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カレーとスイーツのコラボレーションの第三弾はおまんじゅう
この連載は担当様より「カレーというテーマで書いてください」とお話をいただいている。カレー。あまりにも広く、普遍的なもので他のキュレーター諸氏も当然取り上げるべきものとして書いていらっしゃる。仮にもカレー専門家を名乗り、ここippinの執筆陣に加えたいただいた手前、よくあるネタでかぶってしまってはいけないと強く思っている。なおかつちょっと担当様のはなをあかしたいといういたずら心もあって、カレーの王道から半歩外したものを取り上げることも多いのだ。たとえばインド製のバナナの葉を模したメラミントレー。(https://ippin.gnavi.co.jp/article-2384/)たとえば今流行りの南アジアでよく食べられているビリヤニに現地の人がよく合わせる飲み物はコーラ。
そういう視点から最後の一滴まで香りを楽しめるコーラ専用グラス。(https://ippin.gnavi.co.jp/article-2442/)
カレー専門店自慢のサラダドレッシング。(https://ippin.gnavi.co.jp/article-8762/)いずれもカレーを引き立ててくれる楽しいアイテム。紹介する比率を王道のカレーそのものと半々ほどにして変化球を投げ続けているのだ。
閑話休題。
さて、今回ご紹介しようと思ったのはカレースイーツ。カレー味のお菓子はあまたあるが、甘いお菓子でカレー味というものも存在する。アジアのスイーツというジャンルもあるだろう。面白いものがたくさんある。インドのスナック類は全てがスパイス入り。キャンディーにだって入ってる。今回ご紹介するのはそういうアジアエスニックのものではなく、宮崎・都城(みやこのじょう)メイドのお饅頭だ。
宮崎の銘菓、もはやソウルフードと言う人もいるほど地元の人に愛される「チーズ饅頭」というお菓子がある。お土産にも大人気で一説には県内で200店を超えるお店がチーズ饅頭を製造販売しているのだとか。サクサクの生地とふんわり生地の二派に分かれているそうだ。あんこの代わりにチーズがフィリングされた饅頭、と考えるとわかりやすい。甘めの生地にチーズが組み合わさりあまじょっぱい幸せ味のお饅頭なのだ。
「宮崎カレーチーズ饅頭」
はそのストレートなその名前通りのもの。
宮崎ご当地グルメの雄、チキン南蛮カレーの専門店「カレー倶楽部ルウ」と同地のケーキの店「Taiki」のコラボレーションで完成したカレースイーツだ。「ルウ王子の華麗なスイーツプロジェクト第三弾」というサブタイトルが付く。第一弾「宮崎カレーチーズプリン(カレー専用みやこん醤油使用)」第二弾「肉球カレー上にゃま菓子」と意欲的にカレーとスイーツの接点を求めて開発が続いているプロジェクトから生まれた。
カレー倶楽部ルウ代表のルウ王子が開発の特製カレースパイスをTaikiのこだわり生地に練りこみ、サクサクに仕上げてある。チーズ部分との相性が抜群によいのはもう食べる前からも想像できた。
この鬼気迫るパッケージ群をご覧いただきたい。思わず笑ってしまうこの感じ。キャラクターはカレー倶楽部ルウのルウ王子そのままだ。こんなゆるキャラ風を装いながら、地元都城のために汗を流す熱血漢がカレー専門店、カレー倶楽部ルウを率いるルウ王子だ。
カレーのミクスチャースイーツといえるこれ、お世辞抜きでかなりうまい。
おまんじゅうなのに口元に持っていくとまず香りがカレーで驚かされると同時に面白くて思わず笑いがこぼれてしまう。
表面ツヤツヤ食べるとサクッとする意外な食感の皮の部分。甘いのになぜかほのかにカレー味というこれがなかなかのバランスで、そこに存在感たっぷりのクリームチーズが餡としてたっぷりはいっている。これがまたうまい。酪農王国、宮崎都城の乳製品の底力を感じさせる。コクあり酸っぱくクリーミー、そんなチーズにあまじょっぱい饅頭の皮の味、これは大変に良いマッチングだ。パクパクとたちまち食べきってしまった。
アジア各国のエキゾチックな味のお菓子、スイーツはたくさん存在する。インドのグラブジャムーンやナムキーン、タイのカノムモーケン、スリランカのワダラッパン、どれも魅力的なものばかり。しかし耳慣れない名前に尻込みする御仁も多いと思う。
そういうものではなく、カレーという日本人にわかりやすいキーワードと愛する地元の銘菓をカレー側に巻き込んでの見事な着地、画期的だと感じた。日本にはカレー味を名乗るお菓子が多数存在する。その中で生菓子で上手にバランスをとったこれは名品と呼んで差し支えないだろう。
※掲載情報は 2017/08/31 時点のものとなります。
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キュレーター情報
カレーライター・ビデオブロガー
飯塚敦
食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。