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「ビールを飲む日」から「キリストの誕生を祝う日」へ
今回は、ノルウェー王国大使館、水産参事官のヘンリック・アンデルセンさんにノルウェーのクリスマスに関してお話をお伺いしてきました。
ノルウェーには「ユール」と呼ばれるビールの一種を飲む祭が古くから存在していました。これは、一年で最も夜の長い冬至の頃に、収穫と豊穣を祈り、誕生を祝い、死を崇めることを目的としたものでした。900年代に、当時の王様がキリストの誕生に敬意を表して、ユールを飲む日を12月25日に定めたことから、クリスマスは次第にキリスト教にちなんだものとなっていきました。ユールを飲んで祝う昔ながらの風習は今も色濃く残っていますが、住む地域によって食べる物が全く違うのが特徴です。例えば、海のある南側では新鮮なタラ料理を食べますが、内陸部にあたる東側では、豚がごちそうという具合です。ノルウェーの人にとって、自分のふるさとの伝統料理はとても大切なもの。クリスマスに家族が集まると、食事にはそれぞれの出身地の料理が勢揃いします。
貴重な保存食を食べる日でもあったクリスマス
日本のお正月のように、一年で一番大きな出来事として家族が集まるクリスマス。寒さの厳しいノルウェーのクリスマス料理には、作物の穫れない時期の保存食として、塩漬け、燻製、発酵食品などの伝統技法で作られたものが多く登場します。特に豚や羊はごちそうです。ある調査によると、ノルウェー国内でクリスマスに「ポークリブ」を食べる人は過半数、次いで「ピンネヒョット(子羊)」を食べる人が3割いるそうです。それに対し、アメリカ風の「ターキー」を食べるのは都市部を中心に全体の1割程度にとどまっています。いずれにしても、これらの料理は脂肪分が高く、ノルウェーのごちそうはヘビーで脂が多いと言えます。これは、普段タンパク質を摂る食材が、じゃがいもくらいしかなかったことから、この日だけに許された贅沢なのです。
7つのお菓子でお祝いを
ノルウェーのクリスマスにお菓子は欠かせないものです。代表的な7つのお菓子があり、それぞれに名前があって形や作り方にも特徴があります。クッキーのような焼菓子が中心で、各家庭で手作りをするのが習慣でした。現代は市販のものもありますが、レシピは変わらず伝統菓子が作り続けられています。これらのお菓子は保存がきくため、つくり置きして客人をもてなすという目的もあります。ノルウェーには「グロッグ」と呼ばれる、レーズンとアーモンドを加えた甘いワインがあります。これを、クリスマスより少し前の時期に、クッキーと一緒に味わってクリスマス気分を楽しんだりします。
アイシングスターターセット
クリスマスのケーキ、クッキーを初めとしたスイーツには、デコレーションが欠かせません。アイシングと呼ばれるデコレーションをよく行いますが、これを使えば、簡単にアイシングデコレーションができちゃいます。今年の冬は少し変わったスイーツでホームパーティとかいかがですか?
※掲載情報は 2014/12/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ノルウェー王国大使館
長く複雑な海岸線を持つノルウェーは、古くから漁業国として発展してきました。海は冬でも凍らず水温は安定しています。美しいフィヨルドは、山から溶け出す雪が冷たく澄んだ海に混じり、魚を育てる絶好の塩分濃度を保ちます。理想的な自然環境に加え、水揚げから輸送まで、最新技術を駆使し徹底した品質管理が行われています。サーモン、サーモントラウト、サバ、ししゃもなどは、日本でも人気の食材です。
大自然の恩恵を受けているのはシーフードばかりではありません。夏の白夜の太陽のもと、野菜、果物やベリー類はゆっくりと熟し、滋味あふれる味わいとなります。水分をたっぷり含んだ草を食んだ動物の肉も豊かな風味を持ちます。 伝統的なノルウェー料理は、季節の特色を生かし、素材の持ち味を生かすシンプルかつ効果的な方法で調理します。
ノルウェー料理は、本質を保ちながらも、他国の食や嗜好に影響されながら洗練を重ねてきました。現在では多くの意欲的なシェフが地域の特性を活かしながら変革を探求する「新北欧料理」の担い手として世界中の料理人にインスピレーションを与えています。また、近年はノルウェーのコーヒー文化が注目を集めています。