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食感、酸味、甘味のバランスが最高の逸品
「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」がパリにオープンしたときは衝撃的でした。伝統的には円形に作るサントノレが四角形になっていたり、パリ・ブレストがお花のような形になっていたり……。また、ショーケースというものは存在せず、一つ一つのお菓子が天井から釣るされたガラスの容器の中に大切そうに収められています。お菓子は今までも時代の要望とともに、甘さや油脂分を控えめにして、軽めに作られるようになったりと変化してきましたが、その外観の概念を取り払ったこの店のお菓子は、その演出方法とともに、新たな時代のフランス菓子の到来を感じさせました。
そんなお店が日本にも上陸。京都に続き、東京・新宿のNEWoManにこの4月オープン。NEWoMan新宿店ではお菓子はショーケースに並んでいますが、最初に目に飛び込んできたのが、大きな大きなさくらんぼに見立てた美しい輝きを放つこのスリーズ。なんとパリのものは、もっと大きいのだとか。しかし、このフォルムは最後に与えられたもので、まずは作りたい味があったそうです。
それは、スリーズというお菓子。伝統的なスリーズを尊重しながらも、口溶けをもっと軽やかに、お酒も控えめな現代的なスリーズを考案。クリームやムースショコラにはメレンゲを加え、シロップがなくても軽く溶けるようなビスキュイで構成しています。そして特筆すべきは、グリオット・アマレーナ・サワーチェリーと3種類のチェリーを使用し、それぞれの食感や酸味、甘味を生かした構成になっています。また、本来のスリーズは表面がチョコレートのコポーで覆われていますが、このスリーズはチョコレートを薄くかけて、最後にグラサージュでコーティング。食べるとパリッとした食感に目が覚めます!サプライズなお土産にもおすすめです。
※掲載情報は 2016/05/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フランス菓子・料理研究家
大森由紀子
学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。