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チーズフォンデュだけではないスイス料理の魅力
西ヨーロッパの真ん中に位置し、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、リヒテンシュタイン公国の5カ国と接し、隣国との影響を強く受けながら、独自の文化を築いてきたスイス。面積は日本の九州よりもやや小さいながら、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語と4つの公用語を話す地域があり、食文化も各言語圏により大きく特色があります。
スイスはヨーロッパの屋根といわれる、アルプス山脈とジュラ山脈が国土の70%を占め、その名峰が描き出す雄大な風景を求めて世界から多くの観光客が訪れています。そんな山岳地帯では、酪農も盛んに行われているため、チーズなどの乳製品が数多く作られています。
スイス料理の代名詞ともなっている「チーズフォンデュ」はあまりにも有名ですが、実は言語圏や地域ごとに様々な料理が楽しめる郷土料理大国でもあります。そびえ立つ山々により守られてきた地域ごとの文化は、食にも強く影響を残しています。
さらに、美しく雄大な自然がもたらす豊かな恵みは、シンプルで素材そのものを楽しむような素朴な味のものも多く、その土地でしか食べられない郷土料理が数多く存在します。
古い街並みと静かに流れる美しい河川のある街ソロトゥルン
今回、お話を伺ったスイス大使館 商務担当参事官のロジェ・ツビンデンさんはベルンとバーゼルの間にあるソロトゥルンの出身。
ソロトゥルンはジュラ山麓でアーレ河畔に位置するソロトゥルン州の州都。ローマ時代に遡る歴史を誇り、中世には自由都市として栄えました。18世紀の建築が現存するなど、様々な建築様式が混ざり合った古い街並みが続きます。特に貴族の邸宅などのバロック建築が有名でバロックの街としても知られています。
また、教会や噴水、塔の数、大聖堂の祭壇や鐘などが全て11の数に揃えられていて、スイス連邦にも11番目に加盟するなど、聖なる数字11の街と言われています。
そんな歴史ある街ソロトゥルンには、やはり独特の郷土料理があります。ソロトゥルンに流れるアーレ河から採れる小ぶりの魚を揚げた「エグリ・フィレ」。衣を薄くつけた魚を油で揚げた料理です。
そして、ソロトゥルンのお菓子といえば、「ソロトゥルン・クーヘン」。サクランボから作った蒸留酒「キルシュ」を染み込ませたケーキです。
もともとクーヘンはドイツ語でケーキのことを言いますので、まさに、ソロトゥルンのケーキという郷土を代表するケーキとして知られています。
1915年から老舗菓子店「SUTERIA」で作られているこちらのケーキは丸く絞られたメレンゲにクリーミーなヘーゼルナッツクリームがサンドされています。ソロトゥルンを訪れたら、是非食べていただきたい逸品です。
また、こちらの「SUTERIA」では、良質な材料を惜しみなく使ったスイスチョコレートも人気で、フランス産シャンパーニュを贅沢に使ったシャンパントリュフはお土産にもおすすめです。
また郷土料理といえば、お祭りにあわせてその時しか食べないという名物もあります。ソロトゥルンには、何世紀にもわたり受け継がれてきた、イースターの時期を迎える前に行われるソロトゥルンカーニバルがあります。仮装した人々が鳴り物を鳴らし早朝から大きな音を響かせながらパレードなどを行い多くの見物客で賑わいます。
そんなお祭りの時に必ず食べられるのが小麦のスープ「メールスッペ（Mehlsuppe）」です。このお祭りには欠かせない特別なスープ。毎年、この時期にしか食べない伝統の味です。
隣国の影響を受けながらも独自の文化を築いてきたスイス
地理的条件から生まれた郷土色豊かな食文化、隣国に影響を受けながら言語圏ごとに異なる食文化を発展させてきたスイス。ドイツ語圏では、ソーセージやジャガイモ料理、イタリア語圏ではパスタやピザなどそれぞれ隣り合う国の影響を強く受けています。また、豊かな自然がもたらす恵みはジビエ料理なども多く食べられてきました。
様々な食文化は多様性を受け入れるスイスならではの食の楽しみであると同時に、独自の伝統や文化を守るという気質を頑なに貫くスイス人ならではの文化を象徴するひとつの特色なのかもしれません。
現在、人口の25%を外国人が占めるスイスでは、異なる文化を広く受け止めながら、更なる食文化の発展がこれからも続いていくことでしょう。
今回は在日スイス大使館 商務担当参事官 スイス・ビジネス・ハブ日本代表 ロジェ・ツビンデンさんにお話をお伺いしました。
※掲載情報は 2017/02/27 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スイス大使館
雄大なスイスアルプス、澄んだ湖、歴史ある古い街並みが魅力の観光大国、スイス。
隣接する国々の食文化の影響、地理や気候条件といった自然環境、4つの言語圏ごとに息づく個性的な伝統は、文化的多様性に富んだスイスに多彩な郷土料理も、もたらしました。湖でとれる魚料理、豊かな緑の中で放牧される牛から作られる乳製品など、スイスの食は土地の自然と密接に結びついています。また、スイスは、精密さ、熟練の職人技、イノベーションといった価値を日本と共有しています。このような価値観は、時計や薬品といった工業製品だけでなく、チョコレート、チーズ、ワインといった伝統的な食品にも反映されています。
知られざるグルメ大国スイス。伝統と最新技術が融合する食と、美食をさらに引き立てる、質の高い「食」を取り巻くスイス・デザインをご紹介いたします。
