ワインで巡るスペイン・サイクル・ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」

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国民的行事とワインの素敵な関係。日本でも楽しもう

ワインで巡るスペイン・サイクル・ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」

日本ではあまりポピュラーとはいえないけれど、そのお国だったり、世界的には超のつくメジャースポーツというのは結構あります。代表的なもののひとつが、サイクル・ロードレースでしょうか。

 

自転車競技というよりも、サイクル・ロードレースというネーミングがしっくりくるのは、舞台が野外で、プロツアーは世界中のロードを転戦。中でもグランツールと呼ばれる、イタリアでのジロ・デ・イタリア、フランスでのツール・ド・フランス、そして、スペインのブエルタ・ア・エスパーニャは、世界中のプロサイクリストの頂点を目指す戦いで、世界中から注目が集まります。

 

ここで活躍するスター選手は、世界各地での「共通言語」。ウィギンス、フルーム、コンタドール、シュレック兄弟、サガン、カンチェラーラにカヴェンディッシュ。最近ではコロンビア勢が旋風を巻き起こし、特にキンタナ選手はグランツール獲得目前の大注目選手。先日ippinのキュレーターたちが集まったコロンビア大使館のイベントで、そして先日訪れたニューヨーク、マンハッタンからラ・ガーディア空港へ向かうタクシー、コロンビア人ドライバーとの会話で、「コロンビアといえば、キンタナ選手はグランツール勝てそうだね」で共ににっこり握手。と、ロードレースの話は尽きないのですが、そのひとつ、ブエルタ・ア・エスパーニャが。2015年は8月22日からスタートします。

 

今年は、80周年。アンダルシアからスタートし、第21ステージのマドリッドを目指す3週間。ロードレースの楽しみはそのコース自体にもあります。アンダルシアの眩しい石畳、ピレネーの険しい山岳、バスクの美しい海岸線、内陸部の緑あふれる丘陵。各国のロードレースもそうですが、スペイン各地の多様な文化、景観、自然を、選手の激闘ともに知るチャンスでもあります。

 

ワイン好きの僕も、それはとても楽しみな日々。ツール・ド・フランスでもジロ・デ・イタリアでも、「今日のスタートは○○で、ゴールは○○。だったら今日はその地のワインを飲んで、食べて応援しよう」。これが楽しい。選手はその地を走るということで、ワインを飲みながらのスポーツ鑑賞でもあり、風光明媚な旅のブルーレイを見ているようでもあるわけです。ツアー・オブ・カリフォルニアなんて最初から最後までワインのDVDを見ているかのような楽しさ!

 

さて、スペイン。ワインの探検シリーズにて、フランスの多彩なテロワールについて紹介しましたが、イタリアやスペインも、もちろん同様。地中海と大西洋がぶつかる暑い地域から、地中海の涼風が当たる地域、北の海岸、ピレネー山脈の恵み、中央部の丘陵や標高の高い乾いたエリアなど、さまざまな特色があります。

 

DO+エリア名、VT+エリア名。それが手がかり。昔から代表格といわれていたリオハをはじめ、カスティーヤ、リアス・バイシャス、トロ、アリカンテ、ペネデスなど、様々な名醸造地があります。特にテロワールの特色を反映しやすいともいえるオーガニックワインを飲むと、その土地土地に思いを馳せながら楽しむことができるでしょう。

 

カバー写真の雌のラバと太陽のエチケットは、DOトロ。マドリッドから北西へ。大詰めのステージ19はこの近くでスタートします。ティンタ・デ・トロというぶどうを使ったオーガニックワイン。樹齢80年から100年という古木から厳選されたぶどうを使用。20ヶ月樽熟成。土地の力がヘビー級の重いパンチで炸裂。炸裂した瞬間は重いのかなんなのもわからないのに後からズドンと。気づいたときには痛みではなく、くらっくらに気持ちよくなっていて、そのあとに、なんとも愛らしく心地よい香りと優しい飲み心地が。あけたばかりよりも前日から、明日のスタート時間に向けて抜栓しておくぐらいがちょうどよい。こんな素敵なワインを前日から用意して見るブエルタ・ア・エスパーニャ。選手たちの奮闘にも思わず心地よい酔いを感じるでしょう。

ワインで巡るスペイン・サイクル・ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」

第6ステージの舞台のひとつであるアルティプラノ・デ・シエラ・ネバダもオーガニックワインの良地。地中海からの距離はわずかなのに、一気に海抜1300mへ。天然酵母発酵などオーガニックにこだわり、この土地の良さを生かすワインメイカー、ホセ・メンデス・モヤ氏。その名を冠した『モヤ・ブランコ』は、日本で一般的に飲めるソーヴィニヨン・ブランとは全く違う、健康で天然がゆえに奥深く複雑。女性的なきらめき、美しい私小説、純文学的な繊細さから、しかし骨太の時代小説を読んでいるかのような世界へと変化し、再び朝の少女のきらめきに戻り、また、夕暮れの決闘の場面へ。セクシーでもあり、触れてはいけない純潔さでもあり…(こういうワインを称して僕は尊称として「変態ワイン」と呼ぶのだけれど)。このワインを飲みながら、ブエルタ・ア・エスパーニャでみる、シエラ・ネバダ高原付近での激闘もまた、楽しそうだ。

 

生ハムやオイルサーディン、その他スペインのおつまみも可能であればその土地土地のものを用意すればどんどん世界に引き込まれそう。この夏、スペインからはじめてみてはいかがですか?

ワインで巡るスペイン・サイクル・ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」

※掲載情報は 2015/08/21 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

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