岩手の美味しい伝統駄菓子をpecco(ぺっこ=岩手方言で少し)と、楽しんで欲しい

岩手の美味しい伝統駄菓子をpecco(ぺっこ=岩手方言で少し)と、楽しんで欲しい

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岩手の美味しい伝統駄菓子をpecco(ぺっこ=岩手方言で少し)と、楽しんで欲しい

素朴でナチュラルな駄菓子

東北の言葉はよく、フランス語やイタリア語に似ていると言われています。岩手の方言で「ちょっと」とか「少し」という意味で”ぺっこ”という言葉があるのです。例えば「ぺっこ、けれ!」判りますか?まるで、外国語ですね。「少し、ください」と言う意味なのです。その方言の「ぺっこ(pecco)」と名付けたブランドが岩手にあるのです。

 

偶然だと思うのですが、イタリアのピエモンテ州トリノ県にも、人口がわずか200人ほどの「pecco」という同じ名前のコムーネ(共同体という意味フランス語だとコンミューン)があります。面白いのは、この「ぺっこブランド」を岩手県庁と岩手県産株式会社が企画したところです。岩手県産は、今から半世紀ほど前に、岩手県内の特産物を販売する第三セクターの卸問屋として誕生し、会長が知事というユニークな会社なのです。これまで、食品メーカーから買い付けていた商品を、メーカーと共同で商品をリニューアルし、少量ずつ同じパッケージにして、ひとつのブランド「pecco」を立ち上げたのです。

 

その「pecco」のメインは県内の郷土菓子なのです。郷土菓子の多くは「駄菓子」として発達して来たのですが、茶席や懐石(会席)料理で出される極上菓子に対して、駄菓子は、安価で庶民の間食として、江戸時代に水飴や雑穀を使用した"一文菓子”として出現したのです。特に東北の各藩で常備食として備えていた「糒(ほしい)」が払い下げられ、それを材料として駄菓子が作られたのです。明治26年創業から駄菓子を作っていた駄菓子屋が「pecco」に参加しています。掲載の写真は一部ですが、素朴でナチュラルな素材が中心で、味覚過剰の現在の菓子群に比べるとその潔さが良いのです。

 

一部のご紹介ですが、昭和5年創業の千秋堂の「ゆべし」。同じく盛岡の関口屋菓子舗のきな粉や胡麻の風味が心地よい「ねじり」と白と黒の「はっか糖」。盛岡ドミニカン修道院生まれの「ニックナック」(盛岡ドミニカン修道院が作り始めた焼き菓子だが、一度途絶えた味をあすなろ園が復活させました。)。樋口せんべい店の「かりんとうプレッツェル」。一口サイズのつまめるきんつばの「北緯四十度のまちのきんつば」。岩手の美味しいりんごがセミドライフルーツになった東北エンジニアリングの「林檎っち」。岩手の代表的な羊羹の「岩谷堂羊羹」。粉末にしたどんぐりをパイの生地に練りこみ、1枚1枚丁寧に焼き上げた日進堂の「どんぐりパイ」とそばの実の「そばの実パイ」。久慈市の竹屋製菓の「大豆クッキー」。香ばしいイサダの風味に納得の海の香り志賀煎餅の「いさだ南部煎餅」。元々、量の多い袋詰めの駄菓子を、一口大の大きさに変えて、スマートデザインパッケージにリニューアルして発信したのです。この「pecco」は昨年の「グッドデザイン」に認定されたのです。


これらの開発は岩手の女性だけのプロジェクトチーム「岩會会(がんこかい)」が女性目線で手がけたものだそうです。まだまだ、東北復興の先は長いです。そんな地元の食品メーカーの支援のためにも「pecco」を立ち上げたそうです。

※掲載情報は 2015/09/02 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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