実はビール大国のフランス!香りも苦味もエレガントな仏産クラフトビール

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苦みと甘味が淡く消える、フルーティで繊細なIPA

フランスは言わずと知れたワイン大国。しかし、実はビールの醸造も盛んな国であることをご存知でしたか?フランスのビールのブルワリー数は2012年の時点で約380社(日本地ビール協会発表。ちなみに米国は同年で約2,050社、日本は約260社)、世界的に見ても第3位のブルワリー数を誇るビール産出国なのです。

 

フランスのビールと言えば最初に思い浮かぶのは、スッキリした味わいの「クローネンブルグ(Kronenbourg)1664」」。フランスで約40%の市場を誇る銘柄なので、飲んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回ご紹介するビールは、フランス北部、シャンパーニュ地方の近くで生まれたビアスタイル「ビエール ド ギャルド」をメインに造っているブルワリー「ブラッスリー デュ ペイ フラマン」製のビールです。

 

ビエール ド ギャルドとは、これは、19世紀に冷蔵技術が発達する以前からフランス北部で造られていたビール製法です。冬の間にビールを仕込み、木樽で発酵させセラーで貯蔵(ギャルド)したもの。トロリとした麦芽の甘味が特徴ですが、そのビエール ド ギャルドの醸造を得意としたブルワリーが造る、ホップの苦味が効いたIPA(インディア ペール エール*)「アノステーケIPA」が絶品なのです。

ホップを多く使うビールは世界的なトレンド

近年、ホップの香りと苦味を特徴とするビールの人気が世界的に高まっています。例えば自国の伝統的なビアスタイルにはホップの苦味がさほど多くなかったヨーロッパ各国の醸造所も、ホップを使ったビールを次々と発表しています。

 

IPAと言えばアメリカンホップが主体の柑橘系の香りと苦味、そして甘味が強いビールというイメージが強いのですが、アノステーケIPAはひと味違う。確かに香りは柑橘系で、口に含めばしっかりした苦味を持ってはいます。しかし、飲んだ後の甘味は強すぎず、苦味とともに淡く消えていきます。しかも、酵母が醸すマスカットやモモ、プラムのようなフルーティな香りが余韻として長く残る……という、繊細な味わいなのです。

実はビール大国のフランス!香りも苦味もエレガントな仏産クラフトビール

ブラッスリー デュ ペイ フラマンはフランス北部のフランドルとアルトワの国境にあるブルワリー。親友同士のオリバー・デュショーさんとマチュー・レセニーさん(写真)が2006年に創業しました。ブランド名の「アノステーケ」とは土地の古い言葉で「次に向かって」という意味が込められています。

 

彼らはその言葉通り「次に向かって」、前述のビエール ド ギャルド製法と他国で生まれたビアスタイルを融合させた「アノステーケ ブロンド」(黄金色のビール)や「アノステーケ インペリアルIPA」(黒ビール)を造り、2008年からは米国とブラジルへの出荷を始めました。

 

そして今年5月、多くのホップを使ったビールという世界的なトレンドを鑑みて発表したのがアノステーケIPAなのです。米国産のIPAとはひと味違うエレガントさに、さすがワインの国のビールだ! と感激することでしょう。ぜひ試してみてください。

 

■アノステーケIPA(330ml)
原産国:フランス
原材料:麦芽、ホップ
アルコール度数:6%
*ビアスタイル:IPA(India Pale Ale)
「IPA」とは「インディア ペール エール」の略称で、18世紀に英国で生まれたビアスタイル。当時の植民地、インドへ船で運ぶ際にビールの劣化を防ぐため、殺菌効果のあるホップを大量に使ったことから苦味が強いビールができ、これが人気を博した。IPAは、クラフトビールの中でも人気のあるビアスタイルのひとつです。IPAを飲んでクラフトビールファンになる人も少なくない

※掲載情報は 2015/10/15 時点のものとなります。

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キュレーター情報

野田幾子

ビアジャーナリスト

野田幾子

ビアジャーナリスト/ビアアンバサダー
ビアコーディネーター
日本ビアジャーナリスト協会副会長

1994年にベルギービール、1996年に国産地ビールの美味しさに目ざめ、周りにクラフトビールの普及活動を開始。2007年にビアバー・ビアパブムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン刊)の全体構成、執筆、編集を担う。その後ほぼ毎年シリーズを刊行、2014年4月、6冊目「ビールのある日常をより楽しく」を提案するムック『ビアびより』(KADOKAWA・エンターブレイン刊)刊行、編集長。現在、ビール専門誌『ビール王国』に寄稿、編集担当。

クラフトビール入門者向けの講座を開催。
ビールと料理の組み合わせのスペシャリストであるビアコーディネーター(クラフトビアアソシエーション認定)。

2000年よりライター/エディターとして独立。株式会社コラボトリエ代表。
2010年、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)設立。同副会長。

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