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道の駅あいづで出会った郷土食「会津馬刺」
福島県の会津盆地の真ん中に位置する「道の駅あいづ」は、湯川村と会津坂下町の2つの地が共同で整備した新しい形の道の駅だ。ここには、会津地域の選りすぐりの特産品を取り扱う「会津物産館」をはじめ、四季折々の旬の野菜や食材をふんだんに使った料理が並ぶ「農家レストラン」、それらをジェラートに仕立てた「12か月のジェラート」店、カレー焼きそばやソースかつ丼などの会津のB級グルメを持ち帰ることができる「会津食のお持ち帰り処」など、センスが良くワクワクするようなたくさんのコーナー施設があり、何時間でもいられそうなのんびりとした居心地の良さがある。
数々の特産品に目移りした中でも「農産物マーケット」のコーナーで出会った逸品が「会津馬刺」。地元のスーパーや精肉店では馬刺が当たり前に並ぶほど、「馬肉」は会津の人にとって非常に馴染みの深い郷土食だというが、道の駅あいづでは真空パックされた生食用の馬肉がかたまりで手に入る。刺身よりも日持ちがするので、旅行者でも自宅に持ち帰って旅の思い出に浸りながら会津の銘酒と共にゆっくりと食すことができるのが良い。
馬刺と言えば熊本や青森が有名だが、会津の馬の肉質とその食べ方には他県にはない特徴がある。古くから会津ではやわらかな赤身が好んで食べられており、その赤身には他県のものと比べて脂肪分が格段に少ない。なるほど、道の駅あいづに並んでいた「もも」「ロース」「ヒレ」の3種の肉にも、脂のさしは見た目には確認できなかった。
中でも、1頭の馬から3〜5キロしか取れない「ヒレ」の驚くほど柔らかな赤身は、口の中で溶けるようにさっぱりとした旨味が溢れる。経験した事のないそのウマさはまさに「こでらんに」(会津弁で「ことばにならないほど良い」の意)
もう1つの会津馬刺の特徴は「薬味」にある。一般的に馬刺には「おろししょうが」「おろしにんにく」が添えられている事が多いが、会津では唐辛子やにんにくと味噌を合わせた「辛みそ」を溶かした醤油に馬刺を付けて食べる。にんにくが香り、ぴりりと辛いこの味噌が会津馬刺のさっぱりとした赤身の旨さを一層引き立てる。
道の駅あいづの馬刺には辛みそがセットで付いているが、通販で購入する場合は別売りの事もあるので注意しよう。辛みそは作り手によってこだわりがあり、秘伝のレシピが存在するというので比べてみるのも面白い。ディップのように新鮮な生野菜に付けて食べても美味しいので瓶詰めのものを購入するのがおすすめだ。
大皿に豪華に盛りつけた会津の極上の馬肉を味わいながら、会津の銘酒の杯を傾ける。そんな贅沢な食卓を家族や気の置けない仲間と楽しんでほしい。
※掲載情報は 2015/07/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家・フードコーディネーター
平尾由希
長崎県生まれ。お茶の水女子大学卒業。
NHK報道局在職中に飲食に関する様々な資格を取得。料理専門学校エコールエミーズのプロフェッショナルコースで学びディプロマを取得した後に独立し、 2013年からフリーランスの料理家・フードコーディネーターとして本格的 に食に関する活動を開始する。
現在は雑誌やWEBでのレシピ連載、CMやテレビドラマのフードコーディネート、 企業の料理コンテンツや商品開発などを手がける他、食に関するコラム執筆や、テレビ、ラジオ、各種イべントなどへの出演も行う。また2013年より「食を通じた地域おこし」をテーマに総務省自治行政局過疎対策室の過疎地域自立活性化優良事例表彰委員会の委員を務め、地域の食のブランディングにも携わっている。