江戸時代からの製法を守る王子・石鍋久寿餅店の「久寿餅」

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2年の発酵期間を経て手作りしたこだわりの味

初夏を思わすような汗ばむ季節、ひんやりとした和菓子が恋しい季節になりました。そんな夏に食べる和菓子の代表格でもある「くず餅」。葛粉を使ってぷるんとした弾力のある関西の「葛餅」に対して、関東のくず餅(久寿餅)は、きな粉や黒みつをかけるのは同じでも、乳酸菌で発酵させた小麦粉の澱粉を使った、噛みごたえのあるまったく違う味わいのものです。久寿餅は、かつて江戸からほとんど外に出たことのなかった、江戸っ子の食べ物だったといいます。

元祖・くず餅をうたっている1805年(文化2年)に創業した亀戸天神の「船橋屋」をはじめ、東京の寺社の参道には久寿餅の名店をよく見かけますが、こちら石鍋久寿餅店も、明治20年の創業以来、北区の王子稲荷参道で100年以上も営業を続けてきた、知る人ぞ知る老舗。江戸時代からの製法を守り、木製の木樽を用いて小麦粉の澱粉の発酵に2年を費やし、すべて職人さんが手作りする、手間のかかったこだわりの逸品なのです。

石鍋久寿餅店の久寿餅は、後を引く独特の風味はもちろん、食感が普通のくず餅とちょっと違っていて、何とも心地よい噛みごたえ。「くず餅は食感が命」というお店の信条が生きています。保存料など無添加のため、購入から2日もたつと味も食感も落ちるので、なるべく作りたてをいただいた方がよさそうです。

東京スカイツリーの開業により、墨田区をはじめとする東京23区の東部が脚光を浴びていますが、北区など北部の下町にも、観光地化されていない本当の東京らしさが今も息づいていると思っています。そして、昔からの隠れた名店も!石鍋久寿餅店は地元の人々に愛され続け、久寿餅は閉店前に完売になることも多いようですので、お早目の時間の来店をおすすめします。

江戸時代からの製法を守る王子・石鍋久寿餅店の「久寿餅」

※掲載情報は 2015/05/16 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青木ゆり子

各国・郷土料理研究家

青木ゆり子

雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。

地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。

「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。

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