ポルトガルから伝わった長崎・平戸の郷土菓子「カスドース」

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2017/11/09 公開

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ポルトガルから伝わった長崎・平戸の郷土菓子「カスドース」

卵の黄身たっぷりの南蛮風フレンチトースト

書籍の取材で長崎県の平戸に行ってきました。九州の最西端に位置する平戸は、長崎よりも先に中国や朝鮮半島、ポルトガル、オランダと貿易を行なっていた歴史ある小さな港町。旧平戸藩松浦氏の城下町でもあり、街の中心部にはこの地でキリスト教を布教した宣教師フランシスコ・ザビエルにちなんだカトリック教会や三浦按針(ウィリアム・アダムス)の墓所、復元されたオランダの商館などが点在し、歴史好きにはたまらない情緒あふれる街でした。

 

異国情緒あふれる平戸には、ポルトガルの伝統である卵の黄身や、当時高価だった砂糖をたっぷり使った南蛮菓子が松浦家の門外不出のレシピとして受け継がれていました。その代表格が「カスドース」です。

 

カスドースの「カス」はカステラ、「ドース」はポルトガル語で”甘い”を意味するdoce。カステラを作る過程で四角く切り分け、溶いた卵黄にくぐらせたあと熱した糖蜜の中で揚げるように浮かび上がらせ、さらにグラニュー糖をまぶしたお菓子です。いわば南蛮風のフレンチトーストで、濃厚な卵の黄身と、歯触りのいいグラニュー糖がクセになりそうな味わいでした。

 

平戸では、松浦家の御用菓子司だった「蔦屋」がカスドースの元祖を名乗っていますが、その他にも商標の関係でカスドースと類似した別名のお菓子が複数、販売されていました。それぞれ少しずつ風味が違うので、食べ比べてみるのもおもしろいですよ。

 

また平戸には、牛蒡餅というもうひとつの名物菓子があります。こちらも松浦家の茶席で食べられていたお菓子でした。松浦家には「百菓之図」というお菓子の図鑑が代々伝えらており、日本古来のものから、ポルトガルやオランダ、東南アジアなどの影響を強く受けたものまで、さまざまなお菓子が散見され、興味深い限りでした。

ポルトガルから伝わった長崎・平戸の郷土菓子「カスドース」

牛蒡餅

※掲載情報は 2017/11/09 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青木ゆり子

各国・郷土料理研究家

青木ゆり子

雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。

地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。

「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著作「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)。

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