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先日、仕事で青森県を訪れた際のこと。大好きなシードルの工場と、一度訪れてすっかりファンになってしまった「オステリアエノテカ ダ・サスィーノ」がプロデュースするガレット屋さんが併設された施設があるということで、時間をやりくりして足を運んできました。
レストランの待ち時間が長かったので、1階にあるお土産屋さんを見て回っていた時にひときわ目を引いたのが、今回ご紹介する「コレクション・天然色塩」です。
全国各地・世界各国の塩を探究する毎日ですが、このお塩を見つけた時は、とても衝撃を受けました。というのも、塩に色をつける方法はさまざまあり、全国各地で色のついた塩が作られてはいるのですが、色づけに使う食材の色が過熱することで失われたりするため、色の種類はそれほど多くはないのです。ここまで色数が多くて、かつムラもなく、美しく塩に色がついている塩を見たのは、1,000種類以上の塩を見てきた私にとっても、初めての体験でした。
生産者は、有限会社下北半島ネットワーク機構のアグリ部門である「ベリーオーチャド下北」さん。代表の大平氏を筆頭に、過疎化が進む下北半島に仕事を生み出そうと、ボイズンベリー、ブラックベリーの特産品化を通じて、地域活性化に取り組んでいる会社です。
最初から色がついた塩を作ろうとしていたわけではないそうで、ある日偶然、アントシアニンを含んだ塩が翌朝に色彩を変えていたのを発見したことで興味を持ち、そこから色々と研究していくうちに、天然成分のみで発色させたカラフルな塩や砂糖の市場性を感じ、商品化に至ったそうです。
通常、塩をサラサラに保つためには、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムなどの固結防止剤を入れたり、また、退色を防ぐために酸化防止剤などを入れたりすることが多いのですが、この「コレクション・天然色塩」には、人工着色料・香料・固結防止剤などの添加物は一切使用していません。もともとポインズベリー等の生産をしていた代表の大平さんが、「自然に潜む色彩を発色させること」を徹底して、400種類以上のアントシアニンの温度・加熱時間・湿度等の変化を研究し尽くして、この美しい発色を実現することに成功しました。
音楽や絵画のように美しい塩を目指して
そして、この塩のコンセプトは「音楽のようなソルト・絵画のようなソルト」。
食卓をより楽しく彩るために、色のついた塩を使って、瓶の中にサンタクロースや来年の干支であるサルや、パンダ、こけし等を描いた商品も製造しています。どうやったらこんなに上手に塩で絵が描けるのか、とても不思議です。瓶の中の塩が笑っているのにつられて、こちらも笑顔になってしまいそうですよね。
可愛いパンダや、国旗を描いたシリーズ
人気のこけしシリーズ。これが全部塩だなんて!
食卓の会話が盛り上がります
あまりにも可愛いので、ついつい飾っておいてしまいそうですが、もちろん食用なので、おいしくいただきましょう。賞味期限は約6か月。美しい色を保つためにも、冷暗所に保管をしてくださいね。
おすすめは、白か黒の器に、いろんな色の塩をのせること。それこそ、「絵画を描く」ような気持ちでのせていくといいと思います。私は絵画センスがないので、白い器に色別に分けて入れて食卓に登場させました。食卓にこの塩を運んだ時には「これ塩なの?すごいきれいな色!」という驚きの歓声があがり、食事中も「じゃあ次はこの色で食べよう」「私はこの色が好きだな~」と、会話が盛り上がりました。
ちなみに、フルーツの味はほとんど残っていないので、甘さは感じません。色によって若干の酸味を感じるものがある程度なので、さまざまな食材に合わせることができます。
みなさんも、色とりどりの塩を使って、さらに楽しい食卓にしてくみてくださいね。
※掲載情報は 2015/12/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ソルトコーディネーター
青山志穂
東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。