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中国から伝わり、長崎で卓袱(しっぽく)料理に進化した
長崎、そう聞くと妙にワクワクしてしまうのは、僕だけでしょうか?僕が友達同士で初めて旅行に行ったのが長崎でした。それは中学2年の頃。当時、寝台特急(ブルートレイン)が流行していて、3段ベッドの寝台車に揺られて旅をしました。そして出島などの異国情緒あふれる雰囲気、平和公園や片足鳥居などの原爆の悲しい雰囲気など、もう見るもの聞くもの全てに驚いたことを覚えています。料理も独特なのでびっくりです。カステラやちゃんぽんは当然知っていましたが、トルコライスとかハトシとかの料理名に頭の中が?になりました。特にハトシ。鳩なわけがなく、そもそも何語か分かりません。実は漢字で書けば「蝦吐司」。エビのすり身や魚のすり身などを薄めの食パンで包んで、蒸して、揚げたもの。もともと中国は福建省の料理だそうで、江戸時代から明治時代あたりに長崎に伝わったのだとか。
すり身のエビ風味&カラッと挙がったパンの香ばしさ
僕が長崎でよく購入するのは、『まるなか本舗』の「ハトシロール」です。『まるなか本舗』は昭和6年創業の長崎のかまぼこやさん。長崎近海の魚を用い、合成保存料不使用にこだわる真面目な会社。ハトシは卓袱料理でしたが、次第に家庭料理にもなっていったとか。そしてハトシはエビのすり身を用いますが、ハトシロールはエビ以外にもアジや玉ねぎなども用いるとか。とはいえ『まるなか』のそれは、エビ風味が結構しっかりと味わえるタイプ。パンが薄くて香ばしく揚げられていて、ほんのり甘めな仕上がりで大きいのですが、案外すぐに完食しちゃいます。JR長崎駅構内のお土産売り場にも出店しているので、現地では購入しやすいのもGOOD。
※掲載情報は 2016/10/27 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。