記事詳細
紹介している商品
バラの季節を象徴する年に一度のお祭り
ブルガリアの有名な観光地のひとつに「バラの谷」と呼ばれる場所があります。ここは、バルカン山脈の南側、ブルガリアの中央一帯はバラの生産地として知られています。ここでは、世界シェアの7割を占めるローズオイルやローズウォーターの原料でもある「ダマスクローズ」が咲き誇る季節に、毎年「バラ祭り」が開催されます。バラ祭りの期間は、その年のバラの開花状況によって多少前後しますが、花が咲いて花びらの収穫が始まる5月中旬から6月上旬にかけて、バラの谷の中心地であるカザンラク市をはじめ、周辺の村々で行われるお祭りです。
このバラ祭りが初めて開催されたのは1903年のこと。お祭りの期間中、バラの谷ではそれぞれの村の民族衣装を着た人たちが、歌ったり踊ったりして祝う姿を見ることができます。中心地のカザンラク市では毎年「バラの女王」を選ぶコンテストが実施され、最終日のパレードはお祭りのクライマックスとして毎年たくさんの人で賑わいます。近年のバラ祭りは約1カ月間と期間が長く、カザンラク市のように大規模なものもあれば、バラ農園ごとの小規模なものもあり、バラの谷のいたるところで様々な規模のイベントが開催されています。例えばカルロヴォの町では、郊外にあるバラ園でバラ摘み体験をした後、中心部の広場で地元の人たちによる歌や踊りのショーを楽しむプログラムが観光客に人気を集めています。
独特の気候と土壌がダマスクローズを育むバラの谷
ブルガリアでのバラ作りの歴史は17世紀頃に始まったと言われています。オスマン帝国の時代に、もともとローズオイルを作る文化のあったトルコ人によって伝えられ、バラの谷の気候風土がバラの栽培に最も適していたことから、この地域一帯でバラが生産されるようになりました。バラの谷の地形は、2000m級の山々が連なるバルカン山脈と、1000m級のスレドナ・ゴラ山脈という2つの山脈に挟まれた谷になっています。冷たい風が山脈によって遮られるため気候は温暖で、雨が多く十分な水と湿度が保たれています。さらに水はけのよい土壌ということもあって、バラだけではなくブドウやリンゴ、麦などの栽培も行われています。
香水に欠かせない高級原料のほか、バラが香るジャムも人気
バラの谷の気候や土壌は、バラの中でも特に「ダマスクローズ」との相性がよく、ブルガリアは世界でも有数のダマスクローズの産地として知られています。世界に数万種もあるといわれているバラの品種の中でも、ローズオイルとローズウォーターが取れる品種はごくわずか。その中でもダマスクローズは「バラの女王」と呼ばれています。
淡いピンクの小振りな花で、花が咲くのは年に1度だけの約20日間程度。見た目の華やかさでは観賞用のバラにかないませんが、濃厚で優美な香りはダマスクローズならではのものです。花びらの収穫は花が開く前の早朝に始まり、太陽が昇る頃には終わります。これは、太陽が出て花が開くと香りの成分が漏れてしまうからなのだとか。収穫した花びらはオイルを抽出するために蒸留され、その過程で出る水分がローズウォーターとなります。1滴のローズオイルを取るために必要な花は50〜75輪。香水の原料として金以上の価値があるといわれています。
一方、ローズオイルやローズウォーターの他にも、バラの花びらを使った「ローズジャム」も作られています。トーストに塗ったり、ヨーグルトに加えたりとバラの香りを楽しむことができ、女性に人気があります。バラの谷には、このようなバラのジャムを使ったメニューを提供している飲食店や宿泊施設があり、バラの谷を訪れる観光客の人気スポットにもなっています。
今回ご紹介するのは、ダマスクローズの名産地ブルガリアの「バラの谷」でも、限定的にしか生産されないオーガニックローズのみを使用して花びらを煮詰めたローズジャムです。内容量の40％を花びらが占めるため、瓶の底までぎっしり花びらの食感を味わえます。
※掲載情報は 2015/07/22 時点のものとなります。
- 2
キュレーター情報
ブルガリア共和国大使館
ブルガリアはバルカン半島に位置し、北はルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東には黒海があります。北海道より少し大きい国土で、首都はソフィアです。香水用のバラ栽培が世界最大産地ということでも有名です。ブルガリアの食でみなさんはヨーグルトを連想する人が多いと思いますが、さまざまな民族の食文化の影響、特にトルコ、ギリシャ、ルーマニア料理との共通点が多いです。また、良質なワインの産地としても有名です。
