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万葉集にもたくさん歌われている花・藤
藤の花は日本固有の花で奈良時代には園芸種としてすでに人気があったようです。
そして万葉集にも27種の歌が詠まれています。
『恋しければ形見にせむとわが屋戸に植えし藤波いま咲きにけり』
恋しいので形見にしようと自分の庭先に植えた藤が、今咲いている・・・
(楽しい万葉集より)
都から移り住んだ寂しさを癒すために庭に藤を移植したという歌のようですが、この時代一般的に、藤の花を女性に見立て、一方男性を梅に見立てて恋の歌を詠んでいることが多いようですよ。
確かに藤の花は女性らしい優雅で優しい風情があります。余談ですが藤の花が咲いている様は女性がお辞儀をしてお迎えするところに煮ているので「歓迎」という花言葉もあるとか。
また松尾芭蕉の藤を読んだこんな俳句も「草臥て宿かる比や藤の花」
くたぶれて やどかるころや ふじのはな
長旅で疲れ見つけた宿の藤の花が暖かく迎えてくれた
そんな心情が表れています。
所で一般的に見かける藤はノダフジと言われ蔓が右巻きに巻き付き、山に咲いている藤はヤマフジと言われこちらは左巻きだそうです。
日本人は藤の花には特別な思い入れがありますね。
奈良時代からが愛された藤の香りには鎮静作用があった
2011~2012年に化粧品会社のコーセーが和の香りとして藤の花の香成分の研究を行っています。この研究で分かったのは140もの香り成分が含まれていること。
その中でも特徴的な成分としてリナロール(linalool)、ベンズ アルデヒド(benzaldehyde)、アセトフェノン(acetophenone)が挙げられます。
http://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2015/10/20120125.pdf
これらの成分には鎮静作用や抗ウイルス作用などがあるとされているため、フレグランスだけでなくスキンケア、ヘアケア製品への応用を検討しているようです。
もしかしたらミツバチたちはそんな香り成分に惹かれることもあるのでしょうか。
「藤の花に行くとなんだかいい気持になるのよね」なんて会話していたら・・・
蜜腺は花びらの根元にあり、ミツバチは花の横にもぐり花蜜を吸っています。
今年の藤蜜は香りが少し弱いです…
今回ご紹介する養蜂家の長本聖史さんは日大の農学部を卒業し、ボランティア、サラリーマン、料理人を経験しました。
30歳を過ぎ、陶器販売の自営業を始めた頃に、偶然、大学時代の先輩のお父さんから、採蜜体験に誘われたのをきっかけに養蜂を始めたそうです。
現在は埼玉県春日部市に巣箱を12群持っています。将来的には30群くらいに増やしたいそうです。
そういえば春日部市には有名な牛島藤花園があり樹齢約1200年の国指定特別天然記念物の藤があります。
来年はぜひ行ってみたい。
4月~5月は春日部のいたるところで藤の香りがしているのでしょうか…
この養蜂場では昨年の秋にスズメバチの襲撃を受けミツバチが1/3ほどになってしまったようでしたが、
愛情たっぷりに育てられ元気を取り戻した巣箱には藤の蜜がたっぷり!
おとなしそうなミツバチです。ミツバチのお腹を見てください。黄色と黒のコントラストがあまり強くないですね。養蜂家が優しく接しているとミツバチはおとなしく、コントラストが薄く優しい色になるらしいです。
きっと絞っているときは藤の香りで悩殺されるようでしょう。
そして完成したはちみつがこちら
瓶の蓋をあけると酔ってしまいそうな藤の花の香りが鼻腔を刺激します。
マメ科の樹木の特徴でもある
ねっとりと舌にまとわりつくような甘い木肌のエグミと酸味。
次第に広がる果糖のグラマラスで濃厚なラムネ菓子を思わせる甘さ。
白コショウのようなスパイシーさも感じられ、今まで食べた藤のはちみつより、きりっと自己主張した甘さと酸味、スパイシーさが引き立ちます。
このはちみつを人に例えると【意志の強い大人の女性】という感じでしょうか。
その強さはきっと非加熱だから残っている酵素のお蔭でしょう。
藤の花の香り成分には強い酸化作用が含まれていると言われていますが、しっかりとはちみつが語ってくれました。
今年の藤は香りが少し弱い・・・
去年はどれほどの香りだったのかしら!
食べたかった(涙・涙・涙)
陶器販売・養蜂家・ケータリングサービスなど色々…
趣味の養蜂からスタートした長本さんはスペイン料理店(レストラン サンパウロ)・イタリアン料理店(ARMAN RESTORANTE)・スペインのピサ店(Panigacci)など有名な料理店で働いていたようです。
養蜂を始めてからはその誠実な人柄にほれ込んだ知り合いからもお声がかかり、イベントのケータリングサービスもしているとのことです。その際採れたはちみつを使って料理したり、チーズや飲食店とのコラボレーションもしているそうです。
巣箱の数があまり多くないからこそできる、蜜源植物にもこだわった「非加熱で香りを大切にした高品質のはちみつ」を本当に愛してくれる人にだけ届けたい。
作り手として誠実な思いから決して離れない。その思いが一瓶のはちみつには溢れています。
まだまだ勉強中とおっしゃるご夫婦です。
藤のはちみつ、数に限りがあります。ぜひ食べてみてください。
こんな感動を伝えるはちみつをプレゼントにもどうぞ。売り切れだったらごめんなさい。
※掲載情報は 2016/06/06 時点のものとなります。
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キュレーター情報
日本はちみつマイスター協会代表理事
平野のり子
2009年日本初のはちみつ資格
「特定非営利活動法人 はちみつマイスター養成講座」の本部講師として通信講座のテキスト作りやテイスティング講座・はちみつ美容講座などを開催。
以前から鬱があり、はちみつを食べる事ですっかり元気になる。
この経験をもとに、2012年「一般社団法人 日本はちみつマイスター協会」を立ち上げ、一つひとつのはちみつが持つ個性や特徴を引き出す食べ方や使い方をご紹介。
主に通学講座、セミナー、テレビ、ラジオ、雑誌等ではちみつの素晴らしさを紹介。その他レシピ製作、企業セミナー、はちみつ専門店の社員教育等も行う。
毎年8月にはちみつづくしのイベント「はちみつフェスタ」を主催。
はちみつ好きには堪らないイベントとして定着。http://www.83m.info/event/2014-festa.html
また監修本、美肌になるための衣食住に使えるレシピ本「美肌メソッド」は河出書房から絶賛発売中。