【クローズアップ】簡単で美味しいレシピでスペインの食文化を伝えたい 加瀬まなみ

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2017/04/07 公開

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【クローズアップ】簡単で美味しいレシピでスペインの食文化を伝えたい 加瀬まなみ

まだ「料理ブログ」という言葉がなかった頃から、インターネット上でいち早く料理写真とレシピを公開し、それがきっかけでOLから料理研究家への転身を果たした加瀬さん。何度も訪れたスペインで地元の料理に魅せられ、もっと多くの方にスペイン料理の魅力を伝えたいと、初心者でも簡単に作れる美味しいレシピを考案し、大人気となっています。そんな加瀬さんが今回、食通が集う隠れ家店激戦区の東銀座で3月にオープンした「ギンザ オリーバル」のオリーブを使った看板メニューを初プロデュース!スペイン料理との出会いや、レシピ作りの極意についても教えていただきました。

趣味の料理が仕事に!出版をきっかけにプロの道へ

【クローズアップ】簡単で美味しいレシピでスペインの食文化を伝えたい 加瀬まなみ

【まずは料理研究家としてのお仕事について、あらためて教えていただけますでしょうか。料理のレシピを作る以外にも、どんなことをされていますか?】

 

ときどき、自分が何者なのかわからなくなることもあるんですよ(笑)。それくらい食にまつわることならなんでも、お話があればお引き受けしています。最近では、生徒さんにきっちり教える実習タイプの料理教室ではなく、私がデモンストレーションして作った料理を試食していただく、イベント形式での料理教室が中心になっています。

 

レシピ開発に関しては、企業様からのご依頼でレシピを作る機会が多く、それに紐付いていろんなお仕事につながっていくことが多いですね。例えば、食品会社の公式サイトで紹介するためのレシピを考えて、その料理の撮影に立ち会ったり、イベント会場内でのデモンストレーションを担当したり。

 

それと、Web媒体で執筆する機会も増えていますね。現在は「ippin」のほかに、スペイン料理のガイドをしている「All bout」、「家ワイン」のコラム、オフィシャルサイト「Muybien」がありまして、基本的に載せている写真は全部自分で撮っています。

 

【料理研究家になった経緯についても、教えていただけますか? 】

 

ふつう、料理を仕事にしている人たちにとって、自分の料理本を出版することが一つの目標だと思うんです。でも私の場合、まず出版のお話が先にあって……。料理研究家になるきっかけが出版だったという、異色なスタートでした。

 

それまでは、一般企業でOLをしていました。システム部に配属されていた時に、ちょうどニフティサーブからインターネットに切り替わる過渡期で、会社のホームページを立ち上げることになりました。今はサイトの更新も簡単に行えますが、その頃はまだHTMLタグを手打ちする必要があって、その練習になれば……と思い自分のホームページを作ったんです。何をテーマにしようかと考えて、毎日作っている夕食の写真とそのレシピを公開するようになりました。当時そのようなことをしている女性はほとんどいなかったこともあり、出版社の方が目に留めてくださって、料理本を出版するお話をいただきました。

 

当時私は30代になったばかりで若かったことと、家庭でも作れるようなカジュアルな料理を公開している点も新しかったようです。本を出すと、次にその宣伝のためにテレビ出演のオファーがあり、今度はその番組を見た企業様から「一緒にやりませんか?」と声がかかって。その後もトントン拍子で話が進み、気がついたら「プロを名乗ってもいいかな?」というくらい料理の仕事が増えていました。

 

もともと料理は好きでしたが、自分では友達にふるまえる程度のレベルだと思っていたので、料理を本格的に習って上手くなりたいと思ったこともなければ、料理を仕事にしようとは思ってもみなかったですね。

日本との共通点が多いスペインの食文化を発信したい

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加瀬さん提案のレシピを生かし誕生した「オリーバル」の看板メニュー。店のテーマである「オリーブ」をふんだんに使い、スペイン料理のエッセンスを効かせながら、日本人の口にも合うようにアレンジした「ギンザ オリーバル」でしか味わえないメニューばかり。


【加瀬さんとスペイン料理との出会いとは? 】

 

実は、私の両親が仕事の関係で15年ほどスペインに住んでいたことがあるんです。私はすでに社会人だったので日本に残りましたが、里帰りのような感覚でちょくちょくスペインに行くようになって。父の職業は教員だったので、生徒さんのご家族とも交流があったんですね。そういう方たちにスペインの家庭料理を教えてもらったり、地元のバルなどで気になった料理があれば「どうやって作るの?」と聞いたりしていました。

 

私はスペインの店で料理修業をしたわけではないので、レストランのシェフが作るような料理は教えられません。でも、日本でいうなら「肉じゃが」のような家庭料理を担当するのが私の役割かなと思っています。


【加瀬さんにとって、スペイン料理の魅力とはどんなところにあるのでしょうか?】

 

スペイン料理と聞いて思い浮かぶものに、どんな料理がありますか?おそらくほとんどの人が「パエリア」と答えて、他にはせいぜい「アヒージョ」くらいしか思いつかないのではないでしょうか。「サングリア」や「ガスパチョ」は、名前は有名なのにスペインのものだとは知られていない……そんな感じだと思うんです。

 

でも、スペインって日本との共通点がたくさんあるんですよ。まず緯度がほぼ同じ。そして北の方へ行くとリアス式海岸が続いていて、東へ行くと、日本と稲作技術の交流をした歴史がある米どころの地域もあるんです。リアス式海岸や田んぼのある風景を見ると、日本にいるような懐かしさを覚えるほどです。

 

食の文化にも共通点があって、「ハモン・セラーノ」と呼ばれる豚の生ハムは、作り方が日本の鰹節と同じカビの力を借りて熟成します。天ぷらとよく似た「フリット」もありますし、魚も米も食べるところも似ています。そして、特殊な調味料もないので、日本と同じように味わいのシンプルな料理が中心。日本人の嗜好にすごく合うはずなんです。

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「オリーブ豚モモの串炭火焼」(400円) 
脂がのったオリーブ豚をジューシーに炭火で焼き上げ、加瀬さん提案レシピのオリーブを使った野菜たっぷりのさっぱり「サルサ」と一緒に。炭火独特の香ばしさとお肉の脂をさっぱりといただく絶妙な組み合わせでビールでもワインでも!

 

【スペイン料理を日本で紹介するにあたって、どんな思いがありますか?】

 

料理やワイン、ビールや水に至るまでスペインのものを揃えているお店は、私みたいなスペイン好きにはとっても魅力的です。でも、私から見て日本におけるスペイン料理は、まだそこまで周知されていないと思うんです。だからもっと入口が広いお店も必要かな?と。パエリアを食べながら日本のビールを飲みたいな、という人がいてもいいと思うし、食後にはイタリアのドルチェを食べるのもいいと思うんです。和食がいっぱいテーブルに並んでいる中に、一品だけスペイン料理が入っているとか。そういうところからスペイン料理に触れていただく、今はまだそういう段階なのかなと思っています。

 

だから私の作るスペイン料理は郷土料理のクラシカルなレシピではなく、ちょっとお醤油を使ってみるなど、どこかアレンジを加えているものが多いんです。でもそれをきっかけに、もっと本格的なスペイン料理が食べたくなって、スペインへ足を運んでくれるような人が一人でもいたらいいなと思っています。


【これまで日本でブレイクしたスペイン料理としてパエリアやアヒージョがありますが、次に流行りそうなスペイン料理はありますか?】

 

これが難しくて……。わからないですね。なぜアヒージョがここまで人気になったのか、本当に不思議なんです。このヘルシーブームの日本で、油をあんなに使った料理がここまで流行るとは(笑)。

 

でも、「ピンチョス」はこれから人気が出てくれると嬉しいです。スペインでは串が刺さっている料理をもれなくピンチョスと呼ぶのですが、日本のほとんどの方は、刺さっている串をつまんで食べる小さなフィンガーフードを想像すると思います。でも、スペインの北部にあるサン・セバスチャンという街のピンチョスは、パンの上に具材がたっぷり盛られた食べ物なんです。そのピンチョスが日本で流行らないかしらと思っています。ボリューミーで高さもあるので、インスタ映えもしますよ。

 

ちなみに、ピンチョスに刺してある串は何のためだと思いますか?手を汚さずに食べるため、崩れないように留める目的もありますが、もともとはお会計の時にどれだけ食べたかわかるようにするためだったんです。日本の回転寿しのお皿と同じ考え方ですよね。こんなところにも日本とスペインの共通点を感じます。

 

【今まで出会ってきた中で、一番印象深かったスペインの食べ物は?】


「ippin」で紹介させていただいた中で、最もインパクトのあったのが「ロルダン」のオリーブです。(紹介記事→https://ippin.gnavi.co.jp/article-1557/)オリーブというと、しょっぱい、酸っぱいというイメージがありましたが、それが見事にくつがえされました。肉厚で、オリーブ本来の味というものが感じられて、ほかのオリーブも食べるようになるきっかけとなりましたね。


そしてもう一つ、スイーツでは茨城県守谷市にある「スペイン菓子工房ドゥルセ・ミーナ」のポルボロンです。(紹介記事→https://ippin.gnavi.co.jp/article-3634/)スペインで初めて食べた時にとっても驚いたお菓子で、その味が日本でも食べられることに驚きました。

本当に必要なものだけを残す「引き算」のレシピ

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【加瀬さんはこれまで、家庭で短時間で簡単に作れるレシピを多く考案されていますが、そういったレシピを作るときのポイントとは? 】

 

お仕事の場合は、クライアントである企業様の商品(素材)ありきでレシピを作ることが多いですし、あらかじめ指定されたテーマや料理名をお題としていただくこともあります。ただ、すべてに共通して言えるのは、まずは頭の中で料理を作ってみること。ゴールを決めてからじゃないと動けない性質なんです。

 

実際に料理をしながらする作業としては、「これは本当に必要なのかな?」と思ったものを足さないで作ってみること。まずは引き算をするんです。材料も工程も最小限で作り始める。そしてうまくいかず、何かが足りないなと思ったら、そこで初めて足していくんです。

 

私自身、本に載っていて作ろうと思った料理の材料が多いと、それだけで作るのが嫌になっちゃうんです(笑)。そんな私の面倒くさがりな部分をレシピに投影させようと思うと、一品でも少なく引き算に引き算を重ねたレシピが、おのずと完成します。だから生徒さんたちには「もし、私のレシピで面倒くさいと思う工程があっても、それを抜いたら美味しくなくなると思ってね」と伝えています。なくてもよい工程、入れなくてもなんとかなる材料なら、絶対に私のレシピには入れません。

 

【「ippin」の記事を通して、どんなことを伝えたいと思っていますか?】

 

やはり自分が好きなもの、いいなと思ったものを伝えたいという思いが強いですね。それと、スペインに関するお仕事をしている立場上、もっとスペインの魅力が伝わるような商品をご紹介したいと思っています。

 

スペインの国民性にはおおらかで大雑把なところがあるので、食に関しても誤解を受けやすいと感じています。日本との共通点が多く、味付けも上品。お菓子だってくどそうと思われがちですけれど、決してそうじゃない。日本人の嗜好に合う食文化であることが伝わりやすいものを選ぶよう心がけています。

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【今後チャレンジしてみたいことはありますか?】

 

スペイン国内で食べ歩きをするようなお仕事があったらいいなと思います。スペインは長い歴史の中でいろんな国がまとまってできた国なので、同じ名前でも地方によって全然違う料理もあって奥が深いんです。帰国時の体重増加を覚悟して、スペイン中の料理を食べつくしてみたいですね(笑)。

 

【加瀬まなみメニュー監修:GINZA OLIBAR ギンザ オリーバル】

 

オリーブ×バルをコセンプトにした新しい形のバル。小豆島産「オリーブ豚」の炭火焼をメインに、オリーブを使った様々なメニューが銀座とは思えない良心的な価格で楽しめる。「オリーブラッシー」「オリーブおにぎり」「オリーブ稲荷」など、加瀬さんがレシピを提供したメニューにも注目。

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「オリーブラッシー(豆乳)」(480円)

 

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「オリーブおにぎり」(450円)

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「オリーブ稲荷(2個)」(450円)

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「大山どりのカリカリ炭火焼」(1,380円)

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タパスメニュー「カマンベールとオリーブのポテトサラダ」(500円)

 

【クローズアップ】簡単で美味しいレシピでスペインの食文化を伝えたい 加瀬まなみ

取材協力:GINZA OLIBAR ギンザ オリーバル
東京都中央区銀座3-12-16
03-6264-2255
公式サイト
http://www.ginza-olibar.tokyo/

 

【プロフィール】

埼玉県熊谷市出身。料理研究家。得意分野はスペイン料理の簡単で手軽なアレンジレシピと、ワインにあわせたマリアージュの提案。TV・イベント出演、撮影監修、レシピ開発、商品コンサルの他、「All about」ではスペイン料理のガイドを担当し、「家ワイン」のコラム『すっぴんワイン』など執筆活動も行う。著書に『フライパンひとつで作る絶品パエリア』、『5分でできた!』シリーズ全7冊、『2ステップレシピ』ほか多数。

http://www.muybien.info/

※掲載情報は 2017/04/07 時点のものとなります。

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