東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

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東海道を歩いていると、旧宿場町のあたりでたくさんの美味しいものに出会います。ど~しても見逃せない現代の名物ともいえる数々。ちょっと寄り道してご紹介しましょう。
今回は、東海道五十三次の16 番目の宿場、由比(ゆい)宿のお酒「PASSION-15」です。

 

東海道・由比宿の純米大吟醸「PASSION-15」

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

『東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺』(保永堂版)
歌川広重 天保四年(1833)頃 所蔵:静岡市東海道広重美術館

 

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

現在の薩埵峠から駿河湾を見下ろした風景

 

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

「Tokaido Road - Yui (after Hiroshige)」エミリー・オールチャーチ(イギリス)2013年
所蔵:静岡市東海道広重美術館
広重の『東海道五拾三次之内』オマージュ作品。

 

由比宿は中世の頃にできたと言われています。江戸時代には本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠屋32軒の小規模な宿場でした。近くには東海道の三大難所の一つ、薩埵(さった)峠があります。浮世絵師の広重は海越しの富士山と薩埵峠、駿河湾を描いていますが、今でも峠の展望台からは広重の描いた東海道一の絶景を眺めることができます。

 

由比のある酒好きの熱意から生まれたお酒

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

そんな昔ながらの宿場の風情が今も残る由比。かつて東海道を行き交う旅人たちの喉を潤していた神沢川の傍ら、東海道道標の目の前にある蔵が「神沢川酒造場」。その誕生は100年前にさかのぼります。大正元年(1912年)、お酒に合う水を探し求めてこの場所に蔵を開き、仕込み水から名前をとって「神沢川(かんざわがわ)」という社名に。代表銘柄の「正雪」は、地元・由比が生んだ反骨の英雄として人気が高い由比正雪にあやかった名前です。

 

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸
東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

株式会社神沢川酒造場。代表取締役望月正隆さんは、静岡県酒造組合の会長さん。昔ながらの手順を継承し、手間を惜しまず、この姿勢を守り続けています。

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

蔵の向こうにのぞく空の中にすっと伸びた煙突は「神沢川酒造場」のシンボル。

 

名水あり静岡県は酒どころ?

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

そもそも酒どころのイメージのない温暖な静岡がなぜ酒どころ?
その影に名水あり!自然豊かな静岡県は名水の宝庫。富士川、安倍川、大井川、天竜川、富士山の雪解け水も豊富に湧き出ています。かつてはたくさんの酒蔵があったそうですが、時代の波により衰退。活性化のためには「量より”質”で勝負!」ということで、吟醸酒や純米酒などの高級酒を手がけるようになり「静岡県=吟醸天国(?)」というイメージを徐々に確立してきたそうです。

 

由比の水と気候を知り尽くした南部杜氏の技

酒蔵としては若い歴史の中で「神沢川酒造場」が目指してきたのは、まさにその「酒質の向上」でした。今でもその仕事のほとんどは手作業だとか。
「飲み飽きせず、盃のすすむ酒」をめざして、杜氏、蔵人・蔵元一丸となって米、水、技にこだわり「正雪」を仕込んでいます。
現在は、30余年「正雪」の酒造りの指揮を執っていた南部杜氏の名人・山影純悦氏(岩手県花巻市出身)の技を受け継ぐ6人の蔵人が酒造りに励んでいます。

 

険しい山から一気に降りてくる神沢川の水は、鉄、マンガン、マグネシウムなどをほとんど含まない混じり気が少ない軟水。
それは軽やかで綺麗なお酒ができる反面、一切ごまかしが効かないチャレンジングな世界。作り手の腕こそが勝負の決め手!となるのです。
この正雪大吟醸は、酒造りには最高とされる「山田錦」を極限の35%まで精米し、静岡酵母を使って低温でじっくりと仕込んだ渾身の逸品。

 

世界を魅了する青・広重ブルーのボトル酒!

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

正雪 純米大吟醸雄町 瑠璃ボトルパッション (150ml)

 

そして、これが瑠璃色の純米大吟醸雄町のミニボトル、「PASSION-15」。
ブルーのボトルに正雪のレトロ調ラベルのデザインがなんともいえない気品を漂わせています。
広重は青色に対するこだわりから「広重ブルー」と呼ばれた青で世界を魅了しましたが、正雪のボトルにもさまざまなこだわりが。。。

 

東海道・由比宿の広重ブルー・ボトル正雪純米大吟醸

「冨士三十六景 駿河薩タ之海上」歌川広重 安西5年(1858)頃
所蔵:静岡市東海道広重美術館
広重の浮世絵の特徴の一つが「広重ブルー」と言われる青の美しさです。当時ベロ藍と言われる化学染料が大量生産可能になり爆発的な人気でした。

 

この24面体のファッショナブルな瓶は、神沢川酒造場をはじめとする8社の蔵元が共同で作ったオリジナル瓶。
蔵元の望月正隆さん(株式会社神沢川酒造場 代表取締役)によると、10年くらい前にワンカップブームがありましたが、ワンカップは中の容量に対して空気に触れる面積が大きいため、お酒が劣化しやすいという欠点があったそうです。
それを克服して、さらに蔵元自慢の日本酒をお試しサイズでもっと手軽に飲んでもらいたい!ということで出来たのがこのミニボトル。(※24面体構造は冷蔵庫から出してお燗につけても割れないので安心。同シリーズ「PASSION-15」純米吟醸はお燗もオススメ!)

 

正雪は食中酒として「軽く・まるく・飲み飽きしない」味。
清々しい果実のような上品な香りのスッキリとした吟醸酒です。
ワイングラスで洋風のお料理にもぴったりハマります!
150mlのワンカップサイズなので、いろいろなお酒を少しずつ楽しみたいという方にもいいですね。お料理とのマッチングにこだわらず、「正雪」を自分流の飲み方で楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

今後は国内の空港のレストランや東南アジア諸国でも取り扱われるとか。
ミニボトルは旅行などの携帯にも便利。海外の方へのお土産としてもきっと喜ばれることでしょう。

※掲載情報は 2017/12/04 時点のものとなります。

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キュレーター情報

大森久美

学芸員/栄養士

大森久美

栄養学を学んだ後、武蔵野美術大学卒業。芸術学士、学芸員資格を取得。2006年特定非営利活動法人ヘキサプロジェクトを設立。2010年より現地法人ヘキサプロジェクト・ロンドン・リミテッドディレクター。美術館のキュレーションを行うかたわら、アート/デザインのワークショップなどの教育普及や、地方で伝統の技を守り続ける職人達との商品開発にも精力的に取り組む。日本文化の奥深さを伝えることをミッションに、食とアートのスペシャリストとして日本の美意識を国内外に発信中。

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