ていねいに、100年越えの木桶で2年熟成「菊醤」

ていねいに、100年越えの木桶で2年熟成「菊醤」

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杉桶で2年熟成させた丹波黒豆が原料の希少醤油

ここ数年、各地の醤油蔵をまわっています。といっても、木桶で、天然醸造、国産原料、しかもできたらその地域の原料で作っている醤油蔵。日本を代表する調味料なので、全国にある・・・・・・と思われるかもしれませんが、この3拍子がそろった醤油は、醤油生産量の1%と言われています。いわば絶滅危惧種。和食がユネスコ無形文化遺産になり、保護と継承がさかんに呼びかけられています。(私も少しお手伝いしています)それは、保護が必要なほど危機的な状況にあるということでもあります。特に、日本の伝統的な手法で作られてきた調味料は本当に危機的で、醤油、酢、味噌、みりん、これらがなくなることはないでしょうが、1年、あるいは数年かけて、じっくりと発酵または熟成させた“ホンモノ”は、つぎつぎと姿を消しています。

 

そこで、この醤油。小豆島のヤマロク醤油さんの菊醤(きくびしお)です。小豆島のヤマロクさんを訪ねると、100年以上にわたりヤマロクの無数の菌をたずさえる30石(約5800リットル)の立派な木桶がならび、それを抱く保育器のようになった蔵で、100年前と多分同じように、仕込まれ発酵し熟成する、“生きている醤油“に会うことができます。

ていねいに、100年越えの木桶で2年熟成「菊醤」

はじめて味見した時、おもわずうなったおいしさ。気が遠くなるような手仕事と、力仕事と、お金では買えない時間が生み出した味です。

 

それは、腕がなくても、今日から食卓の料理を美味しくしてくれる、すご腕の調味料だと思います。醤油をかえるだけで、冷奴がご馳走になります。

 

ところで、醤油は、水と大豆、麦、塩という実にシンプルな材料でできています。だからこそ、作り方や材料の選び方、作り手で、全部、味が違います。いろいろ味見してみるとそれは明白で、とても楽しいこと。自分の好きなMY定番醤油や、この料理にはこれ!という醤油が必ず見つかると思います。

 

そこで、まずお手持ちの醤油の裏面を見て下さい。もし上記以外の材料が書いてあったら、この機会にぜひ、なにも添加されていない醤油を味わうことからはじめてみてください。また、もし、脱脂(加工)大豆と書いてあったら、なにもしない、大豆のまま(丸大豆といういい方も)から作った醤油をぜひ。

 

菊醤は、丹波の黒大豆が原料。江戸時代には大豆と並んで黒豆も醤油の原料として使われていたそうです。まろやかな味わいとコクは、このあたりにも秘密があるのかもしれません。もちろん国産の小麦と、代々使われている小豆島の地下水で作られています。

 

ちなみに、ヤマロク醤油さんには、醤油を醤油で仕込んだ、再仕込みという4年熟成の鶴醤(つるびしお)もあります。どちらもおすすすめですが、鶴醤は、肉やマグロにも負けない存在感ですから、ここぞと言うときのかけ醤油に。こちらの菊醤は、冷奴や白身の魚はもちろん、料理にもおすすめです。私はいつもこれで、MY麺つゆや2杯酢をつくっています。ちょっと高い?と思ったら、よーーーく考えてみて下さい。日々の食卓がぐっとグレードアップして、身体にも優しい、他と比べて果たして高いのかな?と。 例えば、キャミソールを1枚買わずに、いい調味料を。いつも私はそうおすすめしています。

 

詳しくは、こちらにも。
http://rikoskitchen.com/2015/03/%E9%86%A4%E6%B2%B9%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E3%80%81%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%81%B8%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E8%A3%BD%E6%B3%95%E3%81%A8%E7%89%A9/

※掲載情報は 2015/09/18 時点のものとなります。

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キュレーター情報

山脇りこ

料理家

山脇りこ

主宰する代官山の料理教室リコズキッチンや、雑誌や書籍を通じて、和食をベースに現代のモダンなエッセンスを加えた家庭料理を、“作る楽しみ”を大切に、日々提案している。食材から味をひきだし、調味料は基本のものを最小限に、ひと手間は惜しまず、調理はシンプルに、という引き算の料理が得意。全国の伝統的な製法を守る醤油・酢などの蔵をまわり『調味料の教室』やWEBで紹介、発信。ライフワークとして『だしの教室』も続けている。農林水産省の 「 和食の保護・継承に向けた検討会 」 委員(平成27年)。料理本のアカデミー賞と言われるグルマン世界料理本大賞2014でグランプリ受賞。 『かけこみおだし塾』(講談社/日本図書館協会選定図書) 『かる塩・かる糖料理帖』(小学館) 『ていねいに仕込んで食べる 1週間のつくりおき』(ぴあ)など著書多数。アメリカを中心に『Banzai Banquets: Party Dishes that Pack a Punch』(Vertical社/講談社刊のおもてなし本の英訳)も刊行されている。

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