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思い出がたくさん詰まった場所「中華街」と「聘珍樓」
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僕が中華街に行く時、必ず訪れる中国料理店「聘珍樓」。今回はここの格別においしい「点心」を中心に紹介します。ここは、現在僕の親友が6代目としてお店のオーナーをやっていて、現存する暖簾では、日本で一番古い中国料理店。横浜開港間もない1884年に、今の横浜中華街に店舗を構えました。当時は「中華街」という名前はまだなく、中国料理店の他にも人々の生活を支えるお店があったそうです。聘珍樓は、関東大震災と横浜大空襲で、2回消失してしまったらしいです。
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横浜大空襲で消失してしまった時のオーナーは、さすがに店を閉めようかと考えたらしいですが、そんな時、僕の親友の父親がこの店を無くすのは惜しいと考え引き継いだそうです。
僕は学校帰りに親友とこのお店に寄って、彼の親父さんに焼きそばを作ってもらっていました。当時は、まだこのあたりはアメリカの駐留軍のGI達が来るようないかがわしいバーがあって、彼とそのバーで音楽や映画の話をしたのを覚えています。この界隈では喧嘩は日常茶飯事で今に比べると、とてもスリリングな場所でしたが、僕と彼にとっては、最高の遊び場でした。
僕と彼は大学も一緒でした。僕がカリフォルニアの大学に合格した時、「フレズノは山も海もある理想的な場所だから、一緒に行こう」と彼を誘いました。彼もその気になり留学したのはいいのですがその町には、山も海も無くただフラットな大地が続くど田舎で、彼がすごく怒った事が今でもとても印象的です。それから、彼は2年フレズノで学び、僕は学生運動に参加したので1年で学校を去ったのですが、それから僕たちが再会する場所は、いつも中華街でした。
時が経った今でも僕達が集まるクラス会は「聘珍樓」で開催される事が多いです。クラス会でもよく食べる僕がおすすめの「聘珍樓」のメニューを紹介します。
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広東式叉焼。脂身が口の中で溶けるような感覚と甘みを感じます。上質の豚肉を使っているという事が分かります。
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「飲茶」は温かいお茶を飲みながら、点心を楽しむという本場の広東のスタイル。飲むお茶にもこだわりがある。今回、聘珍樓で点心と合わせて「鳳凰単叢」というお茶が出された。このお茶の飲み方が凝っている。片方の長細い湯飲みにはお茶が入っていて、それをもう片方の湯飲みに注ぐ。そして、空になった長細い湯飲みに残った香りを楽しむ。こんな粋な「聞香杯」で香りを楽しむ文化が中国にはある 。中国では、ビジネスの場でも家族団らんの場でも、この温かいお茶と点心を楽しみながらコミュニケーションをとるというのが一般的。
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「海老入り蒸し餃子(手前)」「フカヒレ入り餃子(右)」「干し貝柱入りニラ餃子(奥)」。どれももちもちした皮が特徴的です。海老入り蒸し餃子は、中の海老が透けて見えるほど。餃子の皮には「雪貫粉(かんせつこ)」という小麦粉を精製するときに浮きあがってくるでんぷん(浮粉)のみを使っているから、このもちもち感が出せる。「干し貝柱入りニラ餃子」には着色料を一切使用しないで本物の韮だけで色づけをするという徹底振り。
もちろん素材にも一切化学調味料は使用せず、どの餃子も素材の味が最大限に引き立つように作られています。点心の種類によって蒸し時間が違うから、聘珍樓では大きな蒸篭で一気に蒸すのではなくて、手間がかかるけど全て別々に蒸しています。食べてみると、その一つ一つの素材のクオリティーの高さに驚かされると思います。
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横浜といえば、シュウマイが有名とよく言われるけど聘珍樓の「とび子のせシュウマイ」は着色をしていない希少な飛び魚のたまごのこりこりした食感と、中に入ったぷりぷりの海老の食感がたまらない。食べた後は1日中ハッピーな気分にしてくれます。
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きしめんをシート状にしたものに近い皮の中に、海老が入った「腸粉」(チョンフン)。お米の粉で作っているから、広東ではよく朝食としても食べられています。牛肉やチャーシューが具材になる事もあり、香港ではスーパーやコンビニなどいたるところで売られている人気の食べ物です。皮はとても繊細で口の中で溶けるような感覚と海老が、甘辛いソースととても良く合います。
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五目の食材が入った「五目入り揚げもち餃子」。肉、しいたけ、干し海老が入っています。カリっとしていて噛むともちっとした食感がすばらしい一品。揚げたてが一番おいしい。
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「チャーシュー入り饅頭」は、出来上がった時に口がぱっくり空いているのが特徴的。ほんのり甘くて、しょっぱくて、そのバランスがすごくいい。
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「点心」とは関係がないけど、僕がここに来た時に必ず食べる焼きそば。麺にカリカリした部分としっとりした部分があり、あんかけのようなタレにとても合います。「点心」とは関係がないけど、僕がここに来た時に必ず食べる焼きそば。麺にカリカリした部分としっとりした部分があり、あんかけのようなタレにとても合います。
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今回、おいしい点心を振舞ってくれた総点心長の徳永さん(写真中央)と右が広報担当の朱さん(写真右)。徳永さんと朱さんは、「聘珍樓」の料理が本場中国の味とぶれないようにと定期的に中国に中国料理の研修に出かけるそうです。
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お店の入り口には売店もあり、今回紹介した聘珍樓の代表的な「点心」がセットになったものが売店で購入できます。聘珍樓の点心セットには肉焼売、小籠包、蝦蒸餃子、フカヒレ餃子、ニラ蝦餃子と代表的な点心が各2個ずつ入っています。おみやげ品に関しましては、専用の工場で作られていますが、着色料、化学調味料は一切使っていません。聘珍樓の点心のクオリティーの高さが充分伝わるはずです。手土産やおかずの一品として味わってみてください。
オンラインショップURL:http://heichin-shoppers.jp/
※掲載情報は 2015/08/13 時点のものとなります。
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キュレーター情報
作家、ラジオ・ナビゲーター
ロバート・ハリス
1948年横浜生まれ。作家、ラジオ・ナビゲーター。71年、上智大学を卒業後、バリ島をはじめ東南アジアを放浪。その後オーストラリアに延べ16年間滞在し、シドニーで書店&画廊の経営に携わる。オーストラリア国営テレビ局で日本映画の英語字幕を手がけ、テレビ映画製作も行う。帰国後、ラジオや著書で活躍。「エグザイルス」(講談社プラスアルファ文庫)「アフォリズム」サンクチュアリ出版)他多数。
最新刊は『世界を50年間も放浪し続け学んだCOOLで自由な人生哲学』(NORTH VILLAGE)