シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ
スイス・ドイツ菓子こしもと
(写真)ドイツ連邦共和国大使館 一等書記官 広報担当 マリオ・クレープスさん
私の出身地であるフライブルクは、ドイツ南部にある都市です。ドイツ南部と聞くとバイエルン州を思い浮かべる方が多いと思いますが、バイエルンがあるのはドイツの南東。フライブルクは南西に位置するバーデン=ヴュルテンベルク州にあります。日本で「黒い森」と呼ばれているシュヴァルツヴァルト地方最大の都市で、ドイツで最も有名な大学の1つであるフライブルク大学があることから、たくさんの学生や大学関係者が住んでいる大学都市でもあります。街の中心には、いわゆる中世ドイツのイメージそのままの街並みが残り、小さな川が張り巡らされているのが特徴です。昔は生活用水として使われていたようですが、今は夏になると足をつけながら本を読む学生の姿も見受けられ、夏の風物詩となっています。
また、フライブルクは早くから環境問題に取り組んできた環境都市としての側面もあり、再生可能エネルギーの開発などが発達しています。2002年には、ドイツの大都市で初めて緑の党の市長が誕生したことでも話題になりました。さらに、フライブルクは国内で最初に歩行者天国が生まれた街でもあります。街の中心部のほとんどが終日歩行者天国になっていて、80年代からそのような対策を取ってきた革新的な街とも言えます。
フライブルクの観光地と言えば、最も有名なのがミュンスター(大聖堂)です。中世に作り始めて完成まで漕ぎつけた数少ない教会です。中世は大きな教会を建設し始めても、資金が尽きて長年未完成のまま、というケースが少なくありません。ところが、フライブルクでは銀が取れたことから潤沢な資金源を持ち、最後まで作り上げることができました。
13世紀から14世紀に約100年かけて建設され、今も街のシンボルとしてたくさんの観光客が訪れています。もう一つ、フライブルクの魅力として忘れてはならないのが気候です。天気の良い日が非常に多く、日照時間はドイツの中で最も長いのが特徴です。そのため、定年退職後に移住する人たちも多く、ドイツ国内のアンケートでは、約半数の人が「一度は住んでみたい」と答えるような憧れの街でもあります。
日本で「黒い森」という意味のシュヴァルツヴァルトは、フランスとの国境に近い山と森が豊かな一帯を指します。フライブルクと同様にバーデン=ヴュルテンベルク州に含まれ、針葉樹が多いことから昔は「暗い森」と呼ばれていたようです。食べ物の名物として一番有名なのが「黒い森のハム」です。燻製には森の中の木が使われており、約3ヶ月もの時間をかけて作られます。他には、「キルシュ・ヴァッサー」と呼ばれるさくらんぼの蒸留酒が有名です。キルシュ・ヴァッサーほどではありませんがが、プラムや梨を使ったアルコール度数が43度くらいある果物ベースのお酒もあります。
キルシュ・ヴァッサーと言えば「黒い森のケーキ」作りには欠かせません。日本ではドイツのお菓子と言えば「バウムクーヘン」が有名ですが、ドイツ国内で一番知られているのは「黒い森のケーキ」でしょう。スポンジ生地をキルシュヴァッサーに浸したり、しみこませ、上にさくらんぼとチョコレート飾った甘いケーキです。ドイツでは、このケーキを作るには、シュヴァルツヴァルト産のさくらんぼの蒸留酒を使われる事が多く、伝統が守られているスイーツです。
【シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ】
さくらんぼの蒸留酒を使った、シュヴァルツヴァルト伝統のスイーツ「黒い森のケーキ」は日本でも販売されているのをご存知ですか。今回は、この地方の伝統の製法で作られた「黒い森のケーキ」をご紹介しますので、ぜひ一度味わってみていただきたいです。
スイス・ドイツ菓子こしもと
※掲載情報は 2015/10/13 時点のものとなります。
ドイツ連邦共和国大使館
駐日ドイツ連邦共和国大使館は、日本におけるドイツ政府を代表する機関です。ヨーロッパの中心に位置しているドイツと日本は、去る2011年、外交関係を樹立してから150周年という節目を迎えました。そして、今後も互いに両国が協力し合いながら、現在の友好関係を保ち、またより深めながら手を取り合って未来へ向かっていこうという思いをこめ、「ドイツと日本-ともに未来へ」というモットーの下、日本の皆さんにより深く、広く、ドイツを知ってもらうべく、様々な形で活動を行っています。こちらのサイトでは、ドイツの伝統や郷土・食文化についてお伝えします。