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猪肉でジビエ入門
興味はあるけど、食べるのに少し勇気がいるかも……というのがジビエ料理。野生の鳥獣をいただくわけだから、むきだしの自然に対する畏れ(おそれ)のような気持ちが起こるのは当然であります。
でも、猪ならどうだろう。イメージとしてはほぼ豚肉だし、鍋にして食べる地域もたくさんある。ということで、本日ご紹介したいのは「スーホルム・島根県産猪肉のビール煮」という缶詰。ビール煮はベルギーやフランスの一部で食べられている料理で、ビールでことこと煮込むことで肉の臭みが抜け、柔らかくなり、そのほのかな苦みがコクに変身するという郷土料理。そんな凝ったものが缶詰になって登場したのであります。まさに缶喜雀躍!
シンプルな大人の味付け
かくのごとし。
缶詰は汁ごと鍋に入れて熱々にするだけ。付け合わせはベルギーでもフランスでも食べられているじゃがいもにしてみた。じゃがいもは皮をむいて塩茹でしてある。
メインの猪肉を頬張ってみると……やっ、実にうまい。まず臭みがまったくない。噛んでいるうちに牛すね肉を煮込んだような匂いがしてくるが、それをビールの香ばしい香りが包み込んでいる缶じだ。肉はとても柔らかくて、そっと噛むだけでほろほろと崩れていく。赤身と脂身のバランスもよく、煮込み肉にありがちなパサつきがないのもベリーグッド。
この缶詰の原料は、猪肉と野菜(玉ねぎ、椎茸)、黒ビール、トマトペースト、オリーブ油、ひまわり油、砂糖、塩のみ。うまみ調味料は使われておらず、塩気も控えめだ。それでいてうまみがしっかりと缶じられるのは、各素材が本来持っているうまみがミックスし、相乗効果をあげているのだと思う。
ところで、スーホルムというのは家具やインテリア製品を販売する「アクタス」が運営するレストランの名前。ここで出されているジビエ料理を缶詰でも展開しているのだ。原料はほかに北海道産鹿も扱っていて、それを黒胡椒でスパイシーに煮込んだり、デンマーク風のミートボール料理に仕立てたりしている。
鹿も猪も、現地では田畑や山林を荒らす害獣だから、一定数は駆除しなければいけない。その奪った命は、ちゃんと美味しくいただけば供養にもなるはずである。だからこの缶詰はとても存在意義があるのだ。
島根県産猪肉のビール煮は200gで1,200円。付け合わせと一緒に食べれば2人で楽しめる量がありますぞ。
ごちそうさま!
※掲載情報は 2016/10/10 時点のものとなります。
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キュレーター情報
缶詰博士
黒川勇人
昭和41年福島県生まれ。平成16年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから"缶詰博士"と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
著書は『おつまみ缶詰酒場』(アスキー新書)、『缶詰博士・黒川勇人の缶詰本』(タツミムック)、『缶づめ寿司』(ビーナイス)、『日本全国ローカル缶詰 驚きの逸品36』(講談社プラスアルファ新書)『缶詰博士が選ぶ!「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社プラスアルファ新書)、『安い!早い!だけどとてつもなく旨い! 缶たん料理100』(講談社)など。小曽根マネージメントプロ所属。
お問い合わせ Mail:k-k@kosone-mp.com