Delfino コラトゥーラ・ディ・アリーチ 100ml
(株)ラポルティ TEL:03-6303-1300
先日ローマに行ってきまして、かねてから念願の古代ローマ料理レストランを訪ねることができました。
現在のイタリア料理はトマトを多用しているため赤っぽいイメージがありますが、コロンブスやマゼランが新大陸に到着する以前の大昔は、まだイタリアに南米原産のトマトがなかったので、全体的に白っぽい料理が多かったといいます。調味料も現在のイタリアとは違っていて、当時のアピシウスのレシピなどを読むと、「ガルム」という魚醤が頻繁に登場して、ずっと気になっていました。
さて、その古代ローマ料理レストランでは、もちろんガルムを使ったメニューがありました。「ポロ・オキシゾマム」という鶏料理で、これが今食べてもシンプルでとてもおいしく、びっくり。ぜひ日本に帰って再現してみたいとまずはガルム探しから始めましたら、こんな商品を発見……。
残念ながら、1世紀前後の古代ローマのガルムの製法は、ローマ帝国の滅亡とともに途絶えてしまったそうですが、このガルムを再現しようと13世紀以後に「コラトゥーラ・ディ・アリーチ」という、カタクチイワシの発酵うま味調味料が作られました。
コラトゥーラは、南イタリアのナポリ近郊にあるアマルフィ海岸のチェラータという街の特産品で、中でもデルフィノ社のコラトゥーラは13世紀のガルム再現の伝統を守り続ける直系子孫といわれているそう。値段はけっこう高価ながら、カタクチイワシの頭と内臓をすべて手作業で丁寧に取り除き、発酵工程にじっくり時間をかけるなど、手間暇かけたこだわりの調味料でもあります。
魚醤といえば、日本では秋田の「しょっつる」や、タイの「ナンプラー」を思い浮かべますが、カタクチイワシだけを選別して使うコラトゥーラは、それらと味は似ているものの、エグ味が少なく、上澄みをすくいとったようなすっきり感があります。
古代ローマ料理の方も、このコラトゥーラのおかげで無事に再現できました。調理の味付けはコラトゥーラだけで塩を使わないので、何ともまろやかな味になり、現代の料理のパスタソースなどにも活用できそうです。
(株)ラポルティ TEL:03-6303-1300
※掲載情報は 2016/02/28 時点のものとなります。
各国・郷土料理研究家
青木ゆり子
雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。
地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。
「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。