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アンデスの清涼な空気と水から生まれる美しき飲み味
ワインを贈る。悩ましいことかもしれません。贈る人にあった予算、好み、場面、ワインの知識。組み合わせればその答えは無限。ということで、僕のようなワイン・ナビゲーターにセレクトの依頼をたくさんいただけるわけです。そこで、新シリーズ【ワインを贈る】では、いろいろなケースにあわせたワイン選びのヒントをご紹介しましょう。
ケース1は、お世話になっている目上の方への贈り物。引退され悠々自適というよりは、直接の上司や、お祝い事などで尽力いただいた先輩など、ややカジュアルなお付き合いができる方。あまり高価なワインはお互い、気分的に重いけれど、それなりのものではないと釣り合わない。キャラクター的には自分よりも知識も人生の経験もあって、ワイン自体の知識があってもなくても「ホンモノ」に対する勘所や、それを手にする喜びは知っている。海外経験も少なくなくて、多趣味。好奇心も失われておらず、新しいものにも敏感。であれば、ある意味、定着したブランドだけに頼るというよりも、自分のセンスを知ってもらう機会と捉えたほうがよいでしょう。
そこでおススメしたいのがアルゼンチンワイン。中でもアンデスのテロワール(テロワールについては、私の過去記事「ワイン探検#1「テロワール」を感じる、楽しむ。http://r.gnavi.co.jp/ippin/article-2470/」を参照ください)の恵みを存分に味わえる産地、メンドーサのもの。近年、この地は、世界のワイン業界の大資本や、フランスの名門、名だたるワインコンサルタントの熱い視線が集まる場所。アンデスの日照と美しい風と、一方で雪解けの清らかで豊かな水、その中でおかされていない自然と世界から集まったワインメイカーの匠と技術が融合した素晴らしい作品が続出。さらに低コスト、低価格とあいまって、造り手側も買い手側も幸せな関係が深まっています。
代表的なブドウ品種は、白ではシャルドネとトロンテス、赤ではマルベック。このマルベック、以前はフランス南西部が有名でしたが、こちらは「黒ワイン」と呼ばれるほどの濃厚な色、口当たりの強さ、重厚さ、余韻の酸と渋み、苦味も手伝って、非常に強いワインという印象をもたれて、それが人気でもありました。私自身もとても好きなワインのひとつです。一方、アルゼンチン、メンドーサの特徴は重厚ながらも明るく、優しくゆったりとした飲み味、爽やかな複雑さのあとに、静かだけれども太く長い心地良い余韻。飲み応えは充分だけど重過ぎない、渋すぎない。エレガンスとワイルドの新しい融合。中でも今回ご紹介する、パスカル・トソのラインアップは、この融合をカジュアルなものから、本格的なものまでアイテムによって幅広く楽しめます。仕掛け人はポール・ホッブス。カリフォルニア発の世界でも著名な高級ワインのひとつ「オーパス・ワン」のディレクターとして活躍。ワインメイカーとしてもリサーチャー、コンサルタントとしても有能な彼が、1880年にイタリアはこれも名産地のピエモンテを離れ、可能性をもってこの地にやってきた、この地での老舗中の老舗であるパスカル・トソとタッグを組んで生まれたシリーズです。
まさにメンドーサの特徴、メンドーサだからこその要素を体現したワイン。エレガンスとワイルドの融合、重過ぎない渋すぎないけれど充分な存在感、充分な実力を兼ね備えながらも爽やかで明るく親しみやすくて、でも単純じゃない。これって、あなたが尊敬するケース1の先輩そのものかも。そんなイメージからワインを選ぶのもわくわくする楽しみ。しかもアルゼンチンというまだ日本では、ワイン好きにも定着していない産地ということが先輩、目上の人を刺激。そこにも「落ち着かないで好奇心を持ち続けてくださいね」、というメッセージ。メイン写真の「トソ アルタ マルベック」は1本7,000~8,000円ぐらい。金額的にもお世話になった方にはちょうどよいもの。オレンジラベルの定番「トソ マルベック」はアルタの世界観を、プライス、風味ともカジュアルに楽しめるもので、あまり強いお酒が得意でないという方であれば、こちらを2本、というチョイスも。
その方のキャラクター、立場、こちらからワインに込めて贈りたいメッセージ…。ここには無限ともいえる関係がありますが、それがまた広くて深くて、でも、なんだか素敵なワインの楽しみ方。今後もさまざまなケースをご紹介していきます。
アルゼンチンワインの数々、Ippin編集部がまとめたこちらの記事もご参照ください(「世界中がアルゼンチンワインに注目する日」http://r.gnavi.co.jp/ippin/article-9466/)。贈る相手のキャラクター、ワインのお好きなレベルに合わせて、たくさんのアイテムがあります。
※掲載情報は 2015/12/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインナビゲーター
岩瀬大二
MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。