松前漬の主役はするめだとしみじみわかる味わい、龍野屋の松前漬

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するめの食感と風味をしっかり感じる

松前漬の主役はするめだとしみじみわかる味わい、龍野屋の松前漬

松前漬はご存知ですよね。醤油漬の数の子ギラギラの間に昆布とするめの千切りがまとわりついているイメージでしょう。キットになっているものも売っていて、母親がそういうものを買ってきて作るときはニンジンの千切りなんかも入れていました。ところがどっこい、本来の松前漬はそういうものではありませんよというのが、こちら龍野屋さんの松前漬。数の子は「そう言えば入ってるね」という程度。それよりも幅をもって刻まれたするめの千切りの方にずっと存在感がある。食べてみても、このするめのしこしこの食感がよくて、するめ、昆布、醤油のハーモニーを感じながらも、「ああ、確かにイカを食べてる感じがするなぁ」としみじみ思うものです。

かつては数の子など入れなかった

松前漬の主役はするめだとしみじみわかる味わい、龍野屋の松前漬

龍野屋さんによれば、数の子入りの松前漬が売られるようになったのは昭和40(1965)年頃からとのこと。冷蔵物流で数の子が手に入りやすくなり、世の中の景気もよかったので豪華になっていったんですね。しかし、龍野屋さんはあくまで古式松前漬にこだわります。主役はあくまで上質なするめであることと、昆布、醤油と合わせて熟成したときに醸し出される風味こそが松前漬の命であることを大切に考え、数の子はあくまで花を添える脇役です。今回は買いませんでしたが、「特製松前漬」というものも作っていて、その材料はするめ、昆布、醤油だけ。数の子はなし。砂糖もその他の調味料も一切使わないという超硬派です。次はこちらも試してみたいです。

※掲載情報は 2015/05/16 時点のものとなります。

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キュレーター情報

齋藤訓之

FoodWatchJapan 編集長

齋藤訓之

北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。

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