのです。
スーパーの棚に並ぶ一般的な鍋つゆの素のデザインはド派手でないと目立ちません。
そんな中、本品のシックさ、おごそかさは、逆に目立っております。
最後に、とっておきのネタを。
ラベルの上部になぜか、こんな英語の表記が……。「NABE TO YOU」。
あなたへの鍋? 鍋をあなたへ~?
いやいや、なべつゆ、なべつーゆー。オヤジギャグをしゃあしゃあと書いている「旨塩麹鍋つゆの素」、イカしてますよね〜。
※掲載情報は 2017/12/17 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家/フードディレクター
タカコナカムラ
山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。
一般社団法人ホールフード協会 代表理事