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256層のパイ生地を職人が手作業で成形
銀座7丁目に本店を構える洋菓子の「ウエスト」。1947年(昭和22年)の創業時は、「GRILL WEST GINZA」の名前で、レストランとしてスタートしました。街中の喫茶店でコーヒーが1杯10円の時代、1,000円のコース料理を出す高級店。ところが、開店から半年後、高級メニューを禁止する都条例が施行されたため、製菓部門のみを残して、喫茶店として再出発することに。喫茶店としての「ウエスト」は、単にコーヒーやケーキを出すだけでなく、解説つきでクラシック音楽を流すなど、当時としては画期的な試みを行い、文化人の集う場所としても知られるようになりました。
私は1955年(昭和30年)に主婦の友社に入社し、料理記者としてスタートしましたが、仕事の打ち合わせや取材の待ち合わせなどで、たびたび「ウエスト」の銀座本店に足を運びました。モダンな店内に、クラシックの調べとコーヒーの香りが漂い、素敵な雰囲気だったことをいまでも覚えています。その後、1962年(昭和37年)に西銀座地下駐車場の工事が始まり、生菓子の売上が減少。生菓子に代わる主力商品として考案されたのが、パイやクッキーなどの「ドライケーキ」です。中でも「ウエスト」の代表作といわれるのが、東北地方の原乳を使用したフレッシュバターと小麦粉生地を256層に折りたたみ、職人の手作業によりひとつひとつ木の葉の形に成形した「リーフパイ」。サクッと軽い食感で、表面をおおった白ザラメ糖のカリカリとした歯ごたえも楽しめる一品です。「ウエスト」はケーキやシュークリームもおいしいのですが、「リーフパイ」は生菓子より日持ちするため、取材先への手みやげなどに重宝したものです。8枚入りから45枚入りまでさまざまなサイズがあるので、差し上げる先の人数に応じて選べるのもポイント。ミニチュアサイズで食べやすい「リトルリーフパイ」もあります。
※掲載情報は 2014/12/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食生活ジャーナリスト
岸朝子
大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。