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記事詳細
紹介している商品
創業1945年京和菓子處「鼓月」が、2016年12月9日「鼓月 麻布十番店」をオープンしました。都内では3店舗目となる路面店です。
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オープニングレセプションに伺ったのですが、職歴38年以上を誇る和菓子職人さんの繊細かつ丁寧な手技がご披露され、生菓子とお抹茶のおもてなしでとても華やかなひと時でした。
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職人の森さんがお造りになっている和菓子の名は「南天」。美しい花びらに仕立てあんの緑は抹茶です。丁寧に裏ごしされてあっという間に美しい形に完成しました。南天の花言葉は「福を成す」。お茶席や通常のおもてなしはもちろん、年末年始には特におめでたいお菓子として人気です。
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「鼓月」のお菓子はこのように「職人さんの技と知恵」が活きたお菓子ばかり。実は看板商品の「千寿せんべい」もそうです。このお菓子の誕生きっかけはご存知ですか?
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それは何と、約50年前にドイツから誤って「焼肉用の機械を輸入してしまった」からだそうです。聞いた瞬間は「え?焼肉?」と驚いてしまいました。職人の皆様は困りつつも「輸入してしまったものは仕方ない」と考え抜いた末に、肉を焼くギザザの部分を活かしたところ、当時は非常に珍しく斬新な形状のお菓子ができあがり「これなら!」と閃きが走ったそうです。
さらにギザギザの表面を「海の波間」にみたて、中央には鶴の影が映る様子を表現。鼓月らしい上品でおめでたく、おいしい「千寿せんべい」が完成したそう。
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僭越ながら申しますと「ピンチをチャンス」とされたご発想が素晴らしいと感じました。名前や味の和洋折衷さも素敵です。「せんべい」ですが、2枚合わせであっさりしたシュガークリームが挟まれ、ちょっと洋風なお味。厚みがある食べ応えながらも、口どけ良くおいしい。今ではお子様からご年配の方まで幅広く愛されているお菓子です。
確かな職人技術で歴史を守り、柔軟な発想で造られる「鼓月」のお菓子。千寿せんべいの誕生エピソードも会話のきっかけにしながら、これからもお手土産に愛用しようと思います。
※特に年末年始やおめでたいお席には金銀箔入りの千寿せんべいなど種類も豊富にあります。詳細はホームページをご参照くださいね。
※掲載情報は 2016/12/26 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
里井真由美
2012年食専門家として独立。グルメ誌で連載開始、世界15カ国以上のレストランに着物で伺うスタイルが話題に。テレビ番組はコメンテーターやグルメレポート等2年間で70以上に出演。現在「jcom街声!グルメランキング」レギュラー出演中。
最近では講演、大学講座、コンテスト審査員、日本の食文化を高めるべく海外のクールジャパンセレモニー出席や、お米の世界大会審査員等国際的に活躍の場を広げ、2015年ミラノ万博日本館のオフィシャルサポーターにも任命される。
<兼任>
◎(社)日本ソイフードマイスター協会顧問
◎ 日本の食の親善大使「食のなでしこ」
◎ 米食味鑑定士、唎酒師、オリーブオイルソムリエ
◎ ASEAN食のコンシェルジュ
◎ 「たべあるキング」和食・フレンチ・アジアン担当
【テレビ出演】
■NHK「美の壷」■テレビ朝日「関ジャニの仕分け」■日本テレビ「メレンゲの気持ち」■フジテレビ「笑っていいとも」■TBS「花まるマーケット」他