南 特別純米
南酒造場
もう20年くらい前になるでしょうか。土佐犬や坂本龍馬に縁のある高知は、“剛健な土地”のイメージが強く、実際に伺うと街中に明るい雰囲気が漂っていてびっくりしたという思い出があります。そういえば、「南国・土佐」というキャッチフレーズがある地。気候的にも温暖だったりするので、なるほど!と思いました。と、合点がいったところで、観光客にも地元の方にも人気の『ひろめ市場』という屋内型フードコート&市場に足を運ぶと、昼間にも関わらず、奥様やお婆さまがアルコールをがっつり飲んでいる。やっぱり剛健だ、と感じました。特に高知の女性は酒に強し。そんな高知には18もの蔵元があり、各種の日本酒があります。
私が特に好きな蔵元は『南酒造場』。場所は安芸郡安田町。創業は明治2年。安田町は太平洋に面していて、日本三大美林の一つともいわれる魚梁瀬(やなせ)の美林もあったりと、自然豊かな地。安田川の水質が良いようで、他にも蔵元が多い地域です。商品としては「玉の井」が広く知られていますが、さらに評判の日本酒が、より上質な「南」です。年間500石しか生産されないため、幻の日本酒と称されることも。純米大吟醸、純米吟醸、無濾過生原酒(季節限定)などバリエーションがあります。米も種類により山田錦だったり、松山三井だったり。もちろん純米大吟醸クラスは最上級の美味しさがありますが、私としては、特別純米も十分に美味いです。日本酒度は+6程度ですが、それより少し辛口な印象を持ちました。芳醇でいて、キリッとした飲み口がいい。幅広い日本料理にぴったりというか料理をしっかりサポートする感じです。個人的には、ぬる燗くらいが好きですが、もちろんお好みで。
南酒造場
※掲載情報は 2017/12/02 時点のものとなります。
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。