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「孫たちへ」という思いをこめて、安心・安全な油を届けたい
「窓を開けてくださいませんか」、東京からご案内するお客様を車にのせると、よく言われる言葉です。車のにおいがひどいのかなと思っていましたが(笑)、どうやら違うようです。
私も東京と岩手を行き来する生活をしていますが、岩手に戻ってくると、思わず車の窓を開けたくなるような、圧倒的な自然と新鮮な空気を感じることがあるのです。
田圃の畦道を抜け、季節の花々を横目に見ながら小川を越え、山道に入ります。農家のお宅が点在し、木々の間に畑や、休作している耕作地が見受けられる中、煙突から白い煙の上る工房があります。
「工房 地あぶら」
山間の美しい景色が見渡せるロケーションで、昔ながらの機械を使って油を絞っている工房です。もともと農業に携わっていた小野寺伸吾さんは、地元の菜種農家さんの「せっかく作った菜種を、地元で絞れたらいいね」という声を受け、仲間とともに工房を結成。農業と兼業しながら油づくりを行っていましたが、油の生産量が増えたため現在は専業で工房を切り盛りしています。
地元一関産の菜種を中心に、質のよい国産のものを厳選。優れた品質は、よい素材から引き出されるのです。
入り口近くの窯で、薪を焚いて菜種を焙煎します。湿気と暑さの中に、菜種の独特な香りが工房に立ち込めます。
焙煎された菜種は、窯の隣にある機械で搾り取られ、黄金の色をした雫となって流れてきます。こうした昔ながらの機械を使って搾り出すことで、菜種油は高熱になりにくく温度変化が少ないため、過剰な負荷をかけることなくゆっくり自然に絞ることができるのです。
そうした工程を経る分、最新の機械を使って作られた油よりは非効率的で生産性も悪いのですが、「工房地あぶら」の菜種油は、あえて手間をかけ、ゆっくりと菜種に向き合うことで、美味しくやさしい風味に仕上がっているのです。
一方、油を搾り取られて緑色になった滓は、近隣の畑に、良質な肥料となって自然に還ります。
昔ながらの手法で作った国産菜種100%の油、「まごどさ」。安心、安全。地産地消、地産「外」消。昔から変わらない、人とのつながり、自然との向き合い方。
岩手弁で「孫たちへ」という意味のこの油は、様々なものを次の世代に伝えようとしているのです。
※掲載情報は 2016/08/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
株式会社門崎格之進 代表取締役
千葉祐士(熟成肉おじさん)
お肉に真剣に向き合う(株)門崎「格之進」の代表取締役。
岩手県一関市の馬喰郎(牛の目利き)の家に生まれる。東京で一般企業に就職するも27歳で脱サラ、地元に戻り、1999年より黒毛和牛を一頭丸ごと使う焼肉店を開店。2002年より熟成肉を研究しながら、地元食材にこだわった商品開発にも力を注ぐ。
「一関と東京を食で繋ぐ」をスローガンに東京へ進出。店舗を「地元食財のショールーム」と考え、地元生産者、地方行政関係者と消費者を結びつける活動をしている。
知人達からは「熟成肉おじさん」として親しまれている。