ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ

ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ

記事詳細


「ソパ」とはポルトガル語で「スープ」です。しかし、ポルトガル人の生活にも心にも深く根差すあの味は「スープ」というより「ソパ」という言葉を使いたくなってしまいます。

ポルトガルの食事は、つねにソパから始まります。日本のみそ汁と同じように、その味は各家庭で違いますし、レシピも数限りなくあります。食欲がなくてもソパなら口に入りますし、赤ちゃんの離乳食もソパ、職場にお弁当代わりに持っていく人もいます。
 どのソパにも野菜がたっぷり使われていますから、誰が食べても舌になじみやすく、旅行者の強い味方にもなります。

 今回は、その中でも特にポルトガル的なソパをご紹介します。これに美味しいパンがあれば、もうそれだけで充分、と言えるほど満足感を与えてくれるソパたちです。寒くなるこれからの季節に、ぜひお試しください。

風邪の時も大活躍!栄養満点のお米入りチキンスープ「カンジャ」

ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ

チキンスープ「カンジャ」。伝統的なレシピでは、シンプルに丸鶏とたまねぎを煮た中にお米やショートパスタを入れて作ります。風邪を引いたら、お母さんがまず作ってくれるのがこのスープ。消化も良く、しっかり温まります。

 

材料4人分
鶏胸肉 1枚(260g程度)

鶏手羽先 4本

たまねぎ 1/2個

セロリの葉 1本分

米 大さじ2

クローブ 3個

レモン 1/2個

ミント少々

塩 小さじ1

水 6カップ

 

作り方
1:鍋に水、鶏胸肉と手羽先(さっと洗っておく)、玉ねぎにクローブを刺したもの、セロリの葉を入れて強火にかける。蓋はしない。

 

2:沸騰したらあくを取り弱火にして30分煮る。鶏胸肉のみ取り出しさらに30分煮てからスープをこす。(約4カップのスープができる)

 

3:鶏胸肉は皮を取り除き細くさく。2を鍋に入れ米とプレミアムシーソルトを加えて15 分煮る。鶏胸肉を加え味見をして塩を足す(分量外)。

 

4:スープ皿に注いでレモンの輪切りとミントを浮かべる。

 

(レシピ提供:メルカード・ポルトガルhttps://www.m-portugal.jp/recipe/recipe269.html)

 

写真およびレシピ作成:丹田いづみ

ポルトガルの国民的な緑のスープ!!カルドヴェルデ

ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ

カルドは「汁」、ヴェルデは「緑」、つまり「緑のスープ」という名前の通り、緑が鮮やかなソパです。ポルトガルを代表する国民的なソパと言えます。この濃い緑色はポルトガルキャベツの千切り。アブラナ科のケールの一種です。ポルトガルではこのキャベツを千切りにする専用の機械もありますが、スーパーではあらかじめ千切りにしたものが売られているのをよく見かけます。このポルトガルキャベツの千切りをじゃがいものポタージュと煮込みます。アクセントにチョリソーの薄切りを乗せ、香りのよいオリーブオイルをひとたらししたら出来上がりです。

ポルトガルの民話に登場する「石のスープ」

ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ

最後にご紹介するのがポルトガルの民話にも登場する「石のスープ(ソパ・デ・ペドラ)」です。これは、ポルトガルの民話に登場するスープで、その逸話が今も残されています。その昔、一人の修道僧が貧しい村にたどり着きました。石でスープを作るから鍋と水を貸してくれと言って、鍋に石を入れてゆで始めました。そのうちに、男は、塩を加えるともっとおいしくなるといって、持ってこさせて味見をし、次は野菜、肉、とつぎつぎに食材を持ってこさせました。そして、完成したのが「石のスープ」です。まるでミネストローネのようなスープですが、今でもこの地方では「石のスープ」を作る際には、本物の石を入れることもあるそうです。

※掲載情報は 2018/10/22 時点のものとなります。

  • 3
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
ポルトガルの「お母さんの味」、ソパ
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

ポルトガル大使館

ポルトガル大使館

ユーラシア大陸の最西端に位置するポルトガルは、日本が初めて出会った西洋の国です。1543年の種子島到来をきっかけに日本に南蛮文化を伝えたポルトガルは、日本人の日常生活や食文化に深い影響を残しました。皆様も歴史の授業でポルトガル人到来は勉強されたのではないでしょうか。
鉄砲、西洋医学、絵画で使われる西洋技術、西洋音楽・洋楽器、天体観測機、パンや菓子等、この時代にポルトガル人が日本に伝えたものは数多くあります。カステラ、金平糖、ボーロなどは語源もレシピもポルトガルからもたらされました。パン、コップ、ボタン、てんぷら、おんぶ、かっぱ、ばってら、じょうろ、チャルメラ、オルガン、カルタ、シャボン、タバコ、ビロード、ビードロ等、日常語として定着している数多くの言葉がポルト ガル語由来なのです。
歴史的建造物、自然景観、多彩な食文化、温暖な地中海性気候、15箇所の世界遺産と、無形文化遺産に認定された民謡「ファド」などの多様な魅力に魅せられ、ポルトガルを訪れる観光客はリピート率が高いことで有名です。「初めて訪れるのに懐かしい国」と多くの日本の皆様に親しまれるのも、470年以上にわたるおつきあいがあるからかもしれません。

次へ

前へ