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苦労が報われたときの味は格別でした!
大学芋に、芋けんぴ。芋せんべいに、芋ようかん、スイートポテトなどなどお芋を使ったお菓子はたくさんありますよね。どれも私の大好きなお菓子の一つです。
今から数年前の出来事です。それらのお芋を使ったお菓子に対して、私が求めるクオリティーのハードルを一気に上げてしまう出来事が起こったのです!それは仕事で鹿児島を訪れた時のことです。仕事の合間をぬって、「郷に入っては郷に従え」のままその土地の習慣や風習、食文化を楽しんでおりました。
あるときの夕食で、「今日は旬の採れたての安納芋があるから、その天ぷらがオススメですよ!」と、店員さんに言われるがままオーダーしました。
待つこと5~6分、熱々の揚げたてを出してくれました。
普段からお蕎麦を食べることが多い私は、トッピングでお芋の天ぷらをよく食べます。そのため口にした瞬間、普段何気なく食べているお芋の天ぷらと安納芋の天ぷらの違いに、「ピーン!!」と来たんです。
一般的にお芋の天ぷらは、「ホクホク」(個人的な意見です)です。それに比べ同じお芋でも糖度の高い甘~い焼き芋は、「ネットリ」しています。しかし採れたての安納芋の天ぷらは、「ネットリ、ホクホク」両方の良いとこ取りだったんです!いや~衝撃的でした!調べたら、お芋にもオクラや山芋にある粘り気を出す成分と同じモノが含まれているようですが、安納芋は他の種のお芋よりもその成分が強いらしいです。
この経験の後、私は安納芋を使ったお菓子を手当たり次第に探しました。「安納芋〇〇」と書かれたお菓子やパンを見つけては試食しました。
流通して、加工してお菓子にすることから、あの時の感動と100%同じものが見つかるわけがないのはわかっていました。でも限りなくそれに近いものが見つからないかと目を光らせていて、やっと見つけたのがこの「種子島産 安納芋ケーキ」です!加工するからには、お芋の甘さを引き出す技術とネットリ感を表現するケーキの焼きの技術が問われます。そして、なにより惜しみなく原材料に安納芋を使用することです。
ケーキとしてのクオリティーも良いのはもちろんのこと、何より他のなんの種でもない鹿児島で食べたあの安納芋の味がしっかりするんです!
実はここは、お菓子の最も大切な役割でもあります。その地方の名産を加工してお菓子にしたお土産や素材に惚れこんで、地場に持ち帰り商品化された商品はたくさんあります。それはやはり限りなくフレッシュで、現地で食べた物に近くなければいけません。
このケーキは私にとって、そういったプロ根性が垣間見えたような商品でした!
※掲載情報は 2016/11/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
二木の菓子 専務取締役 商品開発部長
二木英一
「二木の菓子」ではお菓子の専門店として常時約10,000種類のお菓子を取り揃えて日本中、世界中からお客様をお迎えしています。(規模によりますが一般的な小売店で約500~1000種類位と言われています)文化も、環境も違う地域から見つけてくるお菓子は驚きと、感動がいっぱいです!中には決して大型店舗では、売られる事のない名品も沢山あります!私は、食べる時に思わず感情移入してしまう名品を探すべく日々情報収集と自分の足で確認する事を仕事としています。また最近は独自の視点から商品開発も手がけております。それは、私がお菓子のプロとしてお客様から求められる提案に、手土産があるからです。昨今、お菓子ブームから、ただ売れている商品に似せて作った物が多くあります。そこで、決して流行や売れている物の真似ではなく、お菓子が本来持っている手渡しする意味や本物を形にする為、企画からお菓子が出来るまでを「ふたつ木」という自社ブランドでご提案しています。2015年5月テレビ東京「ガイアの夜明け」~進化するお菓子驚きの販売手法~出演 著書「なぜ20円のチョコでビルが建つのか?」Amazonマーケティングカテゴリー1位獲得