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南蔵
豆のたまり 豆みそセット 【200ml×2本 500g×2個】
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知多半島の武豊町は、日本で3番目に鉄道が開通した海と陸の運送拠点でもありました。
1872年に創業、現在の蔵主は五代目青木弥右エ門さん。「弥右エ門」は代々襲名されており、実は本名。屋号や芸名でありません。日本では伝統的な技術を継承する者に、襲名制度が認められているそうです。ということは、私にもし娘がいたら「ホールフード」の継承者としてタカコナカムラの襲名が認められるのかなあ~、とふと思ってしまいました。
いや、伝統技術の域には達していないので暴言でした……。
三河の地では、醤油のことを「たまり」と呼ぶほど、たまり醤油は一般的に愛用されています。ただ、品質については、ピンキリではないかと思われます。
たまり醤油の特徴は、なんといっても濃口醤油よりさらに深みのある黒色。
原材料は、大豆と塩のみで作られています。
南蔵のたまりは五分仕込みといい、大豆に対して半量=5割の水を加えて「五水(ごみず)」で仕込んでいます。一般の醤油は、十水(とみず)から十三水とかなり薄い醤油なので、このたまりの濃厚さがわかりますね。見た目はほとんど「豆味噌」状態です。
それほど硬い醤油に石をのせて、3年発酵熟成させます。
通常の醤油では、櫂入れといい“もろみ”を大きな櫂で混ぜます。しかし、たまり醤油は硬すぎて混ぜることができないため、「汲掛け(くみかけ)」をします。汲みかけとは、
もろみにパイプを通し桶にのって、桶の下から上がってきた醤油を表面にかける作業です。
かなりの重労働なのですが、毎日表面が乾かないように行い、時間をかけ手間暇をかけ、二夏を越えて、ゆっくりと発酵熟成させていきます。この役割は、息子の良之さん。
東京農大醸造学科を卒業され、五代目の父親の背中をみながら仕込みを担当されています。
いつか六代目としてたまり醤油の伝統製法をつないでいかれるのだと思うと、同じ世代の息子を持つ親としてはそのひたむきさに胸が熱くなり、「頑張って」と声をかけてしまいます。
木桶の下の方に木製の呑口があり、それを開けると黒いたまりがポタポタと流れてきます。これが、生引き溜(きびきたまり)といいます。大豆の旨味を存分に感じる黒いたまりは、少量でも独特の風味と旨味を感じることができます。
通常の醤油と同じようにつけ醤油や煮物などに使えますが、少量でも醤油を感じるため、高級な手焼きせんべいや佃煮には欠かせないものです。
南蔵商店では、生引き溜を引いた後に圧搾機にかけた、圧搾溜も商品ラインナップにあります。私は、毎年11月に「三河醸しツアー」という発酵醸造の蔵見学のツアーを企画しております。今年で6回目となりますが、何度みても南蔵の仕込み方の丁寧さ、実直さには、本当に頭が下がる思いです。なぜこのように手間暇を惜しまず、ホンモノを作り続けることができるのだろうかと。都会では、ともすると醤油のひとつとして料理をしてしまうことを反省してしまいます。それほど南蔵のたまりの仕込みには、魂をゆさぶられる感動があります。
たまり醤油には麦を使用しないため、「グルテンフリーの醤油」として、最近では欧米への輸出が急増しているそうです。グルテンフリーだからではなく、たまり醤油の美味しさをわかってほしいと願っています。
南蔵は全てのたまりが木桶をつかって仕込みされています。100年以上使用された木樽とは思えないほど、美しいのです。蔵に足を入れ、凛と澄んだ空気の中にいると不思議と疲れが取れる気がします。微生物たちが目には見えない世界を作り出しているのでしょう。
たまり醤油を使った冬の養生茶を紹介します。蔵で毎回出してくださるお茶なのですが、番茶にたまり醤油を少々いれ、生姜のすりおろしをちょっぴり加えたもの。寒いときの一服に、忘年会の後の二日酔いにもぴったりです。
でも、醤油ならなんでもいいというわけではございません。できれば、南蔵商店のたまり醤油の黒い雫でお願いします。
【価格】200ml 540円(税込)
※掲載情報は 2017/11/27 時点のものとなります。
料理家/フードディレクター
タカコナカムラ
山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。
一般社団法人ホールフード協会 代表理事