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アイスクリームやワインの香りづけに
4月6日に東京・渋谷で行われた、ギリシャ・ヒオス島の伝統食品である樹液の一種”マスティハ”を紹介する「欧州PDO製品※1:貴重なしずく」に参列させていただきました。
当日はギリシャ大使をはじめ、ギリシャから来日したヒオス・マスティハ生産者組合の関係者や医学博士によるプレゼンテーションと、実際にマスティハを使った料理の試食会が行われました。マスティハの製造法などを生産者から直接聞くことができ、大変有意義に過ごさせていただきました。
さて、日本ではまだほとんどなじみのないマスティハ(英語でマスティック)ですが、ギリシャでは古代から健康によい食用ガムとして歯磨き粉や、ワイン、食品の香りづけに使われてきました。ヒオス島にしか生息しないウルシ科の低木マスティハの樹液を原料とし、現在では免疫増強力や抗菌、殺菌力などの医学的効能があることも証明されているそうです。
また、マスティハのひのきに似た独特の芳香を利用して、ギリシャではマスティハ味のアイスクリームなども販売されています。
これはギリシャでしか食べられないのだろうなと思っていたのですが、マスティハをパウダーにした製品が日本にも食品として輸入されているのを知り、さっそくゲット。市販のバニラアイスクリームにマスティハ・パウダーを混ぜて、ギリシャの味を再現してみました。
真っ白くさらさらとしたマスティハ・パウダーは、パンやクッキーなどにも混ぜて使うそうですが、その芳香を楽しむには、乳製品がもっとも合うように思います。
また、古代ローマの甘いワイン「ムルスム」にも、マスティハが香りづけに使われていました。現代でも、市販の白ワインにはちみつとマスティハ・パウダーを混ぜるだけで、古代の味を手軽に再現できます。ご興味あればお試しを。
※1 PDO(Protected designation of origin)「原産地名称保護」食料品の原産地名を認定し、それら食品を保護するための制度。
※掲載情報は 2017/06/12 時点のものとなります。
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キュレーター情報
各国・郷土料理研究家
青木ゆり子
雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。
地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。
「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。