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今回は駐日ポルトガル大使のジョゼ・デ・フレイタス・フェラースさんに ポルトガルの秋の風物詩「栗祭り」についてお話をお伺いしました。
11月の伝統的な祭り「マグーシュト」
ポルトガルでは毎年、11月に「マグーシュト」と呼ばれる祭りが開催されます。日本語では「栗祭り」の意味で、ポルトガル全土に浸透している伝統的な祭りです。冬の到来を祝い、作物の収穫への感謝祭でもあります。ポルトガルのお盆にあたる11月1日から始まり、11月第二週の週末まで続くのが一般的です。中でも盛大に祝われるのが11月11日。この日はキリスト教の聖・マルティーニョを祝う「聖マルティーニョの日」でもあります。ポルトガルで「マグーシュト」と言えば、スペインとの国境にあるマルヴァンという小さな村で開催されるものが特に有名で、人口わずか数百人程度のこの村には、この時期約2万人もの観光客が訪れるほどです。
旬の栗をアツアツのローストで!
11月は、ポルトガルの数多い名産品の中でも、特に栗が美味しい時期です。そのようなこともあり、「マゴーシュト」の期間中は『焼き栗』がいたる所でよく食べられています。家族や親戚が集まれば、たき火で栗を焼いてみんなで食べます。炭火でローストしただけのシンプルな『焼き栗』は、ほくほくして香ばしく、街中には屋台が登場するなど、ポルトガルの名物にもなっています。
焼き栗との相性抜群の期間限定ワイン
「マグーシュト」に欠かせないのは、焼き栗だけではありません。焼き栗と一緒に味わう『アグアペ』と呼ばれる若いワインも、この時期ならではのものです。ワイン作りの過程で残るペースト状のブドウに水やアルコールを加えたもので、高級品ではない“庶民のワイン”とも言えます。衛生上の理由などから他の土地へ出回ることはなく、当然のことながら日本でも入手することはできません。このように、その土地でしか味わえない地産地消の『アグアペ』を飲んで、人々は1年間の労をねぎらい収穫を祝っているのです。
『アグアペ』と同じく秋によく飲まれるワインに『マデイラワイン』があります。こちらはポルトガル領マデイラ島産のワインで、発酵段階でスピリッツを加えて加熱処理をするという独特の製法で造られている、ポルトガルを代表するワインです。島内には伝統的な製法にこだわるワイナリーが複数存在し、今では世界各国に輸出されています。価格は数千円で変える比較的若いものから、1本数十万円のヴィンテージものまで、さまざまです。
【プロフィール】
駐日ポルトガル大使 ジョゼ・デ・フレイタス・フェラースさん
1949年10月29日リスボン生まれ、ウオメ大学(スウェーデン)歴史学科卒業 。1979年の外務省入省後、書記官として駐ワシントン大使館、駐マドリッド大使館などにて勤務。2000年12月より駐コぺンハーゲン大使、2004年2月より駐マプト(モザンビーク)大使などを歴任し、2008年 9月本省欧州局局長(2008年12月特命全権大使)に任命。2011年 5月より現職。ポルトガル国内はもとより、デンマーク、フランスなど国外からも数々の勲章を受章している。
Madeira Verdelho 1850 マデイラ ヴェルデーリョ 1850
マデイラの主要七生産者のうちのひとつに数えられ、古くから受け継がれる伝統を頑なに守り続けるペレイラ・ドリヴェイラの代表的な1850年代もののヴィンテージワイン。やや辛口で、アカシアやライラックの香りと、キャラメル、燻製、ヨード、磯の香りや腐葉土が混じった風味をもつ。熟した紹興酒と似た味わいで、甘さの中にも酸味がしっかり残るのが特徴。
Barbeito Madeira Delvino Reserva 5 years old
バーベイト マデイラ デルヴィーノ レゼルバ 5年 1946年に創立され、世界においてもマデイラワインの啓蒙と発展に貢献しているヴィニョス・バーベイト社のワイン。空圧式プレスで圧搾、発酵がかなり進んだ段階で96度のグレープスピリッツを添加。その後、樽に入れられ、太陽熱で熟成させるカンテイロシステムにて熟成。使用品種は2種類で、ティンタ・ネグラは5年、セルシアルは7年の熟成を経たものをブレンド。
原産国:ポルトガル、容量:500 ml
※掲載情報は 2014/11/02 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ポルトガル大使館
ユーラシア大陸の最西端に位置するポルトガルは、日本が初めて出会った西洋の国です。1543年の種子島到来をきっかけに日本に南蛮文化を伝えたポルトガルは、日本人の日常生活や食文化に深い影響を残しました。皆様も歴史の授業でポルトガル人到来は勉強されたのではないでしょうか。
鉄砲、西洋医学、絵画で使われる西洋技術、西洋音楽・洋楽器、天体観測機、パンや菓子等、この時代にポルトガル人が日本に伝えたものは数多くあります。カステラ、金平糖、ボーロなどは語源もレシピもポルトガルからもたらされました。パン、コップ、ボタン、てんぷら、おんぶ、かっぱ、ばってら、じょうろ、チャルメラ、オルガン、カルタ、シャボン、タバコ、ビロード、ビードロ等、日常語として定着している数多くの言葉がポルト ガル語由来なのです。
歴史的建造物、自然景観、多彩な食文化、温暖な地中海性気候、15箇所の世界遺産と、無形文化遺産に認定された民謡「ファド」などの多様な魅力に魅せられ、ポルトガルを訪れる観光客はリピート率が高いことで有名です。「初めて訪れるのに懐かしい国」と多くの日本の皆様に親しまれるのも、470年以上にわたるおつきあいがあるからかもしれません。