そば屋のくぢら餅
佐藤長三郎そば 山形県酒田市入船町5-1-105
前回に引き続き、今回も東北の味を紹介します。
その名は「くぢら餅」です。鯨の肉が入った餅!?とつい想像してしまいますよね。
しかし鯨肉は入っておらず、「久しく良く持つ餅」という意味から「久持良餅」(くぢらもち)なのです。
今夏に旅した、山形県酒田の山居倉庫で出会った逸品『そば屋のくぢら餅』です。
明治26年に建てられた土蔵作りの米倉庫が9棟連なる山居倉庫。
18万俵も収容可能とは、さすが米どころ庄内です。
ここから旨い米は各地に向け、船で積み出されていったのでしょう。
倉庫の黒板壁と樹齢150年以上といわれるケヤキ並木の姿は雨の後も美しかったです。
この「くぢら餅」の材料は、米どころ山形県庄内の旨い米(もち米とうるち米)を搗いたもの。黒糖や味噌、塩や醤油で味付けし、胡桃を練り込んで、せいろで蒸してつくるのです。
古くは、携帯食、兵糧として利用された保存食であったといいます。また、ひな祭りにはひな菓子と一緒に供えるため、各家庭の味を競い手作りする習慣があったそうですよ。
長い歴史を持つくぢら餅は、今ではスイーツと呼ぶより“おやつ”と言ったほうが馴染む素朴な味、小腹がすいた時の間食にうれしい味です。
黒糖の色でしっとりと褐色に輝く「くぢら餅」
実は私、甘いものは少々苦手なのです。が、これはうまい!好き!です。辛党の方にもトライしてほしいものです。
食感はういろうに似ており、味噌や醤油の塩味が黒糖の甘味を程よく抑えた甘辛味、時々プチっとやってくる胡桃のリズムと濃厚なコクが絶妙です。
昔から変わらない、素朴な懐かしい味わいに安心感があります。もちろん緑茶との相性は良いですが、ほうじ茶にも合います。
ホットミルクやソイミルクとも、コーヒーやカフェオレとも意外にもぴったりな”モダンコンビネーション” も発見! これは、私のお気に入りの組み合わせです。
新鮮な感覚で味わっていただける“おもてなしスイーツ”としても、お客様に召し上がっていただくと、お話も弾みます。
素朴な絵と文字が印象的なラベル。
左の一竿は味噌味、右の皿は黒糖味の「くぢら餅」です。
味噌味・醤油味・黒糖味の3種があり、特に黒糖味がおすすめです。
一竿は大きいようですが、案外すぐに食べ切ってしまいます。
開封直後は、材料そのままの風味とモチモチ感を楽しめます。時間が経つと少しずつ固くなるので、1㎝ほどの厚さに切りフライパンで焦げないように焼くと、外は香ばしく、中は餅らしい柔らかい触感が生まれ、美味しく食べられます。
「くぢら餅」のパッケージは、ご覧のようにシンプルで素朴です。味はこのイメージ通りの懐かしい素朴なおいしさです。
お洒落スイーツが幅を利かす中で、『そば屋のくぢら餅』は、愚直な変わらぬ味でその個性を放っています。
これからの寒い季節に向けて、温かいお茶orホット珈琲と「くぢら餅」で、ほっこりした時間を過ごしてみてはいかが?
商品は山居倉庫の観光物産館だけで販売しています。
お求めは現地の観光物産館にて、もしくはお電話orメールにて。
sakataminato@cameo.plala.or.jp (製造元メール)
酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」
酒田市山居町1-1-20
TEL:0234‐24‐2233(酒田観光物産協会)
佐藤長三郎そば 山形県酒田市入船町5-1-105
※掲載情報は 2017/10/28 時点のものとなります。
ライフスタイルデザイナー
長尾典子
日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。
西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。
季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。
旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。
著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック
食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。
食空間コーディネート協会理事
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com