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贅沢極まりない多種類のフルーツと貴腐ワインの甘美なる熟成
2011年9月、兵庫・伊丹の酒造通り沿いにオープンした「パティスリー ラクロワ」さん。オーナーシェフの山川大介さんは、高校卒業後大阪の洋菓子店で基礎を学び、大阪の｢なかたに亭｣で本格的なフランス菓子を習得。その後さらに本場のフランス菓子を学ぶべく渡仏し、｢ルソー エ スール｣で修業を積み、帰国後東京の「レピキュリアン」、名古屋の「ジョエル・ロブション」を経て、2009年マダムの実家のある伊丹へ。大阪のパティスリーで働きながら独立準備をすすめ、2011年9月この地に自店をオープンされました。
白壁に瓦屋根が続く酒造通りに突如現れる、金文字が美しく映える黒い扉。一見パティスリーとは思えない和仏折衷の趣深い雰囲気に、扉を開ける前から胸が高鳴ります。
コンセプトは古き良き時代のフランスのパティスリー。18Cのヨーロッパをイメージし、重厚感のあるアンティーク調のインテリアで統一された店内は、上品でクラシカルな雰囲気に設えられています。店内のインテリアは、シェフが滋賀のアンティークショップやフランスの蚤の市で買い揃えられたこだわりの逸品ぞろい。
年々オブジェが増え続け、お菓子よりもまずオブジェに目がいってしまうほど。お菓子もオブジェと一体化し、18Cのヨーロッパの雰囲気を見事に醸し出しています。
その中でもひと際存在感をはなつこちらの大きな棚には、 ゴールド＆シルバーのアンティークトレイの上に、沢山の種類の焼きっぱなし菓子やヴィエノワズリーが並べられています。
そして片隅にも、こんなにオシャレなコーナーが。ランコムのリップに、ポートレイト、缶やBOX、陶器の置物やフェーブetc……まさにシェフの趣味の空間。実はこの中に、私のお薦めの焼き菓子もオブジェの如く飾られているんです。
それがこちらの『ケーク オ フリュイ』ホールとカット、2種類の形で販売されています。
まずカットでお味見をしてから、箱入りでプレゼントというスタイルができて嬉しいですね。私はもっと分厚くカットして、フォークとナイフでケークのように食べたい派なので、箱なしのホールをよく愛用しています。
通常フルーツケーキというと、フルーツがラム酒に漬けこまれているのが一般的ですよね。
でもこちらのフルーツケーキは、ここが個性的な美味しさの最大の特徴なんですが、ドイツの最高峰の貴腐ワインとピノー・デ・シャラント（コニャックと葡萄果汁の美味なブレンド）をブレンドして、フルーツを漬けこまれています。
理由は、山川シェフご自身があまりお酒が得意ではないので、自分でも飲みやすいお酒を選ばれたからとのこと。アルコール感は控えめながら、封を切った瞬間に立ちのぼる甘美で麗しい香りにうっとり。
黄金色で甘い蜂蜜のような味と香りの貴腐ワインと、琥珀色で芳醇な香り、樽の風味を微かに残す食前酒 ピノー・デ・シャラントが見事に融合し、極上のエレガントなアロマに昇華しています。
香りは芳醇ながら、後味は軽やかにスッキリと切れるのも特徴的。焼き上がった後のアンビベにもこのピノー・デ・シャラントを使うことで、さらにしっとりとまろやかなテクスチャーに仕上げられています。
ドライフルーツもアプリコット、レーズン、イチジク、レモン、オレンジ、プルーン、クランベリーと種類が多く贅沢の極み。生地と同量のフルーツが練りこまれていて、噛みしめるたびに異なるフルーツが顔を覗かせる、ひと切れでも様々なフレーバーを愉しむことができます。
お日保ちは焼成後1ヶ月ですが、数日寝かせてから店頭に並べられます。そしてシェフと私の食べ頃のお薦めは、賞味期限ギリギリ！生地とフルーツが熟成し、よりまろやかな一体感を堪能していただけるからです。
シュトーレンやベラベッカなどのように、クリスマスまでに少しずつ熟成を愉しむ焼き菓子同様、こちらのフルーツケーキも日々の熟成感が美味しさのポイント。アルコール感は弱いですが、余韻に広がるアロマは酔い
しれるほどに芳醇なので、シャンパンやワインとの相性も抜群！
ラム酒のフルーツケーキも勿論美味しいですが、他ではあまり味わうことのできないちょっと個性的な貴腐ワインのフルーツケーキも乙なものですよ。
※掲載情報は 2015/11/29 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スイーツコーディネーター
松本由紀子
スイーツコーディネーター＆ライター。
一般雑誌、菓子専門誌、TV、ラジオ、webサイトと多岐にわたり、ライター＆コメンテーターとしてスイーツ情報を発信。スイーツ関連メーカーのコンサルティングを務め、商品開発、コラボ商品の企画、マーケティングに携わる。スイーツ講座（定期／単発）の講師も務める。
10名のパティシエの珠玉の一品！を集約したDVD 『Sweets美術館』をプロデュース＆出演。
http://www.amazon.co.jp/Sweets美術館-2012-松本由紀子/dp/B00BPJSFF2
百貨店催事やイベントをプロデュースし、「スイーツコーディネーター松本由紀子セレクション」なる冠催事を展開。
＊2012年11月～：フランスフェアー@JR大阪三越伊勢丹
＊2014年2月：サロン・デュ・ショコラ@JR大阪三越伊勢丹
＊2015年2月：アムール・デュ・ショコラ@大阪高島屋
＊2015年10月～：松本由紀子セレクション@阪急うめだ本店
ORIGINE KOBEの広報を務める。
http://r.gnavi.co.jp/ippin/article-2060/
