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日本一のお菓子の街、信州・飯田「名代 大きんつば」
信州の城下町「飯田」が“お菓子の街”というのはあまり知られていない。菓子業界には「半生菓子」というカテゴリーがあり、飯田地域の国内生産量シェアは、40%にものぼるという。市内には大小様々な菓子店が存在し、その割合は他の業種と比較しても、人口10万人規模の山間地方都市としては確かに多いと実感する。諸説あるが、江戸時代以降、城下町として栄えた飯田は、名水に恵まれていたことで「茶の湯」文化が育まれ、明治・大正と文明開化・殖産興業のもと養蚕地帯として繫栄し、財を成した商人や地主らは茶室を備え、京から茶人を呼び寄せ茶会を開いたことが菓子業の多い所以でないかといわれている。
知る人ぞ知る歌舞伎座名物に「いろはきんつば」なるものがある。この歌舞伎座名物の「きんつば」は飯田の老舗和菓子さんによるもので、和泉庄(いづしょう)の「名代 大きんつば」がそれだ。
文政元年(1818年)、菓子処「和泉庄」は創業。初代 和泉屋庄三郎より数えて現在八代目が“一子相伝”の手造りの味を守り、つくり続けている。
「きんつば」は、知られたことだが刀の鍔(つば)を模ったといわれる。今では、平たい六面体の四角いきんつばが主流だが、本来は丸い。径6センチ、厚さ2センチの「大きんつば」は、ずしりと重く、申し訳程度に薄く衣を纏う。この重みは「つぶし餡」そのものだ。中央の窪みが、なおさらに刀の鍔を想わせる。割れば断面は武骨ながら、丸い姿は、文字通りに角のない甘さ。つなぎのない小豆の「つぶし餡」はそこそこのボリュームだが、切れ味鋭い甘さというより、この滋味深き甘味についもう一つと手が伸びるから危険である(笑)。刀といえば武士の命。それを模った「きんつば」とは、想えばなんと男らしいことよ。“黒文字で行儀よく”ではなく、この武骨なきんつばは“手掴みでガブリ”とやりたい。
※掲載情報は 2017/01/23 時点のものとなります。
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キュレーター情報
グルメプロデューサー、グルメブロガー
スイーツ番長
強面のルックスとスイーツのギャップ、そのライフスタイル、そして見識の深さ、個性的な文体と美しい写真による独自のスイーツ評が耳目を集め、テレビ、ラジオ、新聞雑誌、WEBコンテンツ、ソーシャルメディアなどでも活躍するほか、スイーツ&グルメなどのプロデュース、催事、イベント等も精力的に展開する傍ら、テレビコマーシャルなどにも出演。世界最大級の女子会と呼ばれる日本女子博覧会グルメ&スイーツプロデューサーに就任し博覧会イベントなどを積極的に展開している。
著書に「男のパフェ」(日本出版社)、「スイーツ番長の至高の10大スイーツ」(東京書籍)、「手みやげスイーツ100選」(東京地図出版)。TSUTAYA.com eBOOKs「ガチで美味しいパンケーキBest34 首都圏版」では自ら電子書籍の編集人も負う。
フードキュレーター協会代表、2014年にグルメブログのインフルエンサーユニット「たべあるキング」を旗揚げし主宰を務める。